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負の感情には名前をつけよう

こんにちは!
公立中高一貫校対策の「iBASE」です。これまでの生徒指導で培われたノウハウや最新の受検動向について発信しています。

今回のコラムのテーマは、「落ち込んだ子どもへの接し方」。お子さんが受検勉強の最中につまづいたり落ち込んだり、自信をなくしてしまった時。どのような声掛けをしたりアドバイスをすればよいのでしょうか。保護者の皆さんからもよく頂くこの質問について、一つの手法を解説したいと思います。

落ち込みを脱する方法

大人も子どもも問わず、人が落ち込んでいる状態(負の感情)から脱するために有効だとされる手段に、「ラベリング」という方法があります。これは今自分が感じている感情を、なるべくきめ細やかに細分化して、言葉で表現していく手法です。気持ちを詳細に、自分の言葉で捉えなおす作業を通して、それ以上の気持ちの落ち込みを防止する効果があることが、研究によって分かっています。

たとえば、「模試の点数が目標に届かなかった」という出来事によって、落ち込んでいる子どもがいたとしましょう。そんな時は、「どんな感情なのかを、細かく教えてみて?」と、まずは反省ではなく感情を問うようにします。すると、こんな風にいろいろなバリエーションで教えてくれるでしょう。

①「合格できないかもしれない」と不安を感じている
②予想していたよりも点数が低くて、驚いている
③頑張って勉強したのに報われず、悲しく思っている
④もっと勉強しておけばよかったと、後悔している
⑤ずっと成績が伸びない現状にうんざりしている
⑥一向に点数が伸びない自分にいらだっている

ひとえに「落ち込んでいる」といっても、出来事や性格によって感じ方は人それぞれ。まずは「言葉にする」ということを促し、それを否定せずに聞いてあげてください。自ずと、それ以上に気持ちが沈んでいくことは無くなるはずです。

気持ちの表現が見当たらない子には

とはいえ、このように自らの気持ちを的確に表現できる子は稀です。たいていのお子さんは、「よくわからないけどショック」というリアクションを返してくれるだろうと思います。

そんな時に役立つのが「プルチックの感情の輪」です。これは人が抱く感情のいろいろなバリエーションを図式化したものです。

感情の輪

少し難解な語句も並んでいますが、まずはこの図をお子さんに見せてあげてください。そして「今の気持ちはこの中だと、どれに近い?」と質問してあげることで、子どもたちは今の状態をあてはめながらこのイラストを見、そして感情の整理を始めます。ぜひ難しい表現については、補足して解説してあげてください。

感情は必ず1つに絞る必要はありません。子どもたちのメンタルが落ち込んでいるとき、そこにはいろいろな要素が絡まりあっています。そんな背景を分かったうえで、いろいろなまじりあう感情を一つずつ分解し、丁寧に言葉にするサポートをしてあげて頂ければと思います。

感情を言葉にする作業は…

実はこうした「感情を言葉にする」ラベリングという習慣は、子どもたちの語彙力を増やし、表現力の幅を大きく向上させることにもつながります。

たとえば低学年~中学年のお子さんは、どんな作文を書かせても「楽しかったです。また行きたいです。」で終わってしまう現象がよく見られます。こうした現象は、自分の気持ちを捉える「解像度」に課題があります。つまり、どれだけ考えても「自分が使える感情表現」が少なければ、こうした一様な作文になってしまうのです。

「プルチックの感情の輪」はあらゆる感情を網羅できています。お子さんがいろいろな壁に直面するたび、一緒に見てあげてください。そうして様々な感情に一緒に名前を付けてあげる経験を通して、子どもたちは落ち込みから立ち直り、さらに自分が表現で使える語彙を獲得していくことに繋がっていくのです。

作文の課題が多く出題される公立中高一貫校の適性検査をご志望されているお子さんにとっては、ぜひ身に着けていただきたい習慣の一つです。

おわりに

今回は皆さまからよくご質問をいただく、お子さんへの接し方についての一考をご紹介いたしました。これからも「iBASE」では、公立中高一貫校を目指しておられるご家庭に有益な情報を発信していきます。

今お悩みのことやお困りのことがございましたら、ぜひTwitterのDMか、noteのコメント欄からお寄せください。過去1000人を超える受検生を指導してきた「iBASE」の専門講師が、丁寧にお答えさせていただきます!

今回もお読みいただきありがとうございました!また次回、お楽しみに!

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