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36才SEの転職日記 vol.2

ふとしたきっかけで転職活動を始めた36才システムエンジニアの日記。
妻子は里帰り育児をしており、転職を機に妻の実家のある島根県への移住を目論む男の日々の苦悩を綴ります。
時折出てくるアマデウスは我が家のねこの名前です。
2022/1/26 → 2/5 のつづきです。

2022/2/6 → 2/21


2/6

履歴書と職務経歴書をやっとこさ書き上げてB社へ提出した。A4用紙二枚に十数時間かかった。一応今週中の約束は守れた…はず…。それにしても我ながらひどい経歴だ。辟易する。

A社の課題のデプロイ先はHerokuに決めた。さっそくHerokuのチュートリアルをやった。便利だ!ビビった。ゴールの部分は見えた。

うちの双子の写真がひよこクラブに掲載されるらしい。嬉しい!応募してくれた妻に感謝。10冊買おう。

とにかく寒い。疲れ果てた。21時に寝る。


2/7

5:30にアマデウスに叩き起こされた。
いつも起こしてくれてありがとう。今日も寒いな。

A社課題用にOAuth2.0認証の勉強をする…。あ、これ難しい。
概念はわかるがどう実装すりゃあいいのさ…。胃が痛い。

もう心が完全に島根県に行っている。移住後の生活にワクワクする。
長野でロッヂを借りて仕事をしているPMの記事を読んだ。僕もこうなりたい。
思っていたよりも遥かに家族が大切だと気づいた。そして僕はとても寂しがり屋なことにも。


先日連絡をくれた尊敬する先輩の紹介でD社の方と面談した。紹介者である先輩、部門マネージャ、僕の3名で話す。
技術的に尖った集団のイメージなので僕が入るポジションなんてあるのか?と無茶苦茶ビビりながら参加した。

話してみると意外とピッタリのポジションが空いていた。なんだこれ?ほんと不思議な縁だ。とりあえず本面接に進むことにした。

全体的に緩やかな空気で進んだが、先輩が最後に放った問いが空気を張り詰めさせる。
「これだけは仕事の上で譲れないことはありますか?」
「自社が儲けるために、費用対効果が低く大してお客さんを幸せにしないシステムは作りたくない」と、少し考えた後に答えた。この瞬間の先輩の目が少し怖かった。


2/8

子どもが正座できるようになったらしい。すごい!お父さんもがんばるよ。

今日は見積地獄だ。一年かかる基幹システム改修の正しい見積など人間にできるはずがない。まだ基本設計すらしていないのに。
せめて後任の方 (あるいは転職失敗した僕) が地獄を見ないように、エンジニアに優しい見積にしておく。まあ、このまま受注できることなんて、ないんだろうけど。

ヨードンがデスマーチに書いたように、デスマーチは始まった瞬間からデスマーチなのだ。それを回避するには余裕のある見積にしないといけない。

ただ、これはお客さんを幸せにするのか?悶々とする。


2/9

たくさん寝た。

数ヶ月後の自分がどうなってるのかわからないってのはとても怖くて、ワクワクもする。新しい技術に触れるのも同じ感じだ。

最近とにかく疲れるので、たくさん食べてたくさん寝るようにしている。
食事と睡眠が大切だと言うが、身をもって体感する。

人生を変えるイベントなので寝食を削って取り組むべきかもしれないが、なかなか出来ない。弱い人間だと思う。弱いなりに進まなければいけない。

書いてて思ったが、〜しなければならないって思いが強すぎるな。ありのままで生きていくことなんてできるのか?老子よ、教えてくれ。


2/10

A社課題に対して、VSCodeでやっとhello worldができた。ビデオを見ながらやっているが、ことあるごとにハマる。

Spring Bootが難しいのか。自分は何がわかって何がわからないのかすらわからん。時間が溶ける。絶望だ。

あまりに基礎ができていないので、Spring Bootの入門書を買い丸々一冊分のプログラムを写経している。大分理解できてきた。

プログラマ達はこんなわけわからんものと向き合ってきたのか。上っ面の処理だけを見て、指示を出していた自分が恥ずかしくなる。

自身をエンジニアと名乗り、それなりに人前で話す機会をもらってきた。周囲からはすごい!と言われることも増えた。
しかし、僕一人では驚くほど何もできない。今まで会社に守られていただけだ。その現実を突きつけられることが辛い。自身を晒すことはもっと怖い。

いつもの僕なら技術に強い友人に助けを求めるだろう。だけど転職活動だけは誰の力も借りずにやると決めている。今の実力で入れる環境でなければ、僕も転職先も不幸になることが目に見えている。

そんな企業はあるのだろうか…。


2/11

開発はできるようになったが、どうしてもデバッガーが動かない…。これではだめだ。

思い切って開発環境を変えることにする。STSを使う。
締め切りは2/14だ。このロスは痛すぎる。

潤羽るしあが炎上していた。VTuberの王がこんな初歩的なやらかしをすると思えないので、推測されてるように明るみに出して引退→結婚したいのかな。
何にせよ幸せになってもらいたいもんだ。ファンは残念だろうが。


2/12

書類審査を通過したD社の適性検査を受けた。

性格診断と就活の時に受ける国語やら数学やら混ぜこぜの試験だ。難しかった。
計算問題は大丈夫だったけど、図形の規則を推測する問題や折り紙の展開図を選択する系は時間が足りなくて適当に答えた。
多分僕のIQは高くない。


A社課題はSTSでの開発に切り替えた。あんなに悩んでいた環境周りの問題が解決した。最初からこっちにしとけばよかった…。なんて大量の時間を溶かしてしまったのだ。締め切りまであと二日。もう間に合わないことは目に見えている。

しかし、何もせずにはいられないのでコードを書く。

STSのコード補完を使う度にパソコンがフリーズするようになってしまった…。何故だ。何も進まない…。悲しすぎる。

ショボくてもせめて動くものを作りたいのだが、もうダメかもしれん。

日が変わった。アマデウスはもう眠っている。酒を飲んで寝た。


2/13

寒い。朝から喫茶店にでも行って作業をしようと思っていたが、気力がない。顔を洗う気にもならない。アマデウスと昼前まで寝てしまった。

起きた。コーヒーを飲みながらTeam Geekを読んだ。

ここに僕の悩みが全て書かれていることに驚いた。皆コードを隠したい。不完全なものを晒したくない。悩みはどこでも同じだ。衝撃だ。

一日早くバレンタインのチョコが届いた。妻に感謝。
送られてきた動画の中で子ども達が大はしゃぎしている。少し元気が出た。

さして疑問もなく今の職場で働いてきたけど、新たな選択肢が見えた瞬間からそちらの人生が頭から離れない。

家族で暮らしたい。意欲的なメンバとワクワクする仕事がしたい。転職を失敗したくない。どうかうまくいってくれ。

がんばって喫茶店までやってきた。座席で煙草が吸える店が本当に少なくなったので、電車に乗って街まで出てきた。いつもの席で煙草片手にパソコンを広げる。


2/14

A社課題は何も完成しなかった。情けない。

採用担当に選考辞退の連絡をした。

不思議なもので気分は悪くない。
久しぶりにプログラムと向き合い、自分のできなさ加減を直視できた。挑戦してよかったと思う。

選択肢が減るのは不安でたまらないが、仕方なかったと割り切るしかない。
人の力を借りて採用されたとしても、このロールではきっと期待される働きはできない。情けないが落ち込んでいても何も変わらないと思うことにする。

結果はともあれ、ひとつ心の負担が減ったのでFateの映画の第三部見た。
ライダーとセイバーの戦闘が凄すぎた。美しすぎた。僕がマスターになったらライダーを召喚することを固く心に決めた。ああ、ライダーが好きだ。


2/15

B社との一次面接だ。

落ち着かない。面接でよくある質問二十選みたいなサイトを見てみる。

あなたのあげた成果は?炎上プロジェクトを生き抜いてきましたとか…。
自己PR?何をPRすりゃいいんだ…。

あんまり考えるのはよくない気がするので、自然体で臨もう。

面接はB社のメンバー三人と僕で行われた。僕の希望にあわせて、普段の業務でスクラムマスターと関わる方々のようだ。
これまで受けてきた面接とは異なり、お話し会チックでとても楽しかった。中でも、あなたは今後何をやりたいか?に重きを置いて話が進んだのが印象的だった。あなたは今何ができるのか?が主題として面接されると、うぅ…。となりそうだったので助かった。

まあ、緊張はしたが、自分の考えをたくさん話せたと思う。これで落ちるのであれば仕方ない。

所持資格のフォークリフトに突っ込んでくれた方がいたので、程よく話が脇道にそれたりしてよかった。フォークリフトに乗れるエンジニアアピールはこれからも続けよう。


2/16

人間ドックだ。受付時間を間違えた、いきなり申し訳ないスタートだ。
バリウム辛かった。なんかすごいマシンでクルクル回された。胃カメラは触手責めだったけど、こっちは近未来的拷問だなーとか考えてた。

昨日面接したB社の代表から、今夜話せないかと連絡が来た。

なんだろう。いい予感はしない。吐きそうだ。


B社の代表からスクラムマスターとしてはスキルがアンマッチだと言われた。何よりスクラムマスターとしての具体的なイメージが足りない、そしてB社で働きたいという情熱が伝わってこなかったと面接担当からのフィードバックをいただいた。
要するに不合格だ。

だが親切にも、よければ別のロールで再度面談しないかと言われた。

期待して下さっているのだろう。ぜひとお願いした。しかし、ものすごくショックだ。見透かされた。僕はきっと慢心していたのだ。

たくさん書籍を読み、カンファレンスでの登壇や、コミュニティ運営をしてきたから大丈夫だろうって思い込みがあった。

そして、きっと見込みがある人材を取って教育してくれるはず、という大企業的な驕りがあった。完全に失敗した。僕は仕事を舐めてた。転職を舐めていた。あれだけネガティブなことを考えていたくせに必死ではなかった。

何も手がつかない。

なかなか寝付けない。


2/17

デブサミをちょこちょこ見ているが何も入ってこない。今年も公募で申し込んだが、落選した。来年こそは出たい。

プログラミング課題を辞退したA社から、マネジメントのロールでチームと話してみないかとお声がけいただいた。プロジェクトマネージャの採用は考えていなかったが、選考を受けたチームのプロダクトマネージャが疲弊しているため、プロジェクト管理をする人が欲しいとの声があがったらしい。

まだマネジメントのロールで採用枠を設けるかA社内でも決まっていないらしい。それでもよければチームメンバと一度話してほしいと。

光栄だ。もちろん話を聞くことにする。

残り一つになった牌がまた三つに復活した。不思議なこともあるもんだ。
A社もB社も僕が役立ちそうなロールを考えてくれている。不合格!バイバイ!ではないことに心から感謝する。

絶望したり安堵したり精神が落ち着かない。

癒しを求めて仁義なき戦いの完結編を見て寝る。広島は恐ろしい街だ。


2/18

社内で立ち上げた企画が回り出した。思いの外大きな反響をいただいて驚いている。どうせまたなんかやってら、ってなると思ってた。

大きな企業のいいところだが、しっかり予算がつく。悪いところとしては、実現までものすごく時間がかかった。

でも少しずつ変わることはできると実感している。

もし辞めるにしても、せめてこの企画を軌道に乗せたい。
残された時間で後任に道を示したい。


2/19

雪が降っている。寒い。

土曜出勤してシステムの解析と見積をする。孤独な作業だ。

しのはらさんの記事を読んだ。「どうせ」を「どうせなら」へ。
どうせなら、組織をよくしてから辞めたい。


2/20

B社面接でスクラムマスターとしての具体的なイメージが足りないとの指摘を受けたので、スクラムブートキャンプを引っ張り出してきて読む。

率直なフィードバックをもらえて本当にありがたい。
無茶苦茶落ち込んだけど、自身を改めるきっかけになった。この体験だけでも転職活動をしてよかったと感じている。

久しぶりにテレビ電話で子供の顔を見た。
とても大きくなっていてビビる。一ヵ月以上会っていない。

日曜日だが、何もやる気が起きない。仕事してた方がいいや。


2/21

大量の蛇を自転車で踏み越えていく夢を見た。
夢占いによると、赤やオレンジの蛇が出てくる夢は良い兆候らしい。

朝からD社の一次面接だ。がんばろう。

面接が終わった。今回は人事担当者と話した。

人柄を見たり、働き方についての擦り合わせが主目的らしい。
人柄ってなんだろう?思ってることを素直に話したのだが、僕の人格とは何なのだろうか?

自身の強みと弱みについて話を求められた。先の選考辞退と面接の不合格で、何が得意なのか分からなくなっている。

まあ、これでだめなら僕の人柄はあまりよろしくないってことなのだろうか?皮肉なことに、人柄はあまりよろしくない自信がある。自分というものが分からなくなる。

いや、面接ってそんなもんなんだろうけど。自分を噛み砕いて、求められる部分を抽出していい感じに伝える技術を測られているんだろうけど。嘘はつけないし…。ああ、不器用だ。



2/21時点の選考結果
A社 : プログラマでの選考辞退 → プロジェクトマネージャとして再度面談
B社 : スクラムマスターとしては不合格 → 別のロールで再度面接
C社 : 内定 2月中に回答する約束
D社 : 一次面接の結果待ち



vol.3に続く。


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