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「あなたが好きです」と言えるまで。

学生時代、ほんのちょっとだけ名前が知られるようになったことがあった。

って言っても部活で賞をもらうことがたまたま重なったってくらいのことなんだけど。お陰で大会や練習試合で他校の知らない子から声をかけられることが増えた。

大抵は軽い立ち話とか、部活の練習のことを聞かれたりして、ほどよく仲良くなって別れる程度。だけど一度だけ他校の後輩の女の子からある言葉をもらったことがある。


「わたしのこと、嫌いですか…?」


大会でよく一緒になる学校の、一個下の女の子。ロングの髪がよく似合う可愛い子だった。光栄なことにわたしのことを知ってくれていたらしい。

それ自体は純粋に嬉しかった。でもその「嬉しい」が彼女の求める地点まで達していなかったのか、ちょっと不安そうにする女の子。

いろんな学校の生徒が行き交う場所で最後に言われたのが、その言葉だった。

心のなかで、えっ、と思った。いや、たぶん声にも出てた。「えっ」。



だって、これ、なんて答えるのが正解なの?

可愛い子だし、わざわざ声をかけてくれた子が「嫌い」なはずがない。

かといって「好き」って言葉を使うのは軽すぎ?

えっ、でも「普通」って言ったらだいぶ距離があるよね?

誰か、誰か正解を教えて…!!!



残念ながら、最終的に自分がなんと答えたのかは覚えていない。笑ってやり過ごしたのか、素直に気持ちを口にしたのか。だけどそのやり取りのあとに彼女と話した記憶がないところ、きっとうまいこと言えなかったんだろうと思う。

悪いことしちゃったなぁ、と思いつつも今でも思う。なんと言うのが正解だったんだろう?





性格悪いと思われるかもしれないけど、たぶんわたしはその女の子のことが「好き」でも「嫌い」でもなかった。いうなれば「普通」。どこまでも「普通」。

だって相手のことをなーんにも知らないのに、見た目の印象と一度話したくらいで「好き・嫌い」を判断できるほど、わたしは人を見る目に長けていない。経験もない。

だから困ってしまったんだ。彼女に満足してもらえるような、上手な答えが自分の中に見つからなかったから。



でも正直こういうことって無意識のうちに自分でもやってる気がする。

Twitterやnoteでコメント・リプをしたときに、思ったよりも相手からの反応が薄いor反応がないことがある。

ある程度の仲の相手であれば「忙しかったんかな~」と思ったり、あとで「忘れたなーっ!笑」ってネタにしたりできる。

でもほんの二言三言話しただけの相手だと、あら不思議。

「もしかして嫌われてる…?」「何かしちゃったかな…」とネガティブ思考のオンパレード。その人に憧れていたり片思いの気持ちが強ければ強いほどにこの傾向は顕著になる。

言葉にして「嫌いですか…?」とは聞かないにしろ、心はずどーんと落ちてしまったりする。



でも落ち着いて考えてみれば、そもそも相手は「嫌い」になるほど「わたし」を知ってるかな? 「嫌われる」ほど「自分」を知ってもらってるかな?

「おいおい、急にポジティブじゃねーか」って言われるかもしれないけど、結構そういうことってあるんじゃないかと思ってる。そもそも自分自身だって「嫌い」な人ってほとんどいない。

ことにネット上だと、少なくともフォローしてくださってる方・フォローしてる方に「嫌い」な人なんていない。あえて挙げるとしたら「好き」な人と「まだよく知らない人」がいるだけ。



まだ出会ってないだけ、まだ話したことがないだけ、まだ仲良くするきっかけが掴めてないだけ。

そう思うと自意識過剰かもしれないけど世界はちょっと優しく見えるし、余計なネガティブに足を引っ張られて「まだよく知らない人」を遠ざけなくてすむ。

これから「好き」になる人を遠ざけなくてすむ。

「自分は嫌われてる」って思っていればそれ以上傷つかなくてすむけど、その反面で気づかないうちに失ってるものもあるんじゃないかしら。

この記事を読んでくれているあなたとこれから仲良くなれる可能性があるなら、わたしはそれを諦めたくない。

し、いつも仲良くしてくれてる方はいつもありがとうございます。「好き」です!





なんて言いつつ根はネガティブなので、あの、勘違いなときはこっそり教えて下さいね…






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