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私たちの成長曲線

「Silver lining(シルバーライニング)」という英単語がある。雲に覆われた空に光が射し込む様のことに違いない。

私たちのこのプロジェクト「学校をつくろう」は、一目にはワクワクする感じにみえるが、実際、特に私のように、アイデアや気持ちはあっても資金的な裏付けや強力な政治力のない者にとっては頂上の見えない山を登っているようなものだ。

もうひとつ、今の気持ちを例えるならば、何トンもある「重い扉」開けようとしている感じかな。
恐らく到底一人では無理だ。それに何でも自分でやれると言い張るのは、もはやエゴだろう。ここは甘んじて皆さんの力を借りるしかない。
多くの人の力でこの重い扉を少しでも開く。むしろ一人で開けるより、みんなで開いていきたい。それが自分の夢だ。

冒頭、Silver liningと言ったのは、日々、とんでもない絶望感に苛まれる中においても、一見、真っ黒な雲に覆われているような気がしても、それでも、「まだ諦めなくてもいいのではないか」と思える時があることを話したかったからだ。

先日、小学部の男性教諭3人と食事に出掛けた時のこと。彼らはうちの「若手」だ。
揃いも揃ってまず酒に強い。合わせたペースで飲んだら今の自分は30分足らずでノックアウトだろう。
最初は他愛のない世間話をしているが、後半からはそれぞれの思いが徐々に表面化する。

私は、自分自身のジレンマや今後もみんなに苦労をかけることについて話した。また、今、フリースクールとしてうちの生徒たち、そして教員たちが置かれている立場が、社会的に黙殺されているような状態にあることについて納得していないという話をした。

すると、一人が言った。
「渡辺先生、僕たちは、世間が我々をどう思っていようがまったく気にならない。大事なのは通ってくれている生徒たちに最高の授業をやることしかないと思っています。」と。
「経営でも、運営でも色々な難しさがあることは、それは我々も知恵を出し合って現場のことは考えるから、それが出来るよう、何でもテーブルの上に出してほしい」

私の心にSliver liningをみるのはこういうモーメント。
その場にいた3人だけではない。うちで働くすべてのスタッフはそういう教師、職員ばかりだ。

それ以外にも、挫折しそうな私を、まるで見て見ぬふりをしているかのように横にきて、「これはこうしたらいいのではないか、こういうことをしてみてはどうか・・・」と、うちのスタッフでもない立場であるのに何とかしようとしてくれる人たちがいる。

依然、世間が我々を、地域の学校として多少のリスペクトをもって見てくれるのかどうかは私にとって重要テーマであるものの、そんなことより、
この学校にはそういう教師たちが集まっていることを知ってもらうことは、リーダーの自分としてのひとつの責任だと感じている。

そして話は変わって、これもまた先日、サッカーの日本代表チームに深く関わっている人と話す機会があった。
先日のアジアカップで、優勝候補とみられながら、途中敗退した日本チームには今とんでもないバッシングが浴びせられている。
勝負の世界の話だ。勝てば官軍。選手たちはさぞ悔しい思いをしているだろうが、一方で、「でも、ワールドカップの予選が始まるこのタイミングで負けたことは、実は良かったのではないか?」という話を二人でしていた。

人は失敗をしてそこから学ぶことが出来るから、よって「上達の前に下振れするプロセス」というのは、学びのU字曲線とか、ラーニング・カーブといって割と良く知られたセオリーがある。

学びのU字曲線(ラーニングカーブ)

一方、学術的なエビデンスがあるかはわからないが、以下の図のような成長プロセスがあるという話も聞いたことがある。
「低空飛行を続けながら、最終的にブレイクスルーする直前で、ドカンと大きく落ち込む」、というセオリーだ。
何の根拠もない、ただの自分の肌感覚というやつだが、今、我々はその本当の底あたりにいる気がしている。
前述のラーニング・カーブより、ハードな、上級者向け(笑)成長プロセスだ。

サニーサイドの成長プロセス


日本代表も、最近は歴代の日本代表の中で最強チームと言われ勝ち続けていたが、今回の敗戦でまた気持ちをリセットして、挑戦者としてW杯予選を見事勝ち切るに違いない。

いずれにせよ、日本中のオルタナティブ教育機会を担っている教師たち、関係者たちを侮るなかれ。
彼らが生み出す教育のイノベーションはこれからの日本の教育を必ずより良いものにしていく。

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