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IN&OUT of TOKYO 17「京都にて/名和晃平と」/一日一微発見145

僕は京都の西陣に、築80年くらいの三軒町家を借りている。
北野天神にもほど近く、織物の街である。

羽振りのよかった時代はとうに過ぎ去ってしまったが、品の良い下町としての良さがある。僕はいままで下鴨、浄土寺や御所南などに住んできたけれど、一番住みやすいかもしれない。

物価も安く生活に便利だし、路上で遊ぶ子供たちも、安全だ。
花街である上七軒にも近いから、飲食店でもちょっと隠れ家的な、気のきいた店もある。
ここは、歴史の山と谷をくぐり抜けて守り抜かれてきた良き街なのである。

しかし最近は、民泊もたくさん出来、また堀川商店街もリニューアルが始まり、西陣も観光の波に飲み込まれるかに見えた。

しかし、コロナである。全てが止まってしまった。だからと言ってガッカリもしない。もとの喧騒のない京都にもどるだけのことだ。

大学の授業がすべてZOOMになり、学生たちは下宿にこもったまま。僕も対面授業がなくなり、2月の頭から7月の終わりまで、全く来る機会がなかった。

町家の一階が、妻たちがやっている施術用のサロンなので、僕らが来なくても、無人というわけではないが、今年は来ないうちに坪庭のバラの満開も、あじさいも全く見ずにおわった。

今回の京都は、久しぶりに西陣の家に寄りたかったし、アーティストの名和晃平とミーティングする必要もあった。

名和晃平のスタジオであるsandwichは、京都駅から南へ。

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