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2021年1月クールドラマ「その女、ジルバ」

このドラマ、沁みます。

40歳になった池脇千鶴さん演じる新(あらた)は、大手デパートの社員でアパレル関係の職種についていたが、系列の物流倉庫に出向というか左遷されて、何の色もない日々を送っている。

新の同僚で、真飛聖さんが演ずる村木みかも、国立大学を卒業後、デパートでキャリアを重ねていたが、物流倉庫に出向させられてからは情熱を失っている。

2人は物流倉庫に出向するまではおそらくデパートで、キラキラと働いていたが、どういうわけか物流倉庫に出向して、色を失った生活を送っている。

一方で、その倉庫には、プロパー社員で、今の2人にとっては上司にあたる「チームリーダー」江口のりこさん演じるスミレさんがいる。ぶっきらぼうで愛想はない。けれど仕事に責任感を持っている。
本社からの出向社員とはおそらくお給料も福利厚生も違う。本社から倉庫に来る社員は不満を持ってやってくる。けれども倉庫のプロパー社員はここで働いていくしかない。出向組とプロパー組の溝を埋めることは難しい。

出向組の新とみかの、倉庫での上司がスミレさんだ。
私はどちらかと言うと、新とみかさん側の人間だ。そして境遇も似ている。
総務という左遷の代名詞のような部署に異動し、以来ずっと言葉を失ったまま。
気持ちを切り替えて、やり直そうなんて思えない。
目の前の仕事をコツコツ頑張って、見返そうなんて思えない。
ただ、やる気も情熱も失いというか奪われて、土日をひたすら待っている。
今まで仲良くしていた会社の人とも、もう上手に話すことはできない。
あと20年少し、どうやって生きていこうか。
ローンはあるし、転職もうまくいかない。
そんな状況の私の目の前に降り立ったのが、このドラマでした。

さて、スミレさんにとってみれば、やる気のない二人の出向組は扱いづらい存在に違いない。
原作の漫画では、3人は同じ立場として描かれていたようだが、ドラマではスミレさんの立場を変えている。
現代社会では、こうした立場の差が、その人の本質をうずめてしまう。
そんな風に人のことを見てはいけないと分かっていても「本社の人間」「子会社、協力会社の人間」という目で見るし、余計なことを言うとそれを歪曲して伝えられてたちまち立場を失う危険性がある。
けれども、友達とはそんな風にはならない。
だから、会社や職場の人と、仲良くならないのだろう。

けれどもこのドラマでは立場が違った3人が、新がひょんなことで働くこととなった40歳以上の女性たちで構成されているBAR「ジャックアンドローズ」を通して、それぞれの本質を見つけ、心を開いて仲良くなり、自分自身を見つめていく話だと、私は思っている。
私がぶち当たっている現実に風穴を開けてくれるドラマとして、毎週土曜日を心待ちにしている。

明日(2月13日・土)が第6話で、これまで見逃し配信されていませんでしたが、第1話から5話までの無料配信が決定したそうです。
期間は第6話放送直後の深夜0時45分から2月20日(土)23時40分までとのこと。

多くの人に、とりわけ、スポイルされたと感じている人に、「その女、ジルバ」を知ってほしいと、心から思う。


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