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エンジニア(になった気分をすこーしだけ味わった)。

Mobility Technologies で会長をやっている川鍋です。

これは Mobility Technologies Advent Calendar 2020 の7日目の記事です。

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2017年。私は悩んでいたのだ。アプリ会社の社長なのに、アプリの作り方がわからないのを。

2010年。最初は無邪気な興味だった。「タクシーは拾うから選ぶ時代へ」をスローガンに、選ばれるタクシーを目指した。そのために、コールセンターを磨いた。電話で指名されるために。その延長線上だったのだ。アプリは。

ドミノピザのアプリが、地図でピンを落としたところにピザを届けてくれるんですよ、住所入れなくても、って、後輩から教えてもらった。えっ、これ、タクシーでも使えるじゃん?!それが最初。

アプリ作ろうぜ、アプリ。誰か作れない?って、7人いた日交データサービス(その後のJapanTaxi→現在のMobility Technologies)のエンジニア達に聞いた。「うーん、やってみますけど、、、うちって全部Windowsなんですよね。アプリってマックなんですよ。」「マジかー、、、じゃぁマック買って!」「えっ、買って良いんですか?!」「あ、えっと、、、中古ね、中古で1台ね(汗)」それから数ヶ月で出来たのが、記念すべき日本初のタクシーアプリ、「日本交通タクシー配車アプリ」(その後の全国タクシー→JapanTaxi→現在のGO)だった。

東京駅の北口で初めてアプリをテストした時のことは、まさに昨日のように覚えている。ピンを落とす。配車ボタンを押す。ホントに来るのかな、、、と思って5分、日交のアンドンがピカッと光って見えた瞬間。ほんとに来たーーーーーーーーーーーーーーー!!!アプリでタクシーを呼ぶ。ただそれだけのことなのに、何故か階段がふっと上がる、右肩上がりでなく、体験が垂直にフッと立ち上がる、その感覚は今でも鮮明に覚えている。

エンジニア、すっご。

自分とは違う人種の、でもこれから絶対必要じゃんこれ、という感覚が芽生えた瞬間。

それから7年経った2017年の年末。
私は決めたのだ。
突入することを。
エンジニアに、俺はなる!

きっかけはオフィスビルの1階のファミマでコーヒーを買っていた時だった。「川鍋さん、僕、柴山って言います、マッキンゼーの後輩です!」と、やたらニコニコ愛想の良い人に声を掛けられた。聞くと、同じビルの3階で、ウェルスナビというベンチャーをやってるらしい。何?テックキャンプって言うプログラミング教室に通ってサービスの原型を作ったって?マジかー、教室なら優しく教えてくれるかも!!その時、柴山さんが東大法学部から財務省に行った秀才とは気付いていなかったのが、ある意味自分らしい。

とは言え、私はそれなりに忙しい。1週間のまとまった時間が取れるのはいつか。普通に考えると、ない。いや、正月だ。賀詞交歓会とか、社交的な会合をぜーーーんぶすっ飛ばせば、1週間なら何とかなる。そう思い、12月29日からの「イナズマ1週間コース」にエントリー。

その前に、、、予定通り12月28日、第三子が産声を上げた。大丈夫、ウチの妻は強い(ホント&感謝)。赤ちゃんと1才と4才の3人を妻に任せ、私は飛んだ。渋谷へ。

渋谷は、近くて遠い、ワカモノの街。そのど真ん中、道玄坂に降り立つ。唯一の社長っぽさの象徴であるタクシーを降りた瞬間から、俺はなった。カワナベイチロウという、1人の学生に。

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教室では、、、最初からわかっていた。俺が平均年齢を上げてることを。わかっていた。1人だけWeb教材の進捗が遅いことを。わかっていた。若者より多くの休憩とコーヒーとケーキを必要とすることを。

それでも俺はやった。耐え抜いた。10時から22時まで、休みなしの7日間。同期7人。途中、もう1人いた「社長」はリタイヤした。社長としてプログラミングを体験しにきたんだ、もうわかったから、と去っていったらしい。

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俺はその誘惑に負けなかった。48才(当時)の脳ミソは、普段使わない領域がフル回転し、ランチのつけ麺なんぞ速攻分解した。唯一の希望は、教室に存在する「先生」の存在。

先生に聞くと、わかる。ウンウン30分うなり、分からなかった事が。引数って「インスウ」じゃなくて「ヒキスウ」なの?メソッド内に外で定義したオブジェクトを持っていけるの?クラス変数を配列オブジェクトとして定義?!

あれから3年。全部忘れました。Ruby on rails。CSSもHTMLも。

でも、全部覚えてます。エディタの黒い背景に、コレって会社にいるエンジニア達と同じじゃん!?って満足感を覚えた自分を。何度考えてもプログラムが動かずに、クソーくそー糞ーっと繰り返しながら飲んだ道玄坂のセブンのコーヒーの味を。50行位のプログラムが、スペースの全角を半角にした途端に全てが動いた瞬間の、心臓のドキッとした喜びを。

↓ 救いの神により、自作アプリが動いた瞬間!

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そして私は辿り着きました。

エンジニア。

多分何度生まれ変わってもなれる気がしないもの。

エンジニア。

でも絶対に必要なもの。世の中に魔法をもたらすもの。そしてその魔法は、繊細な、気まぐれな、でもロジカルなコードの、その何万行もの集まりで成り立っていることを私は見た。

エンジニアは、無惨を倒すために一緒に戦う柱たち。自分は、絶対に諦めない、強い気持ちだけを武器に一緒に戦うのだ、Mobility Technologiesで。

2018年の始まり。それは自分がエンジニア(になった気分をすこーしだけ味わった)、淡い思い出一杯の1週間。



↓ 自作アプリ(起動するとtwillo経由で「いま出ます」と運転手にSNS送る)

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↑ 応援に駆けつけてくれた柴山さん、(まこなり社長になる前の)テックキャンプ真子社長、同期のみんな


Mobility Technologies Advent Calendar 2020 の8日目は、うっちー(yuu.uchida)さんによる、リモート会議ばかりなのでバーチャル美少女を受肉して参加した話」です。是非お楽しみに。


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