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~第224回~「秋と観月と実り」

9月(長月)になりました。
神道では1年を通し多くの神事・祭礼が行われますが、長月の時季になると観月祭が行われます。
地域によって9月、10月のどちらかで行われており、武蔵一宮氷川神社では10月に行われます。

旧暦8月15日は十五夜、中秋の名月ともいわれ、もとは供物を献じて十五夜の満月を鑑賞する「中秋観月」が中国から伝わり、時を経て日本で定着し、各地の神社でも行われるようになりました。
観月祭は、御神前で神事を斎行した後、楽器の音色を楽しむ管絃や、神を和めるための祭祀舞など、伝統的な雅楽が奉納されます。

観月の歴史は、文献では平安初期まで遡ることができ、最古の例は、平安初期の漢詩人島田忠臣の家集『田氏家集』に収録されています。
しかしこの時は詩作をし、詩歌を楽しむものでした
現在のような観月の形になったのは、平安前期の文徳天皇の頃にすでに年中行事化していたという説もありますが、康保三年(966)8月15日(あるいは閏8月)に清涼殿において村上天皇が主催した宴からとする話が知られています。
藤原道長のサクセスストーリーを記した『栄華物語』巻一「月の宴」にも詳しく書かれています。

日本では農作物の豊穰を月に感謝する祭礼として定着したと考えられており、特に秋の月を尊ぶのも稲穂の成熟と深い関係があるとされます。
本年は日本各地の農耕地に台風の影響が出ていますが、だからこそ大地の豊穣に対し、育ってくれたこと・実ってくれたことに心から感謝したいですね。

〔 Word : Keiko Yamasaki Photo : Hiroyuki Kudoh 〕

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