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アレック・ソス『Gathered Leaves Annotated』/目は旅をする054(地図のない旅/行先のない旅)

アレック・ソス『Gathered Leaves Annotated』
MACK刊

アレック・ソスは、極めて今日的であり、かつ特異な写真家だと思う。
彼の写真には、「風景」や「人」といった抽象的なものはない。「風景」や「人」というコトバで括れない具体的なもので出来ている。結論めいたものもない。朝起きると太陽が昇り一日が始まることが繰り返されるように、終わりもない。

『Gathered Leaves Annotated』と題されたザラ紙に印刷された720ページにもおよぶ「写真集」のページを一枚づつ繰る。これはAnnotated(注釈付)とあるように一筋縄の写真集ではない。

ソスは冒頭で自ら書いている。
「この本のタイトルは、ウォルト・ホイットマンの『草の葉』に由来している。ちなみに、ホイットマンのタイトルは自虐的な駄洒落であった。"Leaves "はページを表す別の言葉で、"grass "は価値の低い本を表す出版社の言葉である。私はこの編集物を、かき集めた葉っぱの山、あるいは地図上のいくつかのピンのようなものだと考えている」と。

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