安らぎとハッピーと美味をもたらしてくれた「幸せの製麺機」
ちょっと前にこんなツイートをした。
このツイートをした時、私は激しい生理痛でほぼ3日間何もできずに寝込んでいた。「夫くん、お願いだから野菜だけ切っておいてもらえないかな」とベッドの上からお願いした日曜日のお昼。すると
「えー?俺、Ichikoちゃんが想像している以上に疲れてるよ?年末年始の仕事の疲れも全くとれてないし、何なら今晩のZoom会議もキャンセルしたいと思ってるもん」
いやいや年末年始から約2週間経ってるし、あなた今日朝からダラダラしとったやないかい・・・!
私が調子悪くて寝込んでも野菜も切ってもらえないんだ・・・。
ううう・・・。痛いお腹を押さえながらベッドから起き上がり、夕食作りに台所に立った。
「調子わるいなら無理しなくていいんだよ?デリバリーとろうよ」
いや、そうなんだけど、そうじゃないんだよ。ただ、私のために台所に立って包丁を握ってもらいたいだけだったんだ。たまには私のために何かを作って欲しかったんだ。誰かの手料理が食べたかったんだ。ただの私のわがままなんだ。
その後の一言でもう完全に諦めがついた。
「『Ichikoが作らない=俺が作る』だと思わないでね。こういう時のためにラーメンストックしておきなよ。」
誰が調子悪い時にラーメンやらデリバリーのハンバーガーやら食べたくなるんだよ・・・。そう思いながら渋々料理に勤しんだいつかの週末。そして冒頭のツイートに繋がる。
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そこから2週間。上記のやりとりなんて頭の片隅にすらなくなっており、普通の日常を過ごしていたある平日の午後、仕事中の夫からメッセージが届いた。
「製麺機を買おうと思う!」
んんん!?別に良いけど、麺類が食べたいから私に生麺を打たせるつもりか!?と思ったけど違った。前々から麺類が食べたいと言っていた夫。特に夫はラーメンが大好きだ。この南米の端っこのちっちゃな国には和食がほとんど入っておらず、ラーメン屋さんもうどん屋さんもない。お店でも買えない。
そんなわけで、食べたい物は自分で作れば良いんだ!と思ったらしい。
さっそくその週末に製麺機を買い、小麦粉類一式を買い、重曹を買い、ラーメンスープ用に昆布と鶏胸肉を買い。チャーシュー用の豚塊も。
2週間前には「俺は包丁は持たねー!」状態だった夫が、本格麺類作りに着手した。まずはうどん。
え、何これ・・・。最高に美味しかった。今まで食べたどのうどんよりも。麺が最高だ。何だこの麺・・・。
次の日、豚塊を糸で縛って表面を焼き、長時間煮込んだチャーシュー。
そしてラーメンの製麺。
鶏胸肉を叩いてミンチにし、昆布出汁で長時間煮込んでこして作った塩ラーメン。先ほどのチャーシューを上に乗せて。
え・・ちょま・・・何これ・・・。神がかってる。透き通ったスープ。
美味。美味。美味!ラーメンはこってり派の私だが、あっさりラーメンでこんなに感動を覚えたのは初めての経験だった。
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うどんもラーメンも、夫婦で半ば泣きそうになりながら、でも笑顔いっぱい、「美味しいね」と言い合って食べた。
もちろん製麺機を使うとは言え、麵類作りは楽な仕事ではない。その上、チャーシューを作りに奮闘し、長時間かけてスープをこしらえた夫。片付けが終わって疲弊しながら私にくれた一言。
「超疲れた。足腰が痛い。長時間キッチンに立つことがこんなにハードだとは思わなかった。いつもこんなに大変なことを頑張ってくれていたんだね。Ichikoちゃん、いつもありがとう」
「幸せの製麺機」とでも名付けようかしら。この最後の一言で全てが報われた気がする。安らぎとハッピーと美味をもたらしてくれた製麺機様、本当にありがとう。夫の手料理を食べることができて最高に幸せだ。
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