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Words From いしい⑥

皆さんはレアな体験ってしたことありますか?
レアといっても「恋人が芸能人」とか「家に隕石が落ちた」とかそういう確率がものすごぉ~・・・く薄い事象ではなく、激レアさんよろしくな”衝撃的な体験”の方のレアの方です。


アシスタントと併用でしていたコールセンターの派遣社員時代、これがなかなかの薄給で、生活費以外に作撮りでのスタジオレンタル代、モデルさんやヘアメさんのギャラ、作品の製本代と出ていく面も多かった貯蓄も出来るはずがなく常に金欠でした。

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多分、貧乏あるあるかと思うのですが一番に切り詰めてたのが食費でした。
基本的にどこ行っても低価格さがブレないもやし「栄養の塊だろ。多分」くらいの了見でバナナ中心の食生活でした。
友達には「逆にロハスなハリウッドセレブみたいな食生活」と言われてましたが「さしずめ港区辺りの勘違いしちゃってる意識高い系女子だろ」としか思えなかったです。・・・いや、そうでもないか。

ただバナナが連続した日には「あれ?ワシャ猿かな?」と錯覚するくらいだったのでダーウィンの進化論を遡(さかのぼ)るが如く、猿人退行といったトコロでしょうかね?
つまりは基本に忠実ってコトでしょうか?解りません。

こんな核の炎に包まれた後の世紀末な食生活を心配され、職場にいたYさんという40代中間のオジさんが「石井さん、今度僕がお弁当作ってきますよ!」と力一杯のたまうのだ。


このYさん、どんな人かというとコールセンターなのに筋の通らないクレーマーには食って掛かったりして、常に椅子に背中を全部預けて深めに反り返っては半笑いで「なんか楽しい事ないっすかねぇ~」が口癖だった。
独特な雰囲気があり、シフトが重なることもなかったのでしばらくは近寄りがたい感じがしていたが、話してみると意外にシャイな性格なだけで普通にいい人(好き嫌いはハッキリしてたけど・・・)で、仕事でもサポートが上手かったりしておばちゃん連中にも割と人気があり人で自分も好きな方だった。

ただ前記の弁当作る宣言はただの冗談と思っていたがシフトが重なった日にYさんは本当に弁当を作ってきたのだッ・・・!

※実際の弁当達(一部)

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「ウチのガキの弁当作るついでだから気にしないで下さい。」とYさん
「いや。結構手が込んでるし申し訳ないし、気にするがな・・・」、これに尽きた。
それでいて意外に。と言うと大変失礼だが普通に美味しかったのが逆に面白かった。
さすがに1回コッキリの事だと思っていたが画像が数点あるという時点でお察しかと思うが、なんとそれが1ヶ月くらい続いたのである。
(律儀というか何というか・・・)

「世界広しとは言え40代男性が作った弁当で腹を満たしていたのは俺くらいなもんだろう」って相当レアだなって思い、回顧してみました。

うん。それで多分、シチュエーション的にはBLとかの類いかと思うので
映像化および書籍化のご連絡はICHIGO STUDIOまでお願いします☆

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