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記事一覧
とてちてた(短編小説)
「ありがとうございました。
美味しく召し上がれますように」
という銀だこ店員さんのおまじないに里香は癒された。しかし今日はもっと癒されたいと思ったので里香は名護さんに会いに行くことにする。
「本日揚げ物をふたつ買うと百円びきです。
ごいっしょにいかがですか?」
と会って早々胃もたれしそうな提案を持ちかける名護さんに「いりません、たこやきを買ってきたので」と里香は胃を気遣ってにこりと答えた。
回転木馬(短編小説)
たとえば目の前に一本のマッチ棒があるとする。
それを見てあなたは何を考える?
「マッチ棒かぁ……」
うーんと可愛く唸ったあと、彼女は鼻の頭を指で擦った。それから首をこてんと横に傾ける。
「マッチ棒さん、あなたは赤毛だから、エド・スミスね」
考え抜いて出した答えはそれらしい。
「さぁ、ギターを鳴らして永遠の愛を歌ってごらん」
なるほど。それはとんでもない皮肉だね、と言いたくなる気持ちをぐっ