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デザイナーの「最適解」と「正解」

初めに。

・私はグラフィックデザイナーを生業にして4年弱ぐらいです。
会社員時代の下請け・孫請けを経て、今はありがたいことにクライアントと1対1でお仕事を受けることができています。

・バリバリフリーランスで回していると思いきや、事情があり本数少なく仕事を受けています。
なので、読んでくださってる人が想像するようなデザイナー像ではないかもしれません。

・しかし、グラフィックデザイナーないしはイラストレーターとして、責任感高く仕事を行なっています。時には業務外の仕事をしたり、ディレクターとして外部の方の作業をサポートしています。

・そんな私の現在の考えを文章に残したいと思います。

その時の最適解を出す

・グラフィックに限らず、デザイナーは「最適解」を出す仕事だと思っています。オシャレに、カッコよく見た目を整える仕事と思われがちではありますが、もっと論理的で堅苦しい物だと思っています。莫大な思考を経て、それを理論を持って具現化し、キレイなものをやっとつくることができます。

ざっくり制作する流れ

(私の場合。金銭面の話は割愛)

1)作成に当たるとき、依頼者の「こうしたい、ああしたい」という希望を打ち合わせで聞き出す。欲しい情報が得られない場合は、色々な角度から尋ねてみる。時には「実は〇〇が趣味なんだよね〜」が重要な項目だったりするので、雑談ベースで依頼者の意図や思考をたくさん得る。

2)話を持ち帰り情報整理する。家を建てるときのように、基盤がしっかりしていないと途中で崩れたり、やりたい建築が後々できないことが判明したりするので、「見た目」抜きで、本当にクライアントがやりたいことを要点をまとめ、説明いただいた内容を理解しきる。また、そのクライアントの業界や会社のことなど、バックヤードまで調べるようにする。

3)希望に適しているデザインを模索する。本やネット等ほかの方の制作物をインプットし、類似事業があればニュアンスを参考にしつつ似ることがないようにする。自分の過去の仕事を応用することもある。納期、予算、または自分の技量で実現可能なのかも要チェックする。

4)ラフなどを固め、検証を経てから制作に入る。
目の錯覚、色の印象、デザインルールなど、事前に仕入れた知識の上でさまざまな要素を配置していき、全てのパーツが意味のあるものにする
わからないことがあったら都度調べ、出力&修正を重ねながら、時には一晩寝かせながらも完成させる。

「最適解」と「正解」

・私の仕事の流れを書いてみましたが、最近よく思うことといえば「その時その場所で正解は異なる」と思うことです。

・昔の話ですが、デザインの学校に行ってる頃、親しかった同級生が「このポスターダサいよね」と自慢げに言っていました。
きっと日常で見たら10人中10人がそれを「ダサいな」と思うわけではないので、本当にズレたようなものではなかったと思うのですが、その発言にとても違和感がありました。

・孫請け(いわば下請けの下請け)の経験があると初めに言いましたが、1つデザインを決定させるだけで10人近い人を挟むことになります。
どれだけデザイナーが「これは赤しかない、全体バランスでも心理的観点でも赤が最適解だ」と思って、赤色のパーツを作ったとしても、上の人が「青がいいな」と言ったら青になってしまうのです。

・それでも赤の大切さを伝え、赤に軌道修正していくのがデザイナーの役割だとも言えますが、その状況の「正解」は青ではないかと思う一面もあり、難しいところです。
もちろん、現在の私でしたら赤にすることが長い目を見て「正解」だと思うので赤にする努力をしますが、下請け・孫請けの「どうにもならなさ」も知っているつもりです。

・これは、デザインのゴールを「最高のデザインとする」か「クライアントの満足するデザインにするか」にもよります。
しかし、印刷&アップロードなど、出力された時点で、それが「正解」となってカタチになり世に広がっていきます

・「最適解」と「正解」、言い換えてみると「デザイナー側の思考・希望を理論上で形にしたもの」と「最適解が環境に準じたもの」でしょうか。

・「最適解」を作成し続けたいものではありますが、ものをつくるということはデザイナーだけの力だけではありません。本当にこれは私は日々実感していることですが、やはりクライアントがいてこと仕事が出来ているし、その団体はもちろん、デザイン1つにも多大な人が関わっています。

・しかし、デザイナーは専門性の高い仕事ですので、「最適解」については妥協や手を抜くことは一切したくありません。「最適解」を出しつつ、それを高水準で「正解」にしたものを作りたいと思っております。

・カインドネスな言い方をすると、「デザイナーも依頼者もどちらも満足する仕事」ことが、単純ではありますが、本当のゴールではないでしょうか。
そうもいかないのが仕事で、そうならない仕事もいくつもあるかと思いますが、今までの事を考えてるか考えていないかで話が変わってくるのではないでしょうか。私は持論としてこれらのことを考えています。

・数年後、自分がどういう考えに変貌しているかも知りたいので、今回は記録としても書かせていただきました。

おわり

話がややこしくなってしまったので、私の表現をまとめますね。

<今回の文章での用語>
「最適解」は「デザイナー側の思考・希望を理論上で形にしたもの
「正解」は「最適解が環境に準じたもの
「ゴール」は「最適解も正解も包めた理想の終着点

・まだまだ悩むことでいっぱいですが、デザイナーという範疇に縛られず、活発に努力していきたいと思います。noteも大好きなので、仕事以外の話もいっぱいしたいなと思っています!

読んでくださってありがとうございました。

2022/03/24



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