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IN&OUT of TOKYO 04「遠い砂漠の中で」/一日一微発見120

さっき、『ARTFORUM』誌のオンライン・ニューズレターのをチェックしていたら、僕の好きなアーティストであるアンドレア・ジッテルのテキストを見つけた。

ジッテルは、1965年アメリカのカリフォルニア生まれの女性アーティストだが、すべてのメディアを使って表現する。

彼女のアートフォームは社会実験であり、同時にユートピックなリビングシステムの開発だ。

僕は以前、2008年にバーゼルのシャウラガー美術館での大規模な個展を観て、すっかり好きになってしまった。

90年代に家具や衣服、そしてシェルターなどを作品として作り始めるが、それを人間の社会のありようの根本や全体を再考する作業へと発展させる。

環境や生態をテーマにしたシステム絵画もつくり、ブルックリンに「AZ East」と名付けたスタジオ、ショールームを開設。

それはギャラリーというより、彼女自身が、生活実験をするテスト場であり、そのプロセスで、さまざまなユートピックなプロトタイプ、リビングユニットが作られた。

中でも展覧会に出ていた「Escape Vehicles」は、20世紀のフューチャリストは殆どが男性だったから、ジッテルの存在は実に重要だと思った。

最近でこそ、オラファー・エリアソンやピエール・ユイグのようなヴィジョナリータイプに注目が集まっているが、ジッテルの実践も、彼ら以上にスケールが大きい。

彼女はモハべ砂漠を50エイカー購入して、ライフプロジェクト「AZ West」に拡大している。それは、もう20年前であり、アーティストのヴィジョンとは、なんと先見性があるものかと、思われる。

新型コロナによる地球全体をまきこんだカタストロフが起きた今、彼女ほど、いま何を考えているか、知りたい人はないだろう。

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