#スキしてみて
1985年のクリスマス
「臨時のバイト代が入ったから、ちょっと贅沢しようよ?」
ペラッとした茶封筒を握りしめて彼が言った。ニット帽の下からぴょこんと飛び出したくせ毛が愛しい。バイト代が入ったんじゃない、わざわざバイトをしてくれたんだ。
雪の壁で狭くなった歩道を二人で並んで歩くと、すべての音が雪に吸収され、彼の発する声だけがポッと灯って私に届く気がする。付き合い始めて、最初のクリスマスを迎えるころだった。
貧乏学生だ
「臨時のバイト代が入ったから、ちょっと贅沢しようよ?」
ペラッとした茶封筒を握りしめて彼が言った。ニット帽の下からぴょこんと飛び出したくせ毛が愛しい。バイト代が入ったんじゃない、わざわざバイトをしてくれたんだ。
雪の壁で狭くなった歩道を二人で並んで歩くと、すべての音が雪に吸収され、彼の発する声だけがポッと灯って私に届く気がする。付き合い始めて、最初のクリスマスを迎えるころだった。
貧乏学生だ