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静かすぎるAirbnbで忍び足生活

フィンランドに来て丸2か月。未だ定住先が決まらず、仮住まい生活が続いている。今、住んでいるのはヘルシンキに近い長閑な郊外にある一軒家のゲストルーム。Airbnbで予約をした。

2階建ての大きな家で、1階に年配のホスト夫婦とペットの犬が、2階にわたしを含め4人のゲストが滞在している。そもそも、ゲストは自分1人だと思い込んでいたので、到着日に他に3人も人がいることにちょっと驚いた。

8畳ほどのゲストルームにはベッド、デスク、ソファがあり、完全にプライベートスペースが確保されていて快適。簡易キッチンとシャワールームも2階にあるので、生活はこのフロアで完結できる。明るく、清潔で、何かとコストが高いフィンランドで、月額5万円で住まわせてもらうには申し分ない環境だ。

生活空間が分かれているので、ほとんど顔を合わせることはないけれど、ホスト夫婦も良い人そう。真っ黒でくりくりの毛に覆われた人懐こい犬もかわいい。

と、ここまで何の問題もなさそうなのだが、1週間ほど過ごしたところで、だんだん気になってきていることがある。

あまりにも静かすぎるのだ。他の人がいる気配がない。

隣の部屋は壁を挟んですぐ隣、キッチンはドアを出てすぐそこだけれど、本当にたまに誰かがいる気配がするだけで、基本的に物音ひとつしない。シャワーやトイレも一度も誰とも被らず、好きなタイミングで入れている。

部屋ごとに1段ずつ収納スペースが与えられている戸棚を見ると、自分以外の人たちはどうやら随分長く滞在しているのではないかと推測される。食糧品のストックが短期滞在の量ではない。

Room1、Room2、Room3とあって、Room4がわたし。
ホストからは初日に、Roo1にはライターが、Room2にはトラックドライバーが滞在していると紹介された。

お隣のRoom3の男性がかろうじて一番顔を合わせる回数が多いけど、Hiと交わす程度。最近、ようやくランドリールームでいっしょになったので、勇気を出して、ここにどれくらい滞在しているのかを尋ねてみた。

すると、まさかの4年…!

聞き間違いだろうか。

でも、戸棚の荷物から推測される生活の蓄積の期間としては納得がいく。ついでに他の人もそうなのか聞いてみると、割と長いよというようなことを言っていた(気がする)。

そうか、わたしは自分の1か月の滞在が長い方だと思っていたけど、もうみんなここに普通に住んでいるんだ。

後々、Roo1の女性ともキッチンで遭遇。Room2の男性は一度だけ姿を見かけた。そしてその時はなぜか2人の男性が部屋から出てきた。ますます状況が読めない。

他の人たちがあまりにも静かすぎるので、わたしも物音には気を遣う。歩く時は常に抜き足、差し足、忍び足。ドアは音を立てないように締め、オンラインの打ち合わせをする時は、いつもより声のボリュームを落とす。
それから、シャワールームを使った後は髪の毛が落ちていないかチェック、キッチンもできるだけ汚さないように最小限の調理のみ。新人なりの配慮をしながら生活している。

快適だけれど、どこか奇妙な共同生活。
たまに、キッチンの洗いかごの食器が増えたり減ったりしているから、一応他の住人たちも、食べて生きてはいるのだろう。
他の住人たちに、どんな事情があるのかはわからないけど、いろんな暮らし方があるんだなあ。





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