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~第217回~「自然への畏怖とスサノオノミコト」

武蔵一宮氷川神社の主祭神・スサノオノミコトは全国に広く民間信仰を集める神様としても知られております。
その信仰の一つは疫病退散の神としてのもので、スサノオノミコト並びにスサノオノミコトと習合した祇園精舎(仏教の開祖・釈迦に寄進された僧院)の守護神・牛頭天王への信仰です。

古くより日本人は生活を脅かす天災や疫病は、非業の死を遂げた人間の「怨霊」のしわざと見なして畏怖し、鎮めてきました。
これを御霊信仰と言います。
この日本古来の自然への畏怖の心とスサノオノミコトへの信仰が平安時代に合体しました。

この御霊信仰は平安時代になると国家祭事に発展します。
疫病が流行った際に、疫病に関わる神を祀ることによってそれを防ぐ祈りの祭事「御霊会(ゴリョウエ)」です。

御霊会の代表的なものとしては、貞観5年(863)の春、咳逆病が流行り百姓が多く倒れたことから、 5月20日に朝廷は神泉苑で初めて国家的な御霊会を行っています。
この時は早良親王、伊予親王など六柱の御霊の霊座を設け、 経典の演述や、雅楽の演奏、稚児の舞などが奉納されました。

その後、富士山噴火や貞観大地震など全国的な災害が起こったため、 貞観11年(869)6月14日に、当時の国の数である66本の鉾を造り、 牛頭天王と習合した疫病祓いの神・スサノオノミコトを祀るべく祇園社(現・八坂神社)から神泉苑に神輿を送りました。

これが「祇園御霊会」と言われ、現在の京都の祇園祭の発祥とされます。
今日においても、スサノオノミコトの疫病祓いの神としての信仰は失われることなく、全国各地で行われる「祇園祭」や「天王祭」の中で信仰が続いています。
それは、日本人が無病息災に生きていきたいと願う心の顕れであり、災害含め自然への畏怖の心でもあるのです。

〔 Word : Keiko Yamasaki Photo : Hiroyuki Kudoh 〕

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