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~第23話~「大己貴命の話」

私共氷川神社の御祭神は須佐之男命、稲田姫命、そして大己貴命(おおなむちのみこと)です。大己貴命は『日本書紀』神代上 第八段に「大己貴神」「国作大己貴命」と書かれているほか、「大国主神」「大物主神)」「大国玉神」などとも書かれております。『古事記』では「大穴牟遲神」「大国主神」などと書かれております。『日本書紀』正伝には須佐之男命の息子とありますが、『古事記』や『日本書紀』異伝には須佐之男命の六世の孫、また『日本書紀』の別の一書には七世の孫と記されております。いずれにせよ日本国を創った国作りの神として信仰される存在です。

大己貴命のご活躍の中で最も有名な神話といえば「稲羽の白兎」。『古事記』上巻に登場する神話です(「稻羽之素菟」)。この神話は私どものHPでも紹介しておりますので以下引用いたします。

大己貴命にはたくさんの兄がいました。それぞれが稲羽の国の八上比売に求婚しようと思い、荷物を大己貴命に持たせて連れて行きました。道の途中で赤裸にされた兎が伏せっていたので、兄神は「海の潮をたっぷり浴びて、風に当たり、日を浴びれば治る」と教え、兎がそうすると、傷はますますひどくなりました。遅れて来た大己貴命が兎に泣いている理由を聞くと「私は隠岐の島に住んでいたのですが、海を渡るのに、海の鮫にどちらの一族が多いか比べよう、私が数えるから一族を呼んでくれと言い、陸地に着くところで、うっかりだましたことを言ってしまい、鮫に毛皮をはがされてしまいました。それで泣いていたら、あなたの兄神にだまされて、私の体はすっかり傷ついてしまいました」と言うので、大己貴命は「すぐに河口に行って真水でよく洗い、蒲の花を蒔き散らした上に寝転がれば治る」と教え、その通りにすると、元の体に治りました。そこで兎は大己貴命に「八上比売はきっとあなたと結婚するでしょう」と予言し、その通りになりました。

この神話は小学校の国語の教科書にも登場したことがありますので、日本神話の中でも最も親しみある神話のひとつかもしれませんね。

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〔 Word : Keiko Yamasaki Photo : Hiroyuki Kudoh 〕

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