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#社会学

浅野智彦『「若者」とは誰か 増補新版』要約と感想

浅野智彦『「若者」とは誰か 増補新版』要約と感想

 社会学者、浅野智彦の著作『「若者」とは誰か 増補新版』を読んだ。以下は本の要約と感想です。

 要約1 消費行動からコミュニケーション論へ 「若者論」は切り口がその時代によって異なる。
 1980年代においては、日本の消費社会化が進むのと同時並行に、その消費行動によって若者は語られていた。
 しかし、1990年代に入ると、若者論の中心は「消費行動」から「コミュニケーション論」へと性質を変えていっ

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自分を全肯定してくれる他人なんていない  『ジンメル・つながりの哲学』を読んで

自分を全肯定してくれる他人なんていない  『ジンメル・つながりの哲学』を読んで

 『ジンメル・つながりの哲学』を読んだ。ジンメルとは主に19世紀末から20世紀初頭に活躍した、社会学者である。ウェーバー、デュルケム、マルクスと並んで社会学の祖と言われたりする。

 この本の良いところは、「社会学」という学問が「私」から始まる学問であると解釈しているところだ。「私」から始まり、それが「他者」や「社会」とどう繋がっていくか、それを読み解いていくのが社会学の大きな役割の一つであると説

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