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吉本ばななさんの『ミトンとふびん』について/一日一微発見290

ある日、家に本が届いた。
吉本ばななさんの新著だった。「著者から」ということで、出版社が送ってくれたのだ。少し驚いた。

ばななさんとはもうずいぶん長くお付き合いさせて頂き、インタビューや原稿をお願いしたりしてきたが、気づいてみると、このところ、ずいぶんお会いしていなかった。

僕が60歳になった時に、親しい友人たちが集まって渋谷のカフェレストランで小さなパーティーを開いてくれたことがあって、ふっと隣の部屋を見たら、ばななさんが友人と彼女の50歳の誕生日を祝って集っていて、ビックリした。

その時、ばななさんは満面の笑みで「シゲオ、還暦おめでとう!」と言ってくれ、僕もばななさんの誕生日を祝って抱き合った。

きっとその時以来、お会いしていないかもしれない。僕も忙しさにかまけて、ばななさんの情報は断片的に見聞きしてはいたものの、作品と正面から向かい合っていなかった。

しかし、「ばななさんと再び」という予兆はあった。

それはちょうど、彼女のお父さんである吉本隆明さんの『最後の親鸞』という本を、これも何十年ぶりかで読み直していたからだ。

いろんな縁があって、京都の東本願寺で2023年にある親鸞聖人御誕生850年という法事でのアート企画をプレゼンすることになって、親鸞について考えるにあたり、お父さんの本を読んでいたのだ。そんなタイミングでふいに本が届いた。

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