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知らないものは選べない。自分の世界は自分で広げよ。

自分の世界は、自分が思っているより狭い。長く生きていればそれなりに人生経験を積んでいくし、自然に広がっていく部分は当然あるのだけれど、自分の世界が「自然に広がる」のと「意図的に広げる」のとでは違いがある。40歳が迫る今、人生を振り返ると、20代、特に初めての就職活動の時は「意図的に自分で広げる」期間だったよなぁと思う。

大学生の時は、旅行会社に就職したかった。当時から「どうせ働くなら、自分の好きなことを仕事にしたい」という意識はなんとなく持っていた私は、英語を使う仕事に憧れていた。また、自分自身が旅行するのも好きだったし、自分が旅先で経験したような素晴らしい機会をまた別の誰かに提供したいとも思っていた。

就職氷河期の真っ最中で、旅行業界は当時も変わらず人気業界。友人の多くは早々に就職を諦め教員や公務員を目指していた中で、わたしは旅行会社を受けまくっていた。しかしほとんどエントリーシートで落とされ、結局内定は取れなかった。

今思えば、内定を取れなかったのは当然だ。自分のことも、企業や業界のことも知ろうとしないまま、漠然と憧れだけを抱き、ただなんとなく就職活動をし続けていた。会社だって、旅行会社以外はほとんど見向きもしなかった。ただでさえ狭き門であり、そんな厳しい状況のなかでも努力している人はたくさんいた。わたしが勝ち抜けなかったのは当然だ。

就職活動の期間は、学生にとっては自分ととことん向き合い、自分の世界をどんどん広げることができる貴重な時期(もちろん、当事者はかなり苦しいのだけども)。人生においてあれだけ自分と向き合える時間はなかなかない。なのに私は、自分で広げる努力を怠った。また、そんなこと教えてくれる大人は周りには誰もいなかったから、大学を卒業したら働いて、結婚して、子どもを産むという道が「当然」と思っていた。学生のうちに、もっといろんな視点で会社や仕事を知れていれば、もっといろんな社会人に会う機会があれば、いろんな人生に触れることができていれば、もっと別の捉え方ができたかもしれない。でも、これは今だからこそ思うこと。「学生が終わったらもう自由じゃなくなるんだなー」と絶望していた当時の私に会えるなら、「そんなことないよ、大人になるのも楽しいよ」と言ってあげたい。

大学を卒業した私は、結局フリーターになった。自分の思っていたものとまったく違う形で社会人としてのキャリアが始まってしまって、不安で、希望も持てなくて、人生終わったと思っていた。だけど「せめて自分が楽しそうと思える場所で働こう」と、山形県の温泉街で住み込みのバイトを始めた。運よく初めての職場にはとても恵まれて、毎日楽しく働くことができた。有期の仕事だったのでその職場は半年で離れたけど、そのあとも「面白そう」と思う仕事に就きながら、どこの職場でも楽しく働いてこれた。

社会人を15年くらいやった今、「これができます!!」と胸を張って言えることは正直ない。いろんな町でいろんな仕事をしてきて、「どこに行ってもなんとかなる」という気持ちを持てるようにはなったけど、これは結果的にこうなっただけで、強みかと言われると、違う気もする。

人生100年時代を生き抜くために、これからは意図的に自分の世界を広げていくことも必要だと思っている。これまでも、人生をアップデートするチャンスはいくらでもあったと思うけど、自分で「手遅れ」と諦めない限りは、遅すぎるということはないだろう。

社会人1年目の私はいろんなことを諦めていたけど、自分の世界を広げる努力はいつからでもできたはず。知らないことは選ぶことができない。本でもいい、人でもいい、イベントに行ってみてもいい。今の自分にとって「異質」なものにたくさん出会おう。出会ってみて、「やっぱり違う」と思ったらそれはそれでいい。またいつかチャンスが巡ってくるかもしれないし、巡ってこないかもしれないけど、「あのときあんな出会いがあったなぁ」と、選択肢のひとつにはなる。

いまからでも遅くない。人生の選択肢を増やして、自分らしく、豊かな人生を送ろう。

#社会人一年目の私へ

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