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36才SEの転職日記 vol.1

2022/1/26 → 2/5


1/26

職場に僕宛の電話があったと連絡が来た。
チャットに記載されているのは、思い当たらない企業と担当者名。

折り返してみる。
ヘッドハンティング代行業者だった。企業名は偽名で、へー、となる。このように所属企業にバレないよう営業活動しているのか。
どうやって僕を見つけたのかは不明だ。多分カンファレンスの登壇者情報だろう。

急に「転職」という選択肢が頭をよぎる。

今僕が抱える悩みは、リモートで働けてガチガチのウォーターフォールから脱却し顧客に価値を素早く届ける仕事が叶う環境に行けば、全て解決するのではないのか?
転職して島根に移住すれば、義実家の協力も仰げ妻の育児負担も減る。意味の見いだせない出張 (とりあえず顔を見せることが誠意的なやつ) も多分なくなり、家を空ける回数も少なくなるはずだ。
なんてことだ!試しに転職活動してみるか。

エージェントに面談候補日を伝え、その日の会話は終わった。


1/27

36才になった。今年も誕生日を家族と離れて過ごす。昨年は妻の入院。今年は里帰り育児だ。寂しい。

エージェント任せでは不安なので、他にも何社か受けてみようと思う。
A社の友人に声をかけて面談をセッティングしてもらった。友人とはITコミュニティで関わっており、耳に入ってくる働きやすそうな環境を常々羨んでいた。

あー。転職活動してるのか。ついに始まった。

尊敬する中野さんと話したことを思い出す。現在の環境に悶々としていた僕に「ナカミチさんはもっと外の世界で活躍した方がいい。転職活動をするかどうかで悩むのではなく、まずは内定をもらってから転職するかどうかで悩むべきだよ」
確かにそうだ。まずやってみて、もし内定が出たらその時悩もう。


1/28

ITコミュニティで出会ったB社の代表取締役と話している中で「エンジニアの採用はしていますか?」と聞いてみた。

その場で会社説明を受け、後日面談の日程調整をする運びとなった。

僕はプログラマとしてはポンコツなので、スクラムマスターもしくはプロジェクトマネージャのポジションでの採用を希望する旨も伝えた。

B社の経営理念と代表の思想が大好きなので、ここで働ければ嬉しいなーと思う。転職するのであれば、代表の思想と企業に根付いた文化を大切にしたい。


1/29

ヘッドハンティング代行のエージェントとは1/31に話すことになった。
初回はスキルシート作りとか経歴の整理をするっぽい。おすすめの企業も紹介してくれるらしい。そわそわする。

A社との初回面談も1/31に決まった。とりあえず募集しているポジションと会社説明をしてくれるらしい。

思ったより早く色々なことが動く。二月中には何かしらの結果が出るかもしれないな。


1/30

他にも受けた方がいいのかなーとか迷うが、A社B社とエージェント経由のどこかに行けるんじゃないの?って変な楽観もある。

あと単純に、よく知らない企業を受ける気にならない。

現職は仕事内容に不満はあるものの、福利厚生が非常に良い企業なので、もし全部落ちても今まで通り働き続ければいいやーとも思う。春には妻子も戻ってきて一緒に生活できるはずだし。


1/31

エージェントと会話した。最悪だった。

ITに疎すぎる。スキルシートの項目を理解していない。
よくわかっていない技術についてヒアリングし、経験年数を埋めていく。虚無だ。こんな調子ではまともな求人紹介はない気がする。

おすすめ求人として、パソコンやネットワーク機器の設置を行う企業を紹介された。最初にこちらの転職条件を聞いてくれよ!!全くこちらの希望と合わなかったため、一瞬で企業紹介は終わった。他の求人を探すと言っていたが、もう連絡は来ないだろう。
二時間かけてわかったのは、受ける企業は自分で探さなければいけないってことだけだ。


続けてA社の採用担当と面談を行った。絶望した。

希望するスクラムマスター及びプロジェクトマネージャでの募集は現在ないとのこと。プログラマの募集はあるので、そちらで受けてみないかと言われた。プログラマとしてやっていく自信は全くないため辞退するか迷ったが、チャレンジすることにした。

面接に進むにあたってプログラム作成課題を与えられた。期限は二週間。採用担当の「簡単なプログラム」を作って提出してください、って言葉を信じることにしてみる。

面談が終わってから課題の詳細を見た。
僕にとっては全く簡単ではなかった。本日二度目の絶望だ。

課題を通して自分の無能さが露見することが怖い。今まで積み上げてきたものが壊れそうだ。採用担当もカンファレンスで登壇する僕の姿は知っているが、まさかここまでプログラムが書けない奴だとは思っていないだろう。

そこそこの規模のSIerにいる僕にとって、コードは金を積めばあるいは若手に指示すれば生まれてくるものだった。真剣に向き合ってこなかった罰かもしれない。

吐きそうなので白銀ノエルのゲーム実況を見たが何も頭に入ってこない。あんなに好きだったはずなのに。

妻と出会った頃の写真を見ながら、酒を飲んで無理やり寝た。


2/1

5:30。アマデウス (うちのねこ) より早く目が覚めた。気が重い。

コードと向き合うことは自分のコンプレックスを解消するいい機会かもしれない。やるだけやってみようと思う。でも、一応他の求人も探すか…。

通勤電車では気分転換のためミルの自由論を読んだ。小難しい本なのでとても助かる。読書はストレス軽減にとても良い。

仕事中も恐怖が襲ってくる。自身が経験したことのないことに取り組むのは、こんなに怖いことなのか…。見通しのたたない作業は得てして大きく見えるが、これほど怖いものなのか。

食欲がないので昼食はチキンラーメンにした。


急に部長から呼ばれる。経営戦略部に異動しないか?という打診だった。取締役から直々に指名されたらしい。日々技術情報を社内に発信し続けたことや社外活動の実績を評価いただいたっぽい。

とんでもなく光栄なことだが、なぜ今なのだ?転職活動を始めた矢先だ。せめて一年前に言ってくれていたら喜んで飛びついたのに、と嘆く。

今は異動しづらいと丁重にお断りした。

社内での道を一つ失った。是が非でも転職活動を成功させないといけなくなった。

否が応にでも人生の節目ということを感じさせられる。こんなに一気にやってくるものなのか…。


午後からは技術部門の偉い人が、先日起こした事故についてディスカッションするためにやってきた。設計ミスにより事故が起きたのだが、お叱りではなく純粋に話がしたいからわざわざ来てくれたみたい。

設計談義をした。楽しかった。
君には期待している。この失敗経験を活かして、うちの設計レベルを引っ張る役割を担ってほしいとか言われた。
嬉しいけど、なぜ今なんだ…。もっと早く言ってくれれば。

なんか疲れ果てたため早退してアマデウスと寝た。


A社課題に取り組む。8年ぶりくらいのJava開発。

環境作りに手間取った。YouTubeで寺田佳央さんのVSCodeでJava開発のチュートリアルを見ながらやった。無茶苦茶助かる。寺田さん大好き!ありがとう。
2019年に岡山の勉強会の打ち上げで言われた「君はまだJavaの本当の力を知らない」って言葉は一生忘れないと思う。


2/2

アマデウスに叩き起こされたが、ご飯をあげて二度寝した。

昨晩フレームワークの選定や環境づくりまで進んだので大分精神的にマシになった。ITコミュニティを通して出会ってきた方々が力を貸してくれているみたいだ。色々と学んでおいてよかった。

昨日お断りした経営戦略部からのお誘いが再度来た。部分的な所属でいいからとのことで、断れる道理もなく。転職活動してるので…と言えるはずもなく。あれよあれよと経営戦略に関わることになった。なぜだ?


親友の井上さんに転職の意を伝えると「うちの会社を受けてみてよ」と誘ってくれたので、夜直接会って話をした。島根に移住した場合、井上さんの会社で働くことは難しいと言われた。残念だ。でも誘ってくれたことが嬉しい。僕をビジネスマンとして評価してくれたことを誇りに思う。

井上さんと話している最中にTwitterにDMが届いた。とても尊敬する、業界の先輩からの連絡だ。マネージャー探してるんだけど、うちの会社どう?

神がかったタイミングの連絡に無茶苦茶ビビった。
勿論話を聞かせて欲しいと返事した。

転職の意は井上さんと、既に面談した転職先候補の方以外に明かしていない。Twitterは職場の方々にフォローされているので、転職活動についておおっぴらに出来ない。また、SNSで「転職先求む!」って開示をするのは、今お話しさせていただいている企業に対して失礼な気がして、性格上やりたくない。

小説のように日々が動くことに戸惑っている。どこからか転職したがっている気配が漏れているのか?偶然にしては出来過ぎている。

アマデウスに、なんかわからんが流れがきているのでがんばるよって話しかけてから、一緒に寝た。


2/3

転職候補の企業の方々にTwitterをフォローされているため、印象の良い投稿でもしようかと考える。しかしまあ、今更取り繕ってもどうにもならないので平常運行でいく。
意識の高いことを呟こうとしても、いきなりは思いつかない。

とにかく食欲がない。吐き気がする。

仕事を片付け、無理やり牛丼を掻き込んで帰宅する。

夜は前々から声をかけてくれていたベンチャー企業C社の代表とZoomで話した。この方ともITコミュニティで出会った。
僕がITコミュニティで登壇する様子を見て、二年ほど前にも「うちに来ないか」と声をかけていただいた。その縁もあって、現在転職活動をしていることを伝えた。

義理もあって話をしてみたのだが、彼の今後やっていきたいことや組織作りへの悩みを聞くうちに、この企業で働くことに興味が湧いてきた。

給料は今より下がる。

収入が下がる転職は絶対にしないと考えていたが、少しくらい給与が減っても、この方と働いたら面白いんじゃないのかって気分になる。不思議だ。

金の問題は大切だが、割り切れない。悩む。

今来てくれなくても二年後にまた声をかけたいと言ってくれた。その時は今より好条件でオファーできるようがんばる、と。
とても嬉しく思う。

今月中には返事をすると伝えて、退出ボタンを押した。

妻と子どもたちに会いたい。


2/4

職務経歴書が書けない。自分の過去と向き合うのは、なかなかに辛い。
20代をフラフラと過ごしたので、改めて文字に起こすと、これを見て採用したい企業はあるのか?と落ち込んでくる。しかし、過去は消せないので、どうしようもない。

もし転職がうまくいったらこの経験をもとにして、20代をフラフラしていても逆転できる!とか、あなたのコンプレックスは長所にもなる!みたいな、いかにも悩んでる人が欲しそうな記事を書いてバズる妄想をする。

いかん。

僕のような人間を増やしてはいかん。きっとコンプレックスは長所にはならないし、無為な時間を過ごすべきではない。現実逃避をするな。


顧客システムに問題が起きた。障害対応だ。なぜ今日に限って…。
正しくは障害ではなかった。だが、お客さんのオペレーションの問題だろうが保守料をもらってる以上対応する。時間が溶ける。


職務経歴書が書き上がらなかった。B社には今週中に提出すると言ったが、今週とはいつまでだろうか?今日は金曜日だ。

18時を過ぎた。今週は終わったのかもしれない。僕が面接官なら期限を守れない奴は落とす。自分が情けない。

ナンバーガールのOMOIDE IN MY HEADとNIRVANAのBreedを聴いた。そんな気分だ。
やさぐれてとっとと寝る。色々な人への申し訳なさがこみ上げる。


2/5

何故こんなにもネガティブなことばかり考えるのか不思議だ。性格の問題か?考えても仕方がないことはわかっている。やるべきことを進めねば。

こうやって日記をつけることが自身の精神に良い影響を与えているとは思えない。前向きなことを書いたら、気分が上向くのかもしれないが、浮かんでこない。

こんな時は妻が送ってくれた子どもの動画を見よう。いつの間にか伝い歩きが出来るようになったみたいだ。僕もよちよち歩きでも進まないとな。


vol.2に続く。


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