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「蜜蜂と遠雷/恩田陸」の感想


美しかった。世界が美しいと思える本だった。

序盤のメインキャラクターの紹介がされたあたりでもうこの本に絶対的な信頼感を持った。絶対におもしろいという信頼感。それが裏切られることなく最後までいったことが嬉しい。

本当に登場人物全員がいいキャラなのだ。それぞれ信念を持っていてコンクールを通して共鳴しあう姿が美しい。

タイトルの蜜蜂と遠雷は、風間塵とホフマン先生のことなのだろう。しかしそれだけではなく多くの意味が込められている気がする。
蜜蜂というのは蜜蜂の羽音、自然の音でそれは「音楽の原点」、遠雷というのは登場人物達の未来への予感、とても大きな音を立てて多くの人に衝撃をもたらすであろう予感、つまり「音楽の未来」と思ったのだけどどうだろうか。

今までクラシックには全く触れてこなかったけど、本に出てくる曲をググって聴きながら読んだりして、クラシックの素晴らしさに気付くことができて良かった。
クラシックは作曲家や演奏者の背景を想像したり、ストーリーを考えたり、風景を感じたり、いろんな聴き方をしていいんだなぁ。いつかコンサートに行ってみたいなと思う。
家で曲をググって聴きながら読むのは映画を見ているようでもあった。文章と音楽が一体となる心地好さ。なんて贅沢なんだろう。

私はこういう読み方をしたけど、読み終わってから恩田陸先生のコメントを読むと、この小説は「絶対に小説でなければできないことをやろうと決心して」書かれたものだそう。
ふうむ、そうかー。それなら最初は文章だけで読んでも良かったなぁ、と少し思った。
エモーショナルな体験ができたので後悔はしていないけど。また文章の持つ力を感じつつ読み返したいな。

ストーリーはすごく特別なことが起きるわけじゃない。王道、という言葉が浮かんだ。シンプルな王道をいく。それがものすごくおもしろいのだからすごい。長い小説だけど中だるみすることなく最初から最後までずっとおもしろかった。

登場人物みんなが愛おしい。

まだ読んでいない人全員に薦めたい本です。


最後にちょっとネタバレで好きなシーンのイラストを置いときます。





蜜蜂と遠雷

ほんのり恋愛っぽいところもあってきゅんきゅんするよ!

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