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光る君へ(12)吉高由里子さんと黒木華さんの演技・大河ドラマで学ぶ脚本テクニック

大河ドラマ「光る君へ」が面白い。ということで、「「光る君へ」で学ぶ脚本テクニック」と題した動画を作っていくことにしました。動画といっても内容はスライドとテキストなので、noteにも載せていきます。今回は第12回の学びポイントです。
歴史の知識や「源氏物語」については一切触れませんので、予めご了承ください。

今回の学び

先週、こういうインタビュー記事を目にしました。記事によると、道長役の柄本さんは作者の大石先生に「ゴッドファーザーのアル・パチーノのような道長をやりたい」と言われたそうです。

先々週の動画でちょうど「道長の物語はゴッドファーザーの物語と同じだ」と指摘したところだったので、「やはり」と思うと同時に、ちょっとびっくりしました。

というのは、主人公の「マイケル」ではなく、俳優の「アル・パチーノ」という名前を出しているからです。

つまり大石先生は、物語やキャラクターだけでなく役者の演技までイメージして、こうおっしゃっているということです。

演技って何?

そこで今回は演技について考えたいと思います。
どんないい脚本でも、役者さんがそれを演じてくれなければ作品になりません。ですから、脚本と演技は不可分です。

でも、演技というのはなかなか言葉で説明しづらいですよね。「ゴッドファーザーのアル・パチーノの演技」といっても、映画を見ていない人にはまったくわかりません。

そこで思い出すのが、榊原郁恵さんのヒット曲「アル・パシーノ+アラン・ドロン<あなた 」です。

歌詞は「アル・パチーノのマネをするあなたより、あなたらしいあなたが好き」という内容なんですが、「アル・パチーノのマネ」って何かというと、この歌の歌詞では「ニヒルに笑う」ことなんですね。

「ニヒル」は「冷たく醒めている」ことです。ですから「ニヒルな笑い」をあえて具体的に説明するなら、「が笑っていない」という感じになると思います。

何を考えているのか、どこを見ているのかわからないアル・パチーノの「目つき」、それこそが「ゴッドファーザーのアル・パチーノの演技」だ。
ひとまずそう説明できるかもしれません。

「光る君へ」でも、目に注目すれば演技を語れるのではないかと思います。

例えば、まひろと倫子は対照的なキャラクターですが、演じる吉高由里子さんと黒木華さんの演技も対照的です。

これは、瞳の動き・動かし方が対照的だからです。
吉高さんの瞳はよく動き、 黒木さんの瞳はあまり動きません。

この違いが、行動的で感情豊かなまひろと、上品で聡明な倫子のキャラクターの違いを、とても良く表現していると思います。

「生涯猫しか愛でませぬ!」というセリフで、あらぬ場所を凝視する黒木さんの「目線」は、実によくキャラクターを表現していましたよね。

ところで、瞳に映った光の反射を「キャッチライト」と言いますが、吉高さんのアップには、このキャッチライトがかなり「盛られている」ように感じます。

このキャッチライトによって、吉高さんの目の演技は、映像的にも強調されていると思います。

ちなみにゴッドファーザーでは、マイケルの父親を演じる名優マーロン・
ブランドの目の周りが「」になるように、真上から照明を当てたそうです。

その理由は 考えを相手に悟らせない、威厳に満ちたマフィアのボスを表現するためです。
これも、演技では目が重要だということを示す逸話だと思います。


最後までお読みいただきありがとうございました。
今後も、こんな感じで学びポイントを取り上げていくつもりです。
背景画像:
From The New York Public Library https://digitalcollections.nypl.org/items/510d47e3-fe62-a3d9-e040-e00a18064a99

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