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【映画観覧記】

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映画の感想を、お絵描き付きで発表してみる試み。映画は一日に一本は観る。 多い日には3本とかいってしまう。 これは酒の肴のようなもので、夜長の楽しみのひとつ。
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#映画レビュー

【映画観覧記】アキ・カウリスマキ監督“敗者三部作”

アキ・カウリスマキ監督による“敗者三部作” 『浮き雲』『過去のない男』『街のあかり』 フィンランドの監督アキ・カウリスマキの映画。 幸福度1位の国フィンランドではあるが、彼の映画を見ていると澱んだ空気が充満していて、とても煙たく感じる。 僕のムーミン貯金箱のように、背中の入口からコインを投入しては、直ぐ裏のキャップを剥がして引き出す、一向にお金の貯まらない生活と同じで、救いのみえない経済が蔓延してるような国。 絶えず煙草を手にする出演者たちは、浮いてしまう身体を地面に括り付

【映画観覧記】『オリーブの樹は呼んでいる』(2016)

『オリーブの樹は呼んでいる』(El olivo) 監督:イシアル・ボジャイン 脚本:ポール・ラヴァーティ 出演:アンナ・カスティーリョ、ハビエル・グティエレス 昨日観ました。 脚本は「わたしは、ダニエル・ブレイク」でケン・ローチ監督と共に辛辣な映画を作った人。 スペインに憧れる。 パウロ・コエーリョの影響か、どうしてもサンティアゴ、、巡礼の道のイメージが拭えない。 樹齢2000年のオリーブの樹木が、ガジュマルかトトロの木かていうくらい幹の変形具合がかっこよくて、もう此の世の

【映画観覧記】『オン・ザ・ミルキー・ロード』(2016)

『オン・ザ・ミルキー・ロード』(On the Milky Road) 監督・脚本・主演:エミール・クストリッツァ(Emir Kusturica) 出演:モニカ・ベルッチ、ミキ・マノイロヴィッチ 「アンダーグラウンド(1995)」には驚愕した。 もう絶対的に日本人にはない感覚、この質感はユーゴスラヴィア(現セルビア)のものである。 どうしてこうさらりと描けるのだろう、それも半笑い、茶化しているように人が死ぬ。 この映画、鳥の類い、アヒル、相棒のハヤブサ、猫に蛇、熊、動物がたく

【映画観覧記】『裸の島』(1960)

『裸の島』(1960) 監督・脚本: 新藤兼人 出演者: 乙羽信子、殿山泰司 経営危機にあった近代映画協会の解散記念作品として、キャスト4人・スタッフ11人で瀬戸内海にある宿禰島でロケを敢行。 撮影期間1か月、500万円の低予算で製作された。 作品はモスクワ国際映画祭グランプリを始め、数々の国際映画祭で受賞、世界60カ国以上で上映された。 興行的にも成功し、近代映画協会は解散を免れた。 wiki 約20年ほど前、下北沢でBARをやっっていた頃、お客さんだったA氏が持ち込ん

【映画観覧記】『ペパーミント・キャンディ』(2000)

『ペパーミント・キャンディ』(2000) 監督:イ・チャンドン 出演者:ソル・ギョング、ムン・ソリ、キム・ヨジン この作品は何度か見返しているとても好きな映画です。 主演のソル・ギョングが、韓国の俳優さんの中で一番好きだ。 たぶん「シルミド(2003)」を見たのが初めてで、それからこの作品で、イ・チャンドン監督と再び組む「オアシス(2002)」は最も好きな映画。 彼は韓国ではカメレオン俳優と呼ばれているそうだ。 いわゆる役柄に成り切る手法、メソッド演技法(人格を掘り下げ役作

【映画観覧記】『THE FATHER』(2020)

映画『THE FATHER』(2020) 監督:フローリアン・ゼレール/主演:アンソニー・ホプキンス、オリヴィア・コールマン アンソニー・ホプキンスといえば、レクター博士(羊たちの沈黙)。 というぐらいそこから微動だにしないキャラクターを演じた。 ケヴィン・スペイシーとか、まぁウィリム・デフォーやゲイリー・オールドマン、ジャック・ニコルソンなど、それぞれ絶対的な悪をやらせたらピカ一なのだが、ここはやはりA・ホプキンス、 演技でなくまるで地でその役柄になってしまう。 僕の中で

【映画観覧記】『マトリックス レザレクションズ』(2021)

『マトリックス レザレクションズ(The Matrix Resurrections)』(2021) 監督:ラナ・ウォシャウスキー 出演:キアヌ・リーブス、キャリー=アン・モス、ジェシカ・ヘンウィック 是非とも映画館で観たかったのだけど金欠で行けず、それに上映期間も短かった。 それで有料配信でやっと観るコトができました。 初作「Matrix」1999年、つづく「Reloaded」「Revolutions」2003年、 22年が経過している。 僕はあの頃30歳前半、あまりの衝

『交渉人(The Negotiator)』(1998)

『交渉人(The Negotiator)』(1998) 監督: F・ゲイリー・グレイ 出演: サミュエル・L・ジャクソン、ケビン・スペイシー、デヴィッド・モース この感じ、とても懐かしい感じ、少し暗めの画面がいい。 できたらブラウン管テレビ画面で観られたら、もっと感じいいかも知れない。 それくらいアナログで、たかだか20数年前の映画だというのに哀愁を帯びていた。 (もちろん良い意味です) シカゴ警察東分署の刑事で交渉人、いわゆる犯人を説得して投降させる役を演じるは、我ら

【映画観覧記】『フェイク・クライム(Henry's Crime)』(2011)

『フェイク・クライム(Henry's Crime)』(2011) 監督: マルコム・ヴェンヴィル 出演: キアヌ・リーブス、ヴェラ・ファーミガ、ジェームズ・カーン 80年代か、ていうくらい何か懐かしさを伴う作品。 主人公のキアヌさん、そのすっとぼけた演技は「マトリックス」や「ジョン・ウィック」ではなかなか出てこない引き出し。 もたもた生きてるから、あれよこれよといううちにドツボにハマっていく。 あまりにも可哀想なので笑っちゃうしかないわけで、 流される人生は苦痛を伴い、沸点

『MINAMATA-ミナマタ-』(2020)

映画館で観る。 映画館のスタンプが満了したので、久し振りに福井駅方面へと向かい、まずはサイゼで下拵え。 開発ですぐそこまで破壊が迫る駅前、サイゼ2階、この下の古本屋はすでに撤退済みだ。 ワインのデキャンタ200円というのは魅惑的、1割もってかれる消費税に苦虫噛みつつも、映画前ここでの酩酊は定番。 コロナ騒ぎがどうこうというよりも、自身の余裕なき金銭苦が腹立たしいが、せめてこういった映画へ来られるくらいの稼ぎは確保したい。 スタンプ満了で無料でいざ館内へ、客入はたぶん片手、

『グッバイ、リチャード!』(2018)

『グッバイ、リチャード!』(2018) The Professor、別題:Richard Says Goodbye 監督: ウェイン・ロバーツ 出演者: ジョニー・デップ、ローズマリー・デウィット、オデッサ・ヤング、ダニー・ヒューストン こうゆうジョニー・デップ、好きです。 難しく考えるコトない、誰もが迎える死が突然やってきたというお話。 末期がんと診断された大学教授、どうするかと思えば治療も受けずに、死期まで七転八倒する。 デップお得意のとぼけた演技が、まぁ悲壮感を煙に巻

『ペイン・アンド・グローリー』(2019)

『ペイン・アンド・グローリー』(2019) 西: Dolor y gloria、英: Pain and Glory) 監督・脚本: ペドロ・アルモドバル 出演者: アントニオ・バンデラス、ペネロペ・クルス もう飽き飽きだ。 そう思いながらまた配信で映画を漁る。 映画半ばでどうしても続けて観られずに、止めてしまうコトも多々ある。 そんな中、この映画は良かった。 バンデラス、僕のイメージではラテンでアッパーな肉体派であった。 スペイン出身の役者さんなのでラテンは間違っては

『ペイン 魂の叫び(LEAVE)』(2011)

映画は一日に一本は観るが敢えて観ないを選択する日もあり(例えば今日とか)多い日には3本とかいってしまう。 これは酒の肴のようなもので、夜長の楽しみのひとつ。 どうせ布団をかぶったって、右へ左へともぞもぞやって、寝入りは朝方になってしまうのが常、そんなワケで、amazonプライムビデオで漁るのです。 先月から映画の感想を、お絵描き付きで発表してみる試み。 ピーター・ドイグ氏が映画からインスパイアされたり、自主上映会の催しポスターを自ら描いているのを知り、これは楽しいに違

『ブロンソン(Bronson)』(2008)

『ブロンソン(Bronson)』(2008) 監督:ニコラス・ウィンディング・レフン 出演: トム・ハーディ これは実話である、というテロップはもうお腹いっぱいであるが、この映画には度肝を抜かれた。 公開当初は未公開だったが、トム・ハーディとレフン監督の知名度と共に日本でも見られる。 ハーディはイギリスの役者、「ブラックホーク・ダウン(2001)」デビューだそうだが記憶にはない。 やはりバットマン映画「ダークナイト・ライジング(2012)」からの「マッドマックス 怒りのデス