「...」のない台本 ~とよはし紀行~
約半年ほど前に、私の書いた台本の中の
「...」がなくなると良いですね。
と言われました。
私の本には、「...」が多用されています。
その形がふさわしいと思っていたし、言われた時もピンと来ていなかったのが本音です。
ですが、今日から稽古が始まっています、
桑原裕子さんの『甘い丘』
を読むにつれ、その言われたことが腹にしっくり来るようになりました。
会話がポンポン弾むように交わされながら話が進んでいきます。それもいろんなやり取りが交差しつつも、お互いのコミュニケーションを切ってなく、言い方変ですけど、普通の会話テンポ、あの感じなのです。
だから、「...」が生まれる隙がない。
となると、私の台本は何なんだ!となるのですが、これはこれからの課題であり、埋めていく作業の楽しみなんだと思います。
『甘い丘』の人たちの言葉は、一般的な会話に比べ、熱を帯びています。それは様々な形に変化した愛情。強さも弱さも、激しさも、哀しみも喜びも、とにかく私には熱く感じる。
作品は書き手の個性がそのまま出てくるのですが、桑原さんのお人柄そのものだと感じております。
人は一人では生きていけない。
でも、そういう状況になった時、拠り所があれば、人は生き、変わっていける。
生きるのは大変な時もありますが、生きるからこその出会いであり、成長であり、喜びなのだと、この作品を通して感じています。
私は出演者ですけど、書き手としてもこの作品から発見や学びを得ていることに本当にありがたいことです。
【公演詳細】
2021年3月6、7日
愛知県豊橋市
とよはし芸術劇場 PLAT
市民と創造する演劇『甘い丘』
https://www.toyohashi-at.jp/event/performance.php?id=880
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