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接触フォビアの時代の愛02(パティ・スミス『ジャスト・キッズ』を読み直す)/一日一微発見113

パティ・スミスは1947年生まれだからもう73歳になる。

この本は、南部の街から何のツテもないままNYに出てきたパティが偶然ロバート・メイプルソープと出会い、恋人同士となり、しかし、アーティスになるために励まし合い、格闘し、さまざまな複雑な人間関係の渦に化学反応しながら、宿命的な人生を進んでいく、ライフストーリーだ。


精緻な事実を積み重ねていて、ドキュメンタリーとも言えるし、リアルをこえた、すぐれたフィクション、つまりノベルと言ってもよいと思う。

ロバート・メイプルソープは1989年にエイズで死ぬ。その生々しい過程も書かれているが、そのことをパティが本『ジャスト・キッズ』にして出したのは、2010年。20年後まで彼女は、封印していたのである。

メイプルソープとのこと、つまりふたりがどういうプロセスで、パティ・スミスと、ロバート・メイプルソープになったのかは、他の誰にもかけないシークレットだからだ。

彼女と彼の恋愛は、人でなしの恋だ。
魔術と変成のラブストーリーだ。

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1,282字

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