見出し画像

リワーク日記97 メンタル休職中だと明かして転職活動した結果を長期的な視点で振り返ってみる

前回記事は思いのほか多くの方にご覧いただけたようでとても嬉しいです。割り切れない込み入った内容でしたが、逆にそれがリアルで良かったのかもしれませんね。ありがとうございます。味を占めて今回も引き続き転職活動について書いてみたいと思います。

が、その前に職場にちょっとした変化が起こることになりましたので忘れないうちに書いておきます。

なんと、今度の4月に人員が補充されることが決まったのです!!それも2人も!!

嬉しいですね。慢性的な人員不足のせいで私も過剰な担当業務を持たされ、毎日フラフラになるまで働く羽目になっています。それが多少は改善されると期待しています。実は2人来てもまだ人員減状態は解消されていないのですが、それでもこれは歓迎すべき大きな変化です。

私が研修期間を途中で打ち切られてこの会社の業務の基礎知識をほとんど習得しないまま実務の最前線に放り込まれたのも、職場の人員不足の深刻化が背景にありました。これまでは基礎知識なしでも前職での経験を頼りに仕事をさばいてきましたが、あくまでそれは表層的なレベルで処理していただけで本質的なレベルにまで深く掘り下げた仕事はできていませんでした。この変化によって落ち着いて業務を耕すことに取り組む時間も持てるのではないかと思っています。多忙は有害。忙しいのは嫌いです。

さて、今回はメンタル休職中だと明かすか明かさないかという定番のテーマです。前回の転職か復職かというこれまた定番の問題で転職を選んだとしても、その次に立ちはだかるのがこの「オープンか、クローズか」という問題です。人生は選択の連続、悩みは尽きません。

私自身、この問題に苦しめられましたのでよくわかっているつもりです。

ただでさえ3ヶ月以上キャリアを離脱してしまうと企業は嫌な顔をするというのに、その原因がメンタル不調だなんて分かった日には、容赦なく企業から「誠に残念ながら貴意に沿いかねる」砲を発射してきます。それも私たちの弱々しいハートに精密に狙いを定めて大火力で轟音を立てて。

それが分かっているからこそ、メンタル不調を伏せて応募しようとするわけですが、これまた後で何かの拍子にそれが表沙汰になった日には、それも内定後だったりした日にはやっぱりすごい剣幕で「それを知っていれば採用しなかった、貴様は信用できん」と詰められて話がこじれるんではないかというよからぬ想像もしてしまったりします。

だったらオープンにして応募しようとすると、内定はおろか面接にも呼ばれない日々がひたすら続く訳です。言ってもダメ、言わなくてもダメならどうしろというのでしょう。明らかに支離滅裂で理不尽な無限ループです。

一度鬱になって社会から離れてしまうと、いざ戻ろうとしてもブロックされて戻らせてもらえないというのは社会の側が抱える問題です。私たちメンタル不調組は、二度絶望に突き落とされるのです。一度目は職場の歪みによって、二度目は立ち直ろうとした時に向けられる無関心と理不尽によって。メンタル不調者の側に一方的に負担が押し付けられています。皆さんが悪いわけではないということは何度でも確認して良いことです。

私自身はオープンを選んで転職活動をして内定をもらいました。しかしそれと引き換えに応募410社、内定1社という惨敗としか言いようのない悲惨な成績に沈みました。そのおかげで私の病歴を分かった上で採用してくれる企業を見つけることができましたので、結果としては良かったのですが、オープンにするのは大変な道です。

正直なところ私はクローズでも良いとは思います。ですが私は自分の病歴を知った上で採用してもらいたかったのです。そういった企業の方がよりメンタルヘルスに理解のある企業だと推定できること、そして多少のリスクを取って投資のできる企業だとも推定できることが理由です。可能な限りメンタルヘルスに理解のある職場で働く方が長い目で見れば自分にとって利益が大きいと思ったのです。

だいたい、この少子化著しい今の日本では年々採用難がひどくなっていくのは目に見えており、しかも17人に1人が生涯に一度は鬱に罹ると言われる中で、応募者にメンタルヘルス上のリスクゼロを要求するような、非科学的で非現実的な腰抜け企業の顔色を窺って「綺麗な履歴」を装うのが気に食わなかったということもあります。ひねくれていますね。それから「隠す」という行為自体に後ろめたさを払拭できず嫌だったということや、隠すのが上手くないというのもあるのですが。

まあ、「隠す」といっても、履歴書に「書かない」だけですけどね。履歴書や職務経歴書の「見栄えを整える」ことくらい、どの転職希望者もやっています。彼らが業務で発生させた2千万円の損失をわざわざ書きますか?病歴以上に重要な業務スキルに関わる経歴ですが、そんなものを書く者は転職市場にはいません。ましてやプライバシー情報に含まれる病歴とそれに伴う療養歴をたった一つ書かないことに何の問題があるというのでしょうか?病気は犯罪でしょうか?

そうして履歴書と職務経歴書を他の転職希望者たちと同様に綺麗に仕上げたら、あとは面接で「健康か?」と聞かれた時に「健康です!」と答えるくらいです(事前に主治医に転職活動をすることへの許可を取り付けておけば嘘にはなりません)。もちろん、面接官側も応募者が隠し事をしている可能性くらいは分かっています。恐るべきことにメンタル疾患を見抜く方法を指南する情報すら出回っていたりもしています。ですが、医師免許も持たず問診の訓練も受けていない医療の素人である採用担当者が、事前情報もなしに会話だけで応募者の疾患歴を見抜くことなど不可能です。皆さんは分かっているはずですが、メンタル不調者は外見では見分けられません。病院の待合室にいる人たちだって普通の人たちでしょう?皆さんはどこにでもいるごく普通の人そのものなのです。そして、転職活動の許可を主治医が出している以上、皆さんは正真正銘「どこにでもいるごく普通の転職希望者」以外の何者でもないのです。

だいいち、私の前の会社だって私が病院に駆け込む前の一番症状がひどい時でさえ職場の誰一人として私のメンタルが変調をきたしていることに気がついていませんでした。みんな口々に「驚いた」「気が付かなかった」「そうは見えなかった」と言ったものです。最悪の状態の時ですら誰も気が付かないのですから、回復した皆さんの病歴を見抜ける人はいません。

一説には、休職によって前年の収入がやけに低くなり税金の支払額もやけに低くなることから、鼻の効く企業は休職の事実を嗅ぎつけるという話もありますが、それって一般的にそんなに頻発していることなのでしょうか?だとしたら、オープンかクローズかなんて話、とうの昔に決着しているように思いますが、どうなのでしょうね?いったん入社した社員のプライベートな過去を嗅ぎ回る会社はあまりないような気もしますが(少なくとも都市部では)。

それに休職した事実をそこで明かしたとしても、それを「メンタル不調」という表現で伝える必要まではないのではないでしょうか。医学的にはうつ病は「脳という臓器の機能不全」です。医学はうつ病を「内臓の不調」として扱っています。不眠や抑うつ気分などは表に現れた病気の症状にすぎません。発熱や頭痛と同じ。本質はあくまで脳という内臓の不調です。ですから抗うつ剤というお薬が存在し、機能するわけです。

ですから休職の理由について、メンタルかフィジカルかと問われても、それは質問自体がナンセンスです。うつ病は紛れもない「内臓の不調」なのですから。「詳細は離したくはないが、ある臓器の病気を治療していた」と回答すればそれで終了です。

で、ここからは実際に病歴をオープンにして転職先に入社した私の経験を踏まえて、オープン就労の結末について書いてみたいと思います。本当に事前の私の目論見通り、転職先は「メンタルヘルスに理解のある職場」だったのでしょうか?メリットは大きかったのでしょうか?何か落とし穴はなかったのでしょうか?

先に結論だけ率直に言うと、オープンで転職しても「期待したほどではなかった」というのが私の答えです。なんだか世知辛くて悲しくなりますね。

記事の最初の方で少し触れたように、私が入社した時点ですでに職場は人員不足でしたが、私は入社後8ヶ月間の勉強期間を与えてもらい、入社からいきなり全速力で走らなくても良いという配慮が得られました。優しい太っ腹な会社だと感心しましたよ。ですが、入社3ヶ月後に突如転職により1人が職場を去ることになり、さらにその2〜3ヶ月後には業務トラブルに起因するメンタル不調によって1人が休職してしまい、一気に人手不足が致命的なレベルに達してしまいました。私の勉強期間は急遽途中で打ち切りとなり、準備不十分なまま最前線に投入されることになったという経緯を辿りました。それでも前職での経験だけを頼りに、ミスとトラブルまみれになりながらもなんとかここまで漕ぎ着けたというのが実態です。

一応、定着期間を長めに取ってくれようとしたという点では確かに理解のある会社だったのかもしれませんし評価すべきとは思いますが、メンタル休職経験者の目の前で新たなメンタル不調者を発生させてしまうという大失態はいただけません。そのお粗末さには正直がっかりでした。残念ですがまだまだ改善すべきことが山積みです。完璧な会社など存在しません。

そして私がこの経験から思ったのは、オープンだろうとクローズだろうと、最終的には即戦力としての貢献が求められるようになるということです。若手は別にして私のような中堅は特に。ですから、結局はオープンかクローズかは表面的な問題に過ぎず、本質は自分はどんなことができて、どんな方向に行きたくて、どんな環境を求めているのか、なのだと思います。ですからやっぱり自分への理解を深めていくことが本質ですね。

このことを企業の側に立ってみると、オープンかクローズかなんて気にしている場合ではないのではないか?ということでもあります。病歴があろうとなかろうと、オープンにしていようとクローズにしていようと、本当に人手が足りていないなら、そんな選り好みをしている余裕はないはずなのです。というより、そもそもうつ病疾患歴があっても仕事していれば良いはずです。先ほども書いた通り、最もうつの状態がひどい時ですら誰も気づかないのなら、問題は仕事ができるかどうかだけです。そしてメンタル不調を発生させないよう努めるのは企業側が取り組むべき当然の義務です。うつの再発を懸念しているとすれば、それは企業側がその義務を果たすことで達成可能ではないのでしょうか。その義務を果たすのがそんなに嫌なのでしょうかね。

選り好みをしている企業は、わざわざ自ら選択肢を狭めて自分の首を絞めています。自分の選り好みを温存せんがために劣悪な職場環境も改善させることなく毎年メンタル不調者を発生させ、戻りたいという者を排除することで企業自身へ供給可能な人材を毎年減らしてしまっています。「無限ループ」に陥っているのは実はそういう企業自身なのです。反対に理解のある企業は職場環境を改善させメンタル不調者の発生を抑え、社会に戻りたい者を受け入れることで企業への供給可能な人材を安定させることになるでしょう。どちらを選ぶかは企業自身の問題です。そしてどちらの企業を選ぶか決める権利を、私たちは持っています。

ですから、私はオープンかクローズかはどちらでも良いと思っています。それよりも、入社後になるべく自分の働きやすい環境を自ら働きかけて作っていくことも大事です。最初から完璧に自分にフィットした働きやすい環境はどこにもありません。会社に要望を積極的に出したり、デスクを自分の心地よいものに改良してみたり、残業はしない努力をしてみたり、良い職場を自分で作るという視点を持つと良いと思います。

さて、そんなことを言ったっていま目の前の転職活動での苦戦に傷ついている皆さんには何の助けにもならないことも理解しています。より重要なのは、「自分の得意なことができそうな職場を見つけること」であり「良い職場を自分で作っていけそうな企業を選ぶ」ことですので、オープンでもクローズでもどちらでも自分のやりやすい方を選べば良いと思います。

オープンを選んでも期待が100%満たされることはありませんしね。でもクローズにして自分が負担感を抱えてもメンタルに良くないかもしれませんし。ちなみにオープンなら選考に落ちまくっても病気のせいにできるというプチメリットもあります。クローズだと落ちまくったら病気抜きで自分の実力不足でしかないということになってしまいますので、その点はクローズの方がより辛いかもしれません。私が400社近くから不採用通知を受け取っても何とか転職活動を続けられたのは、落ちたのを病気と理解のない企業のせいにしたからというのも偽らざる事実だったりします。クローズの方が選考のハードルは下がると思いますが、実は落ちた時の打撃力は大きいかもしれません。

いや、もしかしたらオープンかクローズかという問題の影には、そもそもとにかく選考に通過しないという苦しみが潜んでいて、どちらの方がより苦しみを軽減できるかという問題なのかもしれません。オープンなら不採用の苦痛を病気と社会の偏見のせいだと説明でき、クローズならオープンよりも有利な条件の会社にアクセスできているという思い込みに支えてもらえます。どちらも多少は真実で多少は幻想でしょう。それでも自分の心を自分で支えながら、自分の明るい将来のために転職活動を継続するのはとても尊敬すべき行為です。

ほら、オープンとクローズのどちらが良いか、なんてそう単純ではなくて、見た目通りでは全くないのです。考え方一つで全く見え方が変わるわけですし、どちらにしても転職には苦しみが伴いますので、気軽に選んだら良いと思います。両方試しても良いですし。

最後に私の転職活動の成績を掲載しておきます。

求人応募 最終結果(2023年3月18日)

応募総数 410社

書類通過総数 16社(4%)
書類落選総数 378社(92%)

1次面接通過総数 2社(0%)
1次面接落選総数 9社(2%)

2次面接落選数 1社(0%)

選考辞退数 21社(5%) ←内定を受けて選考を辞退した企業数
内定数 1社(0%)

これを見てどう思われますか?この不採用の山は病気のせいでしょうか?私の実力の無さのせいでしょうか?私は不利だったのでしょうか?それとも恵まれていたでしょうか?たとえクローズだったとしても、もしかしたら結果は同じだったかもしれません。 オープンなら病気を理由に落とされ、クローズなら実力不足を理由に落とされ、結局は大して変わらなかったかもしれません。共通しているのは、その企業とは縁がなかったということだけ。どちらにしても、388通にも及ぶ不採用通知を目にしても前に進み続けるためには、自分を守る何かが必要だったのは確かです。そしてそうまでして手に入れた新しい職場が理想的と言えるかどうかは事前には分かりませんし、転職後にも理想を実現させるための様々な闘いが待っています。ついでに数々のトラブルや事件や不意打ちや混乱も。388通の不採用通知は私の努力を象徴する勲章であり、同時に終わりなき人生の苦闘を象徴する刻印でもあります。

そうであればこそ、まずは自分を守ることを最優先にして下さい。道のりは長いのです。無理をせず休みながらゆっくり行きましょう。行けるところまで行けばそれで良いのです。誰かと比べる必要もありませんし、自分でない他の誰かになろうとしなくても良いのです。人生はいつだって自分のできる範囲でやればそれで百点満点です。

ということで、今回も長々とまとまりのないことを書いてしまいました。分かるような分からないような結論なのは相変わらずです。でもこの割切れなさの中にこそ真実があると私は思っています。調子に乗ってしばらくこんな感じの記事が続くかもしれません。もし気に入った方はスキとフォローを押して次回の記事も楽しみにして下さい!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?