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今村翔吾の最新作「海を破る者」は傑作だった。ぜひご一読を!!

 今村翔吾氏が、鈴木保奈美がMCを務める番組「この本読みました?」に出演して、歴史小説家として一番すばらしいと思っておられ作家は誰ですかと尋ねられて、今村氏は「本当に言いにくいんですが、自分の書いた歴史小説が一番だと思っています。」と答えた姿がとても微笑ましく、その通りだと最新作「海を破る者」を読んで、思ったところです。
 今村翔吾氏の小説は、直木賞受賞作の「塞王の楯」と受賞後作の「あかね雲」を読んだが、2作とも傑作だと言えるだろう。
 今作の「海を破る者」は、元寇の1281年弘安の役に焦点が当てられている。日本史では、大軍で押し寄せた元軍に対し、鎌倉幕府から命じられた御家人たちは奮戦したが時たまたま来襲した「台風」によって全滅したと伝えられている。それも2回とも。1回ならまだしも、2回もそのような偶然があるだろうか?この小説によれば、1回目の文永の役の際はとても運がよかったようだ。
 この小説の舞台は、2回目の弘安の役に際して主人公の六郎の河野家がいかに行動したのかということだ。承久の乱に際して京方に味方したために没落した河野家は伊予の御家人であり、かつては水軍を率いて瀬戸内に君臨していた。 その若き当主六郎と人買いに売られてきた高麗人の繁(はん)と金髪で青い目をした令奈(れいな)の物語である。これ以上はネタバレになるので控えたい。

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