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人文・アカデミズム

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2024年5月の記事一覧

社会問題が解決できることを提示した本 『社会問題のつくり方』著:荻上チキ 書評

社会問題が解決できることを提示した本 『社会問題のつくり方』著:荻上チキ 書評

社会を変える具体的な方法 『社会問題のつくり方』と銘打ったこの本、社会問題を社会問題として提起し、それを解決するまでの方法と道筋が紹介されている。

・同じ問題意識を共有した仲間とチームを作る。
・その問題が一体どういう状態にあるのか調査をする。
・広く人に知ってもらうために記者会見をする。
・政治家と繋がる。
・その問題を解決するための法案を成立させる。

 そこまでの一連のノウハウが、10代な

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マイノリティの声はなぜ小さくなるのか 「意志」をめぐる冒険 『中動態の世界』國分功一郎:著 書評

マイノリティの声はなぜ小さくなるのか 「意志」をめぐる冒険 『中動態の世界』國分功一郎:著 書評

「能動」と「受動」から溢れるもの 人々は大抵、その行動を「能動態」と「受動態」の二項で捉える。その違いは、前者が「自分の意志」で行ったもの、後者を「自分の意志」で行ったものではないもの、として捉えるものである。
 
 しかし、時にその「能動/受動」の二項ではどちらにも収まらない類の行動がある。例えば、それはアルコールなどの依存症だ。
 
 自分では絶対に「飲まない」と固く意志を持っても、どうしても

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