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13歳からの地政学 ~カイゾクとの地球儀航海~
ある日の読売新聞朝刊。
ある広告が目に付きました。
思わず興味をそそられ電子書籍版にて購入。
著者のことを存じ上げなかったので、左右の思想とかに捕らわれずフラットに読むことができたかもしれません。
本書内容としては、高校生の兄と中学生の妹、そしてこの二人に国際社会(政治)の動きを解説するアンティークショップの店主の三人が登場人物で、小説風に話を進めながら国際社会のことについて学ぶというもの。
内容は著者の考えに基づくものでしょうから、「それはどうなんだろう?」と思う部分もありますが、総じてシンプルにざっくりと、国際社会のパワーバランスだとか国ごとの考えや国際政治の動きなどについて、軽く読み進めつつ知見を深めることができました。
「13歳からの」とタイトルにありますが、その辺りの年齢層を購読のターゲットにしている感じはなくて、中学生から大人まで誰でも読める内容と思います。
ちなみに読み終えて、著者のイデオロギーについてあれこれ思いを巡らすなんてことはなかったです。
内容をざっくりまとめると以下のような感じです。
①世界の貿易のほとんどは海を経由(だからシーレーンを守ることは重要)。
②情報ネットワークの肝は海底にある(海底ケーブル)。
③海の支配者は現状アメリカ(アメリカを中心とした国際秩序)。世界各地に軍を展開。
④国際的に通貨はドルが支配している。
⑤情報はたくさん集めても、的確に分析し使えるものに昇華させなければ意味がない
⑥情報は、使う側が適切に運用しなければ、どんなに優れた情報であっても意味のないモノになる。
⑦経済成長の度合いは人口と(新しい)技術によって決まる。
⑧核兵器所有国はいくつかあるが、アメリカとロシアが群を抜いている。
⑨核兵器は地上の基地に配備しているだけでは、有事の際にそこを叩かれたら終わりなので、アメリカとロシアは(深い)海の中にも配備している。
⑩中国は米露のように海の中に核兵器を配備したいがために、南シナ海を我が海とすべく地域の国々と様々なもめ事を起こしている。
⑪現状中国は、世界一のアメリカに肩を並べたい。
⑫中国は自分たちの考えで大国になるべく、アメリカ式の考えを否定する。
⑬多民族国家は分裂しやすい。
⑭多民族国家を安定させるには経済的に豊かにすることが重要。
⑮外交において、(地図上の)国の位置というものは重要。
⑯遠くの国と友好関係を結び、近くの国の脅威に対応する「遠交近攻」は地政学の王道。
⑰なぜ(人種)差別がおこるのか。少数民族は迫害されやすい構図がある。
⑱(人種)差別の問題を解決するには、相手の立場になって考えることが必要。
⑲貧しい国が豊かになれないのは欧米にも問題がある。
⑳ロシアは広大な領土だが、不毛の地も多く人が住める場所は限られる。
㉑伝統ある王家には、いざというときは国を一つにまとめて協力し合えるように出来る力がある。
㉑民族や部族の争いが多い国は、民主主義を導入しても国内情勢が安定せず発展しにくい。しかし多民族国家のシンガポールのように同じ国民としての意識を高めて発展した例もある。
㉒世界地図は自分たちの国を中心として見る。欧州から見ると日本は最東に位置しており、「極東」と呼ばれる所以である。
㉓太平洋は地球上でもっとも広い海である。
㉔敵対する国であっても対話のチャンネルを閉ざす行為は愚策である。
㉕テロは見方によって正義にも悪にもなる。
㉖自分たちの考えが基準だと考えてはならない。
㉗貧しい国々から見れば日本は大国である。
㉘貧しい国は手を差し伸べてくれれば、相手がどんな国であろうと受け入れてしまいがち。
㉙一度取られたものを取り返すのは難しい。取られないようにするためにあらゆる手を尽くすことが必要。
㉚大国に囲まれた小さな国は、争いに巻き込まれやすく独立を保つのが難しい。
㉛中国も最東の地(アジア)に位置するが、近年は欧州にとっても無視できない存在になっている。
軽く読み進められ、2日間で読了しました。
各章ごとに終わりにまとめが入っているのも良かったです。
最後に、本を読むときにいつも思うのは、読んでいる内容が頭に入っているかどうかということです。
逆に言えば、試し読みして自分には難しいと感じればその本は敬遠してしまいます。
取り扱うテーマ云々よりも、本の内容が自分の頭の中にスッと理解して入ってくるかどうかが大事です。
そういった意味では本書は、著者の考え全てが正しいとは言いませんが、スッと理解して頭に入ってくる内容の本でした。
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