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こども食堂の団体を辞めたら、地域に根づいた話

以前、「子ども食堂を始めてみて思ったこと」という記事を3つ書きました。そこでは勝どき枝豆プロジェクトという団体を立ち上げ、月島こども食堂を始めるに至った経緯をご紹介しました。
コロナをきっかけに地域の居場所づくりについて、興味を持つ方も増えていると思いますので、今回はその後の話を書こうと思います。

コロナで活動場所を維持できなくなる

以前の記事では、コロナになり活動を休止していたけど、また再開した話まで書きました。
その後、こども食堂の活動場所であった月島にある長屋で、何回か活動を続けましたが、その場所を借りていた私が経営する会社(株式会社シンプルメーカー)が、コロナの影響で業績が落ちてしまい、泣く泣く長屋の賃貸契約を終了することにしました。(今は業績が回復しました。それについてはまた別記事でご紹介したいと思います)
こども食堂の活動場所を失った私は、他にこども食堂ができそうな場所を探すため、中央区の社会福祉協議会(略称、社協)さんや、協働ステーション中央さんに相談に行きました。

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↑活動場所として使っていた長屋

豊海おさかなミュージアムで活動再開

そもそもコロナ禍で密を避けたかったため、テイクアウトで食事を提供していたとはいえ、ボランティアの方が10名以上いる中で、狭い長屋での活動には限界を感じていました。
そんな中、社協さんにご紹介頂いたのが、東京水産振興会さんでした。
東京水産振興会さんが運営する豊海おさかなミュージアムの隣に、元々飲食店が入っていたスペースがありました。
東京水産振興会さんのご厚意で、そのスペースで活動を再開することができました。

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↑豊海おさかなミュージアムの隣のスペースで活動するこども食堂

団体を辞める

元々、勝どき枝豆プロジェクトの活動拠点の近くに住んでいた私ですが、結婚をきっかけに横浜に引っ越していました。
仕事は完全テレワークの中、団体の活動は東京でしたので、活動に負荷を感じていました。
さらに、私が現在の横浜よりも家を都心から離れた場所に移すことを決断したため、これを機会に団体の代表も、団体への所属自体も辞めることにしました。
自分が始めた活動とはいえ、その地域の方たちが主体的に進めるべきだと感じていたのも辞める理由にありました。

共同代表制へ

イベント当日の活動は、ほとんど見ているだけで参加していなかった私ですが、代表者という肩書があり、やはり何かあれば責任を取らなければいけない立場にありました。
ボランティア活動で、善意での活動で、利益も得ていないのに、何か問題があったら、そこまで責任を負うものなのか?という疑問の声を挙げるメンバーもいましたが、食中毒で死者が出たら訴えられる可能性だってあります。
こども食堂の活動を始めた時から、責任の重さを感じながら活動を行っていました。(もちろん、畑の活動だけの時から参加者の怪我など注意していました。)
そういうことを誰か一人に負って頂くのは、なかなか難しい状況でした。
そこである方からアドバイスして頂いたのが、「共同代表制」でした。
幸いなことに、共同代表ならやっても良いという方が数名いました。

手放したことで活性化する

結局、共同代表が5人になりました。
経営者の世界では、共同代表は意見が割れて決裂してしまうことが多いからやめたほうが良いというのが定説でしたので、私は少し心配でした。
ただ非営利団体ですので、会社経営とは話が違います。
私はこの団体を辞めてしまったため、共同代表5人が良かったのか、悪かったのかはわかりません。
ただ私が辞める頃から、組織のメンバーがとても活発に意見を発信するようになりました。皆が主体的に、自分のことのように考えて動いているように思えたのです。
やはり発起人でもある私に他のメンバーが遠慮していたのかなと思いました。団体が私の手から離れたことで、本当の意味で地域の人たちの活動になれたのだと思います。

地域に定着した活動

その後、新しいメンバーもどんどん増えているそうです。提供する食事の数も以前の倍くらいになっているそうです。
これからも運営する人は移り変わっても、活動だけは地域に受け継がれて残っていくような団体になっていくと良いなと思います。
何よりも、私が辞めると伝えても、活動を残そうと決断してくれた現在のメンバーにはとても感謝です。

コロナ禍で、孤立する人たちが増えています。社会を憎み、自暴自棄になり、犯罪に手を染める人も増えているのではないでしょうか。
みんなが安心して暮らすためには、人を切り捨てない社会を作る必要があります。そういうことは国に任せておけばいいと思わず、自分ごととして、我々にもできることから始めてみましょう。


勝どき枝豆プロジェクト
https://www.edamame.group/

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