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Night on Earth 2020.4.18

映画備忘録。

パターソン の監督、ジム・ ジャームッシュ監督の作品。
ジム・ ジャームッシュ監督の作品は、
コーヒー&シガレッツを観たことがあるけど、
モノクロで淡々と進むストーリのおかげで気づいたら気づいたら眠りの世界に。
機会があったら、もう一度観たい映画。

Night on Earthは、5つの都市のタクシードライバーを
主人公としたストーリから成るオムニバス映画。

Los Angels, New York, Paris, Roma, そして Helsinki。
どれも魅力的な都市で、Roma以外は行ったことがある。
ボリビア、ジンバブエ、エストニア、アイスランド、スリランカなど
割と珍しい国に行ったことある臆病な旅人だけど、
鉄板のイタリアに行ったことがない不思議。

海外旅行に行けない今だから、タクシーを通じて見える風景が懐かしくもあり、
なんだかとても切ない。特に1年間住んだLos Angelsは。

Los Angels
配給エージェントと若い小柄な女性のタクシードライバーの話。
1991年製作というだけあって、携帯電話にはまだアンテナがあり、逆に新しい。
公開30周年ではじめて観た「私をスキーに連れてって」の最初のシーンで
パソコンが分厚すぎて場内に笑いが起きたことを思い出した。

価値観は人それぞれで、多くの人が良いと思うそれが、
必ずしも全ての人に当てはまるわけではない。
最後にビクトリアが鳴り響く携帯電話に出ないのは、
彼女の価値観が少し変わったことを示唆していたような気がした。
Okay, Momと言い返せるユーモアもよかった。

小柄のため、電話帳をお尻の下に引いていた女性ドライバーが
しっかりした人生設計があり、面白かった。
どのストーリもタバコが出てくるけど、
このドライバーはタバコを吸い過ぎで、心配になった。

New York
東ドイツからやってきたドライバーがブルックリン出身の若者を乗せる。
この車に乗り込む前に若者は、ブルックリン行きを告げると、
乗車拒否されてしまう。
英語が通じず、車の運転もままならない運転手に痺れを切らした若者が
運転をかわることになる。

自己紹介をし、運転手のヘルムートという名前を若者は、
ヘルメット!と笑い、若者のヨーヨーという名前を子供のおもちゃ!と笑う。
同じデザインの帽子を着ていて、なんだかシュール。
ギャングスタみたいな若者の英語をキラキラした目で発音し、
ヘルムートが言葉を覚えていく姿が微笑ましかった。
きらびやかなマンハッタン、ブルックリンブリッジを感動しながら
眺める場面もよかった。

支払いのシーンで、運転手が
「金は必要だが、重要ではない。」と行った言葉が心に響いた。
ヘルムートが無事マンハッタンに帰れたことを願うばかり。

Paris
コートジボワール出身の運転手は、乗客に差別的な発言に、途中で降車させる。
運転手が次に拾った客は盲人の女性だった。
運転手は彼女にいろいろ質問を投げかける。

自分の肌の色を問われると、色の違いなんて意味がないと答え、
運転手が自分の出身地を尋ねると、
見事にコートジボワールと答える。
目で見るのではなく、彼女は全身で感じる。

映画もライブも全身で感じるという彼女。
目が見える人よりも目が見えない彼女の方が
様々なことが見えているのではないか、そんなことを感じさせる。

目的地に着き、川岸を歩く彼女に「気をつけて」と声をかける運転手。
彼女は「あなたも気をつけて」と返す。
その数秒後、車がぶつかる音がし、
運転手の車が他の車に突っ込んだことがわかる。
とても皮肉な場面でストーリーが終わる。

Roma
とにかくよく喋りまくる運転手が、神父さんを乗せる。
神父さんは、タクシーに乗車してからずっと気分が悪そう。

そんな神父さんの様子を全く気にすることなく、
喋りつづけ、なんならこれまでの自分の罪を懺悔し始める。
神父さんは、薬を取り出し、飲もうとするも、車内に薬が転げ落ちてしまう。
それでも運転手はしゃべり続け、ついに神父さんは、意識を失ってしまう。
5つのストーリの中である意味製作側の意図を理解するのが難しかった。
神父さんにとっては地獄のようなタクシーライドだったことは間違いない。

Helsinki
冒頭のヘルシンキ中央駅の石像やヘルシンキ大聖堂に切ない気分になった。
また、フィンランドに行きたい。フィンランド行きたい。

運転手のミカは、酔っ払い3人組をのせる。
その中のアキは意識がなく、どうやら仕事をクビになったらしく、
お酒を飲み過ぎたらしい。
他の2人は、如何にアキが不運だったかを話し始める。
ミカは本当の不運はそんなもんじゃないと自分の話を始める。
その話に涙する2人。3人を家まで送り届けたところで場面は終わる。
アキ・カウリスマキの映画を見ているようなストーリー。

今回は全て、夜から深夜、深夜から朝にかけての物語。
違う時間帯や違う都市のバージョンも見てみたいな。
インドとかアフリカとか中南米とか楽しいだろうな。

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