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読書ログ:圧倒的な消費者志向の重要性

今回の読書のテーマは「PR」。4冊の本を並行して読みました。

読書の順番としては「戦略PR」→「ブランドは広告でつくれない」→「PUBLIC RELATIONS」→「影響力の武器」という流れがより理解が深まりオススメの順番だと思いました。

「戦略PR」は日本のPRが他国に比べ、いかに遅れをとっているかという説明とともに、日本のPRと広告のあり方がリアルに書かれており、特に広告を取り扱う者として最も示唆に富んだ内容でした。

「ブランドは広告でつくれない」はPRと広告の違いを説いていて、海外におけるPRののあり方が説明さえており、日本において取り入れるべきことは何かという視点で読み進めることができる。

「PUBLIC RELATIONS」は教科書的な立ち位置だが、前半の2冊で「PR」の本質を理解したあとに、より深く理解するための指南書になる。

「影響力の武器」はどうして人は動かされるかという、人の行動に影響を及ぼすものを心理学的な視点からまとめているものになります。

4冊に共通していることは、現代の”情報大爆発時代”において、疑り深くなっている消費者がどのように商品・サービスを購入するのか、商品・サービスを売るために何を意識していったら良いのかということが書かれていました。

これからの商品・サービスの売り方(土壌づくり)

「戦略PR」では、重要キーワードは下記の通り。

✔空気づくり = カジュアル世論
✔カジュアル世論の3要素 = おおやけ、ばったり、おすみつき

情報大爆発により、消費者に襲いかかる大量の情報の中で、「量のハードル」を超えて自身の商品・サービスを知り、買いたいと思ってもらわなければいけない。そして、企業が伝えたい商品・サービスの情報の中身について、見る目が厳しくなっている消費者は、信頼できる内容かどうか、自分との関わりが本当になるのかを容赦なく見極めるため「質のハードル」も超え、自分向けの商品・サービスであることを示さなければならない。

この大きな2つのハードルを超えるものが、多くの人が「共有」する「意見」ができあがる”空気”である。その商品・サービスを売るために作り出したい”空気”を”カジュアル世論”と定義づけられている。

カジュアル世論の果たす役割は、消費者に「気づき」を与えて、「買う理由」を生み出すこと。

そして、カジュアル世論の以下の3要素それぞれに併せたメディアや第三者的な存在を活用し、消費者に買う理由を生み出す。

・おおやけ(公共性の要素)
・ばったり(偶然性の要素)
・おすみつき(信頼性の要素)

消費社会が成熟している日本において、商品そのものの便益ではなく、その背後にある社会的なことや公共性のあることに関心が高まっている。そのため、社会が持つ関心事をテーマにし、戦略PRのテーマ設定を行うことが重要である。そのテーマを「マスコミ」を活用して消費者に情報を届ける。

「クチコミ」を活用して、受動的に情報に触れている生活の中に商品・サービスに関する情報に、ばったり出会えるようにする。

情報洪水の中、ホンモノ・自分向けだと思う商品・サービスであると自覚することは難しいため、ターゲットが信頼できる「インフルエンサー」を活用して「ホンモノ志向+自分だけスタイル」であることを伝えていく。

カジュアル世論により、商品・サービスが売れる土壌をつくることが重要である。

PR×広告=コミュニケーションデザイン

カジュアル世論により「買う理由」が生み出された後、広告や店頭プロモーション、営業活動においても、いかに「買う理由」に気づかせるかが重要である。出来上がった空気の中で、効果的に、「消費者本位でニュートラルにメディアを組み合わせていく(=コミュニケーションデザイン)」ことが重要である。

そのため、PRと広告は密接であるべきだし、広告を考えるときにもPR視点を持っていなければならない。

いま、世の中はどんな空気が生まれているのか

PR視点を持つために、いま世の中の人々がどんなことに興味を持っているのか、常にアンテナを張って置かなければいけないと改めて気付かされた。

「おおやけ」であるはずのメディアに対しても消費者は常に評価しており、本当に信頼できるメディアなのかを問われている。「ばったり」出会えるクチコミなんて限られており、消費者が出会えるような場所にあわせてクチコミが生まれるようにしなければならない。「おすみつき」も”誰の”おすみつきなのか、すごくシビアである。本当に良いと思っているのか、ちゃんと使用しているのかしっかり見られている。

毎日ものすごいスピードで消費を牽引する人たちの状況は変化している。その変化にも敏感になる必要がある。

空気をつくるという視点をもちろん大切したいが、世の中がどんな空気になっているのかということも敏感になっておきたい。

ここ1年弱で発売されている商品で気になっているものを紹介する。

✔Oputune(オプチューン)

✔MEDULA

✔KOKUYO ME

どれも「自分らしく」「私らしく」「あなただけの」といったキーワードが使われており、いかに「パーソナライズド」されている商品が注目されやすいのかが分かる。

いち生活者、しかも仕事の関係上、情報感度はかなり高い方であるにも関わらず、本当に情報が溢れている現代で何を選択理由としてものを買うべきかわからないし、考えることに疲れてしまう。検索をすれば情報の海におぼれている感覚をずっと持ち続けている。

自分の信頼できる「インフルエンサー」はもちろんわかっているし、見るべきクチコミのありかも把握している。

しかし、「これって本当に私にあっているの?買っても後悔しないかな」ということをずっと自問自答している。

考えるのに疲れたから、「パーソナライズド」されていて、それが本当に私に合っていて、似合うものであれば購入を決定するだろう。

しかし、すでにその「パーソナライズド」というものに対しても、「何をもってパーソナライズド」なのか?というかなりシビアな目で各商品を見てしまっている…

Oputuneのポップアップストアにも行ったが、そこでの体験では「パーソナライズド」感を感じきれなかった。そのため「ほしい」というスイッチはおされなかった…

世の中の空気に敏感でいるために重要なのことは、自分が常に消費者であるという視点を持ち続けられうように、様々な消費体験を行うことだ。圧倒的な消費者感覚がこれからコミュニケーションデザインを行うものとして不可欠なものだと再認識することができた。




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