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~第71回 ~「イナダヒメノミコトの話」

氷川神社の御祭神は須佐之男命(スサノオノミコト)、稲田姫命(イナダヒメノミコト)、大己貴命(オオナムチノミコト)の三柱です。
このうち稲田姫命は稲田の神として信仰される女神で、『日本書紀』の巻第一神代上 第八段、いわゆる八岐大蛇の段の本文では奇稲田姫、また、ある文に曰くとして稲田媛とあります。
稲田姫は八岐大蛇退治の際、スサノオノミコトの神通力によってその身を小さな櫛に変えられたこともあり、クシナダヒメ・クシイナダヒメとも記載され、『古事記』では櫛名田比売とあります。

櫛(クシ)と奇(クシ)。
「奇」という文字には「不思議」「神秘的」といった意味があります。
神道では「幸魂(サキミタマ)・奇魂(クシミタマ)」のなかに「奇」の文字が見えます。
これも日本書紀にあり、オオナムチノミコト(大国主命)が国造りの半ばで少彦名命に常世郷に先立たれて困難に直面し、出雲国に至り言挙げした時、海のかなたから光る神が近づいてきました。
それが「幸魂奇魂」です。
単語一つにも深いや謂れがありますね。

このように様々な名前がありますが、当社は「稲田姫命」様としてお祀りをしております。
夏も終わりに差し掛かってくると、いよいよ秋の収穫の年中行事に向かいます。
豊かな稲穂が実り五穀豊穣になること、そして自然災害がないように皆様で祈りを捧げましょう。

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〔 Word : Keiko Yamasaki Photo : Hiroyuki Kudoh 〕

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