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【読書感想文】TUGUMI

美しい装丁の本だなあと
実家で見つけた1冊。

背を見せて本棚にしまっておくのは
勿体無いくらい。。
しまうのではなく、飾りたくなる本ですね。
山本容子さんの銅版画の挿画のようです。
こうなったらまた、個展に開催の時は行きたくなってしまいますね。

とある書評に、なんと
「現代版・たけくらべ」とあるではないですか!
一葉なだけに、それはそれは気になります。

つぐみちゃんの喋り方が可愛くて、
あーこの混じり気のない素直な感じ好きだなーと思いながら読み続けました。

複雑な環境をあえて重くさせずにふわっと表現しているところとか、ピュアな気持ちをストレートに描いているところとか。

吉本ばななさんが好きな方が、透明感の世界って言葉を使ってたんですけど、、まさにそれでした。

一番好きなシーンは、つぐみちゃんと恭一が出会うとこで。
「あいつただ者じゃなかったな。」
っていうつぐみちゃんのセリフが照れ隠しなのかもぞもぞしてしまいました。

この2人が出会うシーンに、まりあさん(語り手)がいて、次に再会するシーンにもまりあさんがいて。まりあさんは、2人が恋に落ちる瞬間を間近で感じとるわけなんですけど、実はこの感じ、私も半年ほど前に味わいまして。
長く一緒にお仕事をしているデザイナーさんなので、なんとなく分かるんですよね。おそらく本人達より先に私の方が「あっ、この2人は恋に落ちるな」っていうのが。たぶんまりあさんもこの感じなんだろうなと読みながらニヤついてしまいました。デザイナーの方は無事に恋を実らせ、つい先日入籍いたしました。パチパチパチ。2人の出会いに居合わせたってだけでも、なんだか幸せが飛んできそうですよね。

お話を本に戻しまして。。今の年齢になってこの本に出会えてよかったなと思います。子どもと大人の恋愛の仕方、生と死の向き合い方、そんな普遍的なテーマを正面から問われているような感覚です。

また40歳くらいになって読むと、また違う感覚になるのかなーなんて思ったりします。

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