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コロナの時をのりこえ生きていく(絵本作家ジュナイダとの午後)/一日一微発見180

「僕は、いっつもひきこもっているようなものだから、今年コロナの期間中、絵ばかり描く毎日でしたよ。」

ジュナイダは、コーヒーをのみながらそう言った。彼が奥さんと2人でやってきた店Headgehogから南歩いて数分のところの誠光堂書店の隣の喫茶店で、僕らはもう3時間近く話している。

「2年くらい会ってなかったですねー」
とジュナイダは笑うが、彼はちっとも変わらない。
先週会ったばかりのような気がする。

先日、彼は最近刊の絵本『怪物園』(福音館書店刊)を贈ってくれて、それがあまりに素晴らしくて電話して、数日後にちょうど京都の大学に行くタイミングだったので、彼の店に行って、彼に会いそこで開催中の『怪物園』原画展を見たのだった。

本は本で素晴らしかったが、(ブックデザインは旧知の祖父江慎君である)、原画は原画で、別のもので素晴らしかった。

それは彼が絵の「細部」にどれぐらい手を入れ続けて一枚の絵に仕上がるかが、ビシビシ伝わってくるから。
来てよかったと思った。

怪物たちの表情ばかりではなく、地面に生えた草や遠景の建物の窓のひとつひとつ。それらが等しく手が入れられていて、膨大な細胞からできている生命体のように絵ができあがっていることがよくわかる。
架想にもかかわらず圧倒的な存在感。そこにはっきり、ある。

描くのに、どれぐらい時間がかかったの?と質問したら
「3ヶ月、3日に1枚くらいかな。1日8時間以上描いてましたよ。」
と、いつものように柔らかく、そしてシャイな感じでジュナイダは、微笑みながら答えたのだった。


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