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~第32回~「槇の話」

11月8日、秋篠宮文仁親王殿下(秋篠宮さま)が皇位継承順位1位の皇嗣(こうし)になられたことを国の内外に示す「立皇嗣の礼」が皇居で行われ、天皇陛下が秋篠宮さまの地位を宣言、秋篠宮さまが皇位継承順位1位となったことへの決意の言葉を表明されました。
これは天皇の御代替わりに伴う一連の儀式を締めくくる最後の行事となりますが、立皇嗣の礼は前例がなく、天皇陛下が平成の御代に皇太子になられた際の儀式「立太子の礼」を踏襲されました。

ところで、日本の皇族が身の回りの品などに用いる徽章・シンボルマークを「お印」と言います。
今上天皇は「梓(あずさ)」、秋篠宮さまは「栂(つが)」、皇位継承順位が父・秋篠宮さまに次ぐ第2位である悠仁(ひさひと)親王殿下は「高野槙(こうやまき)」です。
この槙ですが、日本神話ではスサノオノミコトが生んだ樹木とされております。

その神話が記されているのは『日本書紀』卷第一第八段「第五の一書」。
原文には「一書曰 素戔嗚尊曰 韓郷之嶋 是有金銀 若使吾兒所御之國 不有浮寶者 未是佳也 乃拔鬚髯散之 即成杉 又拔散胸毛 是成檜 尻毛是成柀 眉毛是成櫲樟 已而定其當用 乃稱之曰 杉及櫲樟 此兩樹者 可以爲浮寶 檜可以爲瑞宮之材 柀可以爲顯見蒼生奥津棄戸將臥之具 夫須噉八十木種 皆能播生 于時 素戔嗚尊之子 號曰五十猛命 妹大屋津姫命 次枛津姫命 凡此三神 亦能分布木種 即奉渡於紀伊國也 然後 素戔嗚尊 居熊成峯 而遂入於根國者矣棄戸 此云須多杯 柀 此云磨紀」とあり、スサノオは国のために自分の体毛を抜き出し、ヒゲから杉、胸毛から檜、尻毛から槇(マキ)、眉毛から楠などを生み出し、それを息子イソタケルらが全国に植えたという内容です。

日本は多くの樹木に覆われた国です。
その樹木を生んだ神話も大切にしたいですね。

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〔 Word : Keiko Yamasaki Photo : Hiroyuki Kudoh 〕

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