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~第116回~「スサノオと自然災害の話」

古くより神社はその地域コミュニティの中心に存在しながら、年中の様々な祭礼を通し、地域の方々と心を一つにしてきた歴史があります。

その歴史は科学の目から見ても確かな意味があるようです。

総合情報サイト「プレジデント オンライン」で7月に配信された記事に、「タワマンだけはありえない…そう断言するひろゆきの『東京に住むならどこか?』への意外な回答」というものがありました。

その中で、書評サイト「HONZ」代表の成毛眞氏が、

「東京工業大学のグループが『東日本大震災の津波被害における神社の祭神とその空間的配置』を調査したところ、自然災害を治めるスサノオを祭る神社の被害はほとんどなかったようですね。神社は数百年から千年単位で続くものもあるので、『歴史の古い神社は天災に強い説』は割と信憑性があると思いますよ。」

と語っています。 この発言の引用元はおそらく、「木学会論文集F6(安全問題)」(公益社団法人土木学会 2012)に収められている「東日本大震災の津波被害における神社の祭神とその空間的配置に関する研究」(高田 知紀、梅津 喜美夫、桑子 敏雄)です。

この論文には冒頭、以下のように記されております。 「東日本大震災では、多くの神社が津波被害を免れたことが指摘されている。本研究では、日本の神社に祀られる祭神の多様性は、人々の関心に応じた差異化の結果であるという仮説から、宮城県沿岸部の神社についてその祭神と空間的配置に着目しながら被害調査を行った。祭神については特に、ヤマタノオロチ退治で知られるスサノオノミコトに着目した。スサノオは無病息災の神として祀られることから、洪水や津波といった自然災害時にも大きな役割を果たすと考えられる。また、地域の治水上の要所に鎮座していることが多い。東北での調査から、スサノオを祀った神社、またスサノオがルーツであると考えられる熊野神社は、そのほとんどが津波被害を免れていることを明らかにした。この結果は、地域の歴史や文化をふまえたリスク・マネジメントのあり方について重要な知見を提供する。」※引用

神社の境内や周囲には森や山、川などの自然があり、そして人々の生活があります。

それはすなわち、私たち日本人が日々の生活を神様と共に過ごしてきた絆でもあるのです。

〔 Word : Keiko Yamasaki Photo : Hiroyuki Kudoh 〕

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