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42/* 僕が、「今が一番」と言い続ける訳

一時期、本当に何をやっても上手くいかない時期があって、他人と比較しては自分の足りないところばかりをえぐり返して、ただただ劣等感に掻き立てられることがあった。結局僕はその場を、半ば逃げ出すような形で切り離した。

その時は本当に何をやっても物事が悪転していく気がしてしまっていて、この状況を取り返すには、どこからやり直すべきなのかと、自分の人生を否定しながら遡りつづけていた。結局その思考に結末はなくて、いくところまでいくと僕だけでなく周囲の人の人生を否定しかねないところまで来てしまった時点で、これはまずいとようやく気づいた。

気づくまでが、とてつもなく長かった。今の僕には到底肩代わりもしてあげられないくらい長かった。でも、その長い時間で考えた自分のことや世の中のこと、その時間に出会った様々な人との関わりは、ナイス!と褒めてあげたいくらい、有意義なものだった。

時間は、どうあがいたって取り返しようのない概念だ。(今現時点では、だけど。。)後悔したって時間はとにかく前に進んでゆくし、早く大人になりたいと願ったって、20歳になるには20年かかるという事実は変わらない。

武道の世界で重んじられている概念として、「心技体」というものがあるが、これは生きるということに関しても共通概念として語れるような気がしている。三位一体にすべき要素は、その時々によって変わってくるとは思うが、例えば、時間と心は同じ方向を向いているべきだ、と僕は思っている。

僕は、過去に遡れるのならいつに戻りたい?などと聞かれると、決まって必ず、今が一番楽しいから戻らない。と答える。誤解されがちだが、過去に一切の後悔がないわけではない。僕の過去は後悔だらけだし、できることならやり直したい過去がたくさんある。けれど、今この場所に流れている人生は、そういった後悔や失敗の時間なくしてはありえなかったのかもしれないし、後悔を解消したところで僕が今より有意義な人生を歩めていたという保証はない。

だから、僕は今という時間が比類なく好きだ。明日は今日よりも必ず楽しいし、明後日は明日よりも明るいものだ、という自信がある。綺麗事ではない。時間が前に向かって進んでいる限り、僕らは前を向いて歩き続けなければならない。

ダメだと言われるとやりたくなってしまうのが人間の性だけど、過去に遡れないと知っているのに、そこに固執するほど滑稽なものはない。未来はいつだって開かれていて、誰にとっても明るいものでなければならないと、僕は本気で考えている。

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