ダブリング図

【入試対策】「DoubRing(ダブリング)」を活用して作文力を鍛える

こんにちは!公立中高一貫対策の「iBASE(アイベース)」です。

全国の公立中高一貫校の「入試対策シリーズ」
今回は「国語科の作文分野」について扱っていこうと思います。適性検査において、まとまった長さの文章を書かせる作文の課題は、比較的オーソドックスな出題。一方でその対策は難しく、苦戦している受検生も多く見受けられます。

作文課題の中でも、典型的な出題がみられる京都府。(詳しい出題内容については、以下をご参照ください)

上記投稿の中で、作文課題の対策のためには、大きく「3つの力」を鍛えることが必要だと書きました。

①「定義する」力
②「対比する」力
③「具体例を引き出す」力
(抽象・具体を行き来する力)

今回はその3つの中でも、①「定義する」力・②「対比する」力にフォーカスを当て、「iBASE」でご提供しているトレーニングの1つをご紹介させて頂きます。(ご家庭でもすぐにマネできますよ!)

「DoubRing(ダブリング)」思考トレーニング

私たちが小学生の指導をする際、※小学校5年生の秋~小学校6年生の夏にかけて実施するトレーニングがあります。(一定レベルまで、「抽象化」「具体化」の概念が理解でき、応用できる学力レベル)

それが「DoubRing(ダブリング)」という思考トレーニングです。これはビジネスコンサルタントの細谷功さんが提唱する思考法で、詳しくは以下のサイトにまとめられています。

DoubRingは2つの言葉、例えば「理想と現実」「生と死」といった関係を私たちが頭の中でどのようにとらえているかを2つの円で表現する手法です。(上記HP「DoubRingへようこそ!」より)

ここで、「iBASE」の教材にも登場する「トレーニング問題」にチャレンジしてみましょう!

Q.「A:成功」と「B:失敗」という2つの言葉の関係性は、以下のパターンのうち、どれだと思いますか?(図:HP「DoubRingへようこそ!」より)

ダブリング図

さて、みなさんはどのパターンを選んだでしょうか。
たとえば…
【パターン4】を選んだあなた
→成功と失敗を【対立する別物】として捉えているようです。
【パターン6】を選んだあなた
→成功と失敗は【捉え方次第でどちらにもなり得る】と捉えていますね。
【パターン9】を選んだあなた
【たくさんの失敗の中から成功が生まれてくる】と捉えているのでしょう。

もちろん、これはどれが正解というわけではありません。人それぞれ、言葉の捉え方は異なります。こうした2つの概念を円で表すという活動・思考とを通して、その捉え方が表れてくるのです。

なぜ作文練習に有効なのか

「ダブリング」の概念自体はつかんで頂けたかと思いますが、ではなぜこうしたトレーニングが有効なのでしょうか。それは初めにも述べた通り、「①定義する」力・「②対比する」力の育成にぴったりであるからです。

ここで公立中高一貫校で出題される作文課題の一例を見てみましょう。

■京都府立(2018年度)
わたしたちがくらす社会では、「新しいものを生み出す力」「すでにあるものを変える力」が大切だと言われています。これらの力がなぜ大切なのか、書きなさい。
■京都府立(2020年度)
わたしたちが学習する上で、「知識を身につけること」「考えること」は、どちらも大切だと言われています。これらがどちらも大切な理由を、自分自身の体験や、見たり聞いたりした経験を例にあげて書きなさい。

こうした作文を書きこなすにあたっては、出題テーマとなっている言葉を自分なりに「①定義した」(=論理の前提を整えた)上で、「②対比しながら」書き進めていく必要があることは、前回の投稿で述べた通りです。そしてその際、今回紹介したこの「ダブリング」のトレーニングが有効なのです。

たとえば2020年度に出題された課題を利用して、実践してみましょう。
「A:知識を身につけること」・「B:考えること」と置いたとき、ダブリングの図のうちどのパターンになるでしょうか。

ダブリング図

もちろん正解はありませんが、こうした図にあてはめて考えたり議論したりすることが、考える力の育成に繋がっていきます。

一例として【パターン5】であると、捉えたとしましょう。「知識を身につけること」と「考えること」は重なり合っている。とした時に、その重なり合っている部分には、どんな概念が当てはまるだろう…?詳しいプロセスは割愛しますが、そんな風にダブリング図に当てはめて考えながら、グルグル思考を回してみてください。

するとたとえば、こんな感じの答案に仕上がっていきます。

新しい何かを発明するためには、「知識」「考えること」の両方が必要です。だから、その2つはどちらも大切なのだと思います。「知識を身につけること」によって、過去に明らかになっていることを自分が活用できるようになり、一方で「考えること」によって未来に必要になるものを、予測することができるのです。
たとえば……(以下、具体例)……

適性検査の対策に活かす

全国公立中高一貫対策の「iBASE」においての指導では、こうした言葉を概念的に捉え、ダブリングの思考フレームを活用した定義練習を、小学5年生の夏以降に実施していきます。大切なのは様々な対照的な2つの概念をダブリングに当てはめて考えていくと同時に、異なる他者の視点と自分の視点を混ぜて思考を深めること。つまり、ダブリングの図を活用して、ディスカッションをするプロセスが、非常に重要になってきます。

対立する概念を準備して、お子さんにダブリングの概念が理解できれば、こうしたトレーニングは日常的に家庭でも実践することが出来ます。最後に練習課題としてパターン問題の一例を用意しておきましたので、ぜひご家庭の場で、ダブリング練習を実践してみてください。

※詳細についてのご質問がございましたら、お気軽にTwitterのDMからお寄せくださいね!

ご家庭用の練習問題

①「長所」と「短所」 ②「生きる」と「死ぬ」
③「好き」と「嫌い」 ④「理想」と「現実」
⑤「新しい」と「古い」 ⑥「ロボット」と「人間」
⑦「科学」と「歴史」 ⑧「人間」と「自然」
⑨「知識」と「思考」 ⑩「うれしい」と「楽しい」

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