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幽霊と童貞感

幽霊が見たい!会いたい、遭遇したい、いつの日からかそう思うようになった。
ただな、聞いてくれ、心霊スポットに行って見たいわけじゃない、偶然会いたい、街中で会いたい、友達に「えっえ!?今の人凄いケガしたまま歩いてなかった?」「はぁ?お前何言ってんの?」みたいな会話がしたい、 ばったり会いたい、「遅刻遅刻~」と走っていたら曲がり角で誰かにあたり慌てて「すみません!」と頭を下げ謝るが、そこには季節に合わないサンダルを履いた人が立っており、顔を上げるといなくなっている、そんな出会いを期待している。

でも心霊スポットには行きたくない、なんか本気で着いて来られたり、呪われたりしそうで嫌だ。そもそも、人様の居てるカ所にズケズケと面白半分に現れワ―キャー騒ぐなんて僕にはできない、そんな度胸は無いし、仮に僕が心霊スポットに住まう幽霊側だったらそんな奴らに石を投げるに決まってる。
”自分がされて嫌なことは他人にもしない”そんな小さき頃からの母の教えを史実に守る僕にはそんな下賤な行為は出来ない。決して怖いからなどという理由ではない(ホントだよ💦)。


そんなことをふつふつと考えていたらあることに気づいた。
”見てはみたいが、確実に見えるであろう場所には行きたくない”
”ただ、偶然に会ってみたい”

『童貞かよ!』
彼女は欲しいが合コンや出会い系アプリなどは使いたくない、自分では何も動かず偶発性に期待する童貞か!
転校生が引っ越しによって離れ離れになった幼馴染である事を期待する童貞か!
空から降ってくる、風呂から裸で出てくることを夢見る童貞か!

自分に対してとてつもない童貞感を感じてしまった。

いや、まだ幽霊に会った事はないのだから童貞と言っても過言ではない。

童貞感は”期待”なんだ、幽霊には死んでいることに気づいていない、あるいは何らかの念を持ってこの世に残っててほしいし、女の子はキレイで可愛く美しくあってほしい。

死を受け入れたうえでこの世に残らないでほしい、元気で明るい姿は見たくない。脇はジョリっとしないでほしい、きちんと体臭を放たないでほしい、生々しい姿は見たくない。

期待には妄想が乗り、夢を見させてくれる。
幸か不幸か女性に対しての期待はもう失ってしまった…。

だから幽霊よ僕に期待を抱かせてくれ。
思春期を鮮やかにしてくれていたように、僕の日々を鮮やかにしてほしい。

裏切られる事が前提で、逆に現実を知る事までが1セットともいえる期待を、僕に抱かせてくれ。

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