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【出題一覧】20分で400字を書かせる作文課題とは?(洛北・園部・福知山・南陽)

全国の公立中高一貫校の「入試分析シリーズ」
今回のテーマは、適性検査の定番である作文。それも全国的に最長クラスである400字前後を書かせる問題パターンの傾向と対策について考えていきましょう!

題材は、京都府立中高一貫校(洛北・園部・福知山・南陽)の「適性をみる検査Ⅰ(国語)」です。
全国の公立中高一貫校において、京都府立のようにまとまった長さの作文を課す中学校は多く存在します。設立時からこうした長い作文を課してきた京都府の検査問題について知ることは、他府県の受検者にとってもかなり有効です。過去問対策時期の演習課題としても、京都府立の問題はよい問題ですので、ぜひ取り組んでみることをおススメします。


基本的な出題傾向について

さて、まずは大まかな傾向を知っていただくために、過去5年(2015年~2019年)の作文課題について紹介します。すべて字数制限は「361字以上450字以内」。検査問題全体のことを考えると、約20分でこの字数を書く必要があります。

■2019年度
これからの時代は、ロボットと人間とのかかわりが増えてくると考えられます。では、ロボットと人間はコミュニケーションを取ることができるのでしょうか。

■2018年度
わたしたちがくらす社会では、「新しいものを生み出す力」と「すでにあるものを変える力」が大切だと言われています。これらの力がなぜ大切なのか、書きなさい。

■2017年度
あなたの好きな風景を一つ思いうかべて、その風景の中に自分がいるとして、それがどんな風景なのかを、好きな理由を交えて書きなさい。

■2016年度
日本に住む小学校六年生の京美さんには、外国に住む同じ年の友人、エレーナさんがいます。そのエレーナさんから京美さんにあてた手紙の中で、「京美、あなたが美しいと思う日本語は何ですか。教えてほしい。」という文章がありました。
そこで、あなたが美しいと思う日本語について、外国の人に、その日本語がなぜ美しいと思うのか、そう思う理由を説明する文章を書きなさい。

■2015年度
(田中修さん『植物のあっぱれな生き方』を読んで)私たち人間の、仲間とのつながり方について、あなたの思ったことや考えたことを、これまで体験したこと、あるいは見たり聞いたりしたことを例にあげながら書きなさい。

どんな力が問われているのか

こうした出題でどのような力が問われているのかを、まずは簡単にご紹介しておきます。

①「定義する」力
たとえば2019年度の問題を見てみましょう。
「ロボットと人間はコミュニケーションを取ることができるのか」を述べる問題ですが、ここで大切となるのは「コミュニケーション」という言葉を、作文の書き出しで「自分なりに定義すること」です。

たとえば、コミュニケーションを「人間の指示をロボットに伝えること」と定義するのであれば、すでにスマートフォンの音声機能などで既に実現できていますね。一方で「人間の感情をロボットに伝えること」と定義すれば、そこにはまだまだ課題はありそうです。
このように、作文の書き出しで「コミュニケーションをどのように定義するか」によって、その後の作文内容・論理が変化してくるのが分かると思います。(逆にここを定義しないままに作文を進めてしまうと、その後の論理に矛盾が出たり、ふさわしくない具体例を持ち出したりしてしまう現象が発生してしまうのです。)

もちろん、定義する内容自体は、どちらが正解というわけではありません。
しかしこの問題に答える形で論を組み立てるためには、まずは出題されている問題文を自分なりに定義し、それを出発点として論理を組み立てていく。そのようなプロセスが第一段階で必然であるため、「定義する」トレーニングが非常に大切になるわけです。

②「対比する」力
次に2016年度の問題を見てみましょう。
外国に住むエレーナさんが日本に住む京美さんに「美しいと思う日本語は何か」を問うています。この問題のポイントは、「日本語にあって外国語には無いものは何か?」と、日本と外国を「対比して考えること」です。

例えば日本には、雨が降っている様子を示す擬音語が、多数存在しています。「しとしと」「ざあざあ」「ぽつぽつ」など、その様子によっていろいろな意味合いを持つ擬音語を使い分けているのです。
一方で、外国にそうした擬音語を持つ言語は稀なのだそうです。つまりそうした擬音語は日本独自のものであり、四季に恵まれ自然を大切に暮らしてきた日本人の精神性をよく表している、「美しい言葉」だと言えます。

このように、外国と比較して「日本独自の美しさ」を持っている言葉を答案にチョイスできた生徒は、おそらく高得点だったことでしょう。
問題文の中に「対比する要素」が組み込まれた出題は定期的に見られます。分かりやすく違いを見つけ、明確に対比をしながら論を進めていく力が問われていると言えるでしょう。

③「具体例を引き出す」力(抽象/具体を行き来する力)
これは全ての年度で共通して問われている力です。顕著なのは2015年度。「これまで体験したこと、あるいは見たり聞いたりしたことを例にあげながら」という注意書きが付されています。(これは2014年度以前も、洛北附中において定番パターンでした)

京都府立の受検者であれば、かなり意識して準備をしておく必要があります。つまり、本番でいきなり「適した具体例は無いか?」と頭を巡らせるのではなく、事前に複数用意しておいた「自分の具体例パターン」の中から「使えるものはないかな?」と探す思考プロセスを、本番で取ることが大切なのです。

自分の体験や見聞きしたことの中から、出題されたテーマに沿って、論理破綻なく作文を書き切る力。小学校6年生としてかなり高度な力が問われているのは間違いなく、徹底した作文トレーニングが必要だということは、お分かりいただけるかと思います。

2020年度の出題

前置きが長くなりましたが、それでは2020年度はどのような出題だったのでしょうか。

■2020年度
わたしたちが学習する上で、「知識を身につけること」と「考えること」は、どちらも大切だと言われています。これらがどちらも大切な理由を、記入用紙2に、三百六十一字以上、四百五十字以内(二十五行以上、三十行以内)で書きなさい。ただし、自分自身の体験や、見たり聞いたりした経験を例にあげて書くこと。

出題の傾向としては、2018年度に出題された「新しいものを生み出す力」と「すでにあるものを変える力」が大切な理由、と近い形でした。またこれまで同様、「自分自身の体験や、見たり聞いたりした経験を例にあげて」という指示も変わりなく、【③具体例を引き出す力】が求められていることも傾向通りと言えるでしょう。

「どちらも大切な理由」という指示があるので、「知識を身につけること」と「考えること」を【②対比しながら】、それぞれによってどのようなメリットや進歩がもたらされるのかを、【①自分なりに定義すること】から始めるのが、高得点への一歩目です。

たとえば、以下のような答案が考えられます。

新しい何かを発明するためには、「知識」と「考えること」の両方が必要です。だから、その2つはどちらも大切なのだと思います。「知識を身につけること」によって、過去に明らかになっていることを自分が活用できるようになり、一方で「考えること」によって未来に必要になるものを、予測することができるのです。
たとえば……(以下、具体例)……

かなり高度な思考ですが、上に挙げた①~③の力を複合的に蓄積していくことで、小学6年生でも十分にたどり着けるようになります。
京都府立の出題は、一見毎年バラバラのテーマが出題されているように見えますが、一貫して【①定義する力】【②対比する力】【③具体例を引き出す力】の3つを問うているものばかりであることが、お分かり頂けたのではないでしょうか。

そしてこうした出題傾向と問われる力は、全国各地の公立中高一貫校における出題でも同様です。基本的な3つの力を意識した対策を積むことが、合格への近道となるでしょう。

作文課題に対応するために

「iBASE」国語科の作文専門チームでは、上記の①~③を本質的に鍛えていくためのプログラムを準備しています。

一般的な作文対策は、お題が与えられて「とにかく書く」→「添削してもらう」のくり返しが推奨されてきました。もちろんそうした「量をこなす」対策は間違いではありませんが、今回の投稿で見てきたように、検査問題で必要とされている力を「狙い撃ちしながら」的確な対策を積んでいくことが大事だと、私たちは考えています。

ご家庭での自習用に、ということでしたら、以下のテキストは作文の頻出テーマが網羅的にカバーされているのでおススメ!1冊ご家庭に準備しておいて、損はないテキストだと思います。

おわりに

今回は京都府の作文課題を解説しました。次回以降も、全国の公立中高一貫校を対象に、独自の入試問題を分析していきます!
正しい情報と的確な分析を、志望校の合格にお役立ていただければ幸いです。
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