見出し画像

ソーシャルメディア時代で成果を出すためのコンテンツについて。

かなり前になりますが、トライバルメディアハウスの池田さんの「ソーシャルメディア時代のマーケティング」の記事がとても腹落ちした感覚がありました。

池田さんは記事の中で「ソーシャルセントリック」という言葉を使って

「マーケティングにおけるSNSやソーシャルメディア活用」ではなく、「ソーシャルメディア時代のマーケティング」と捉えるべき

というというお話をされていて、一消費者としてすごく共感できました。

そして今回は改めて「ソーシャルメディア時代のコンテンツマーケティングについて考える」という題で、私の日々の気づき等踏まえお話できればと思います!(推定時間:4分)

▽ニュースレターやってます!▽
https://hirashimarintaro.substack.com/


キーワードは「シェア」と「UGC」

ご存じのとおり、近年情報の動きがとても速いです。BSAによると「過去2年間の情報はネット上の情報の90%を占めている」とのこと。

それほどに情報の入れ替わりが激しいのが現代です。

そんな情報の入れ替わりが激しい理由が下記のように「ソーシャルメディアによって情報をシェアしあいまくるから」です。

ここまでは多くの人が知っているかと思います。
加えて、ここまでのお話を踏まえると

「要はSNSを活用して自社の情報を発信しまくればいいんだ!」

と考えてしまいがちです。

しかしそれだけでは、ユーザーに興味を持ってもらい、購入につながる発信はできません。

ここからは、「自社の情報の発信だけでは、ソーシャルメディア時代に適応したSNSでの情報発信は成功できない!」というお話ができればと思います。

企業がコントロールできる情報の信頼性が低下している

メディアには大きく分けると4つの種類があります。

  • Paid Media(ペイドメディア):リスティングなどの広告

  • Earned Media(アーンドメディア):口コミサイト等の第三者メディア

  • Shared Media(シェアードメディア):XやインスタなどのSNS

  • Owned Medeia(オウンドメディア):Webサイトなどの自社メディア

これらのメディアは顧客の行動に応じて、それぞれの強みを発揮します。簡単にまとめると下記のような図になります。

この4つのメディアをグループ分けした際に、最も大きく分けるのが
「企業が情報をコントロールできるか、できないか」
という特徴です。

Paid MediaやOwned Mediaはあくまで企業が発信する情報をコントロールすることが可能で、タイミングや誰に訴求するかなども選ぶことが可能です。

それに対してEarned MediaやShared Mediaは情報の発信をコントロールすることはできず、口コミサイトの投稿やユーザーのSNS投稿を企業側が操る術はほぼありません。

この様に、4つのメディアは「企業側が情報をコントロールできるか、できないか」で大きく分けることができるのです。

そして近年、Earned MediaやShared Mediaのような企業がコントロールできない情報への信頼が大変強まってきています。

例えば、飲食店や旅行先の検索はユーザーのクチコミが集まりやすいインスタグラムの検索欄で行われることがほとんどになりましたし、たとえ気になるブランドがあったとしても、購入前には必ずクチコミサイトやレビューをチェックし、微妙であれば購入をやめることも多くあります。

これまでは認知してもらうのも興味を持ってもらうのも、そして購入してもらうのも、すべて広告や自社メディア発信のコンテンツによるものという前提で考えてきました。

しかし今では、企業がコントロールしにくい情報を基に購買行動を進めている顧客が増えてきているのです。

コンテンツを見た後の顧客行動まで描く

ここまで「企業側がコントロールしにくい情報の信頼性が高まっている」というお話をしてきました。

ここからは企業側がコントロールしにくい部分を、できるだけコントロールするための様々なやり方をお伝えできればと思います。

まず、コンテンツを作る際に「それはシェアしてもらえそうかどうか?」という観点をもって作成していきましょう。

よくあるのが「なんとなくターゲットが求めてそうだから」という理由でナレッジ投稿や商品の情報を発信することです。

これではユーザーがコンテンツを見た後、どのように行動してほしいのかまで描けておらず、「個人で消費されるコンテンツ」で終わってしまいます。シェアされるかどうかを問いかけることで、コンテンツを見た後の顧客の行動まで意識したコンテンツ作りが可能です。

例えば、SNSやオウンドメディアでナレッジをただ発信するだけでなく、ダウンロード可能なテンプレート資料や保存しやすいインフォグラフィックを添えて投稿するなどがあげられます。

こうすることでSNS内でのシェアはもちろん、社内チャットなどのダークソーシャルでもシェアされる可能性が上がります。

ソーシャルメディア時代のコンテンツ発信の真髄は「いかにシェアされるか」です。ユーザー間のつながりは強く、日々質の高いコンテンツはシェアされ続けます。

少しの違いではありますが、「コンテンツを見た後の顧客の行動まで想定できているかできていないか」で、コンテンツに予想以上に大きな差を生みます。

その他にも

  • ユーザーへ質問系のSNS投稿

  • 資料配布投稿

  • おすすめブランド比較アカウントを解説(BtoC向け)

  • 比較メディアや比較記事の作成

など、顧客に行動を促しやすいコンテンツの発信の方法は多々あります。

ただ、「あくまで顧客のファネル上の状態に沿った発信をすること」はブラさないようにしましょう。

コンテンツを見た後のユーザーの行動を見通してコンテンツを設計することは重要です。ただ意識をしすぎると、「バズる」「シェアされる」ことを目的としてしまいがちになります。

そうすると、実際に比較検討している人に対するサービス説明や事例コンテンツといった「拡散されないが購買において重要になるコンテンツ」が手つかずになってしまうことがあります。

そういった事態にならないように、「コンテンツの階段設計」は徹底させていきましょう。

上記にXでの例を示しています。そのほかのSNSやホワイトペーパー、オウンドメディアでも横展開できる考え方です。

「検討を始めたらそこにコンテンツがある」状態を作ることを目的とし、コンテンツを見た顧客が階段を一つずつ上っていくような導線を作っていきましょう。

情報の流れが一層速くなる

ソーシャルメディア時代になって、情報の流れは一層速くなりました。

個人が情報を容易に発信できるようになった現代では、ユーザーの興味も移り変わりが激しく、コンテンツの消費サイクルも大変速くなってきているからです。

そんな現代人は「平安時代の人の一生分、江戸時代の一年分の情報量を一日で取得している」といわれるほどです。

ここからは、そんなソーシャルメディア時代の情報の流れについてお話していきます。

全力で作ったコンテンツが飛ばされる時代

もし今度、暇があればスマートフォンを触っている人の指の動きに注目してみてください。

電車の中がとても良い例だと思います。電車でスマホを触っている多くの人は、せわしなくスクロールをしています。

彼ら、何か面白い投稿や興味が引かれる投稿を探し求めて凄まじい速さで情報を選別しながらスクロールをしているのです。

たとえそれがXのような文字媒体だとしてもサクサクスクロールしていき、自分の直感的に面白そうなコンテンツを求め続けます。

この凄まじいスクロール行動から読み取るに、私たちが全力で時間とお金と人手を掛けに懸けたコンテンツであっても、ユーザーの感覚的な「良い」に引っかかることがなければ、スクロールの指を止めて見られることも知られることもないのです。

目を止めてもらう瞬間に懸ける

質が高く、内容が濃いコンテンツが閲覧され、共有され、広がっていく時代は過ぎ去ろうとしています。

以前のX(旧Twitter)は、多くの企業や経営者、個人がナレッジを綴ったブログ記事をシェアすることで、ユーザーからのトラフィックを獲得できていました。

しかしながら、今ではブログ記事を貼ったとしてもユーザーがクリックして閲覧することはほとんどなくなりましたし、よほどのインフルエンサーでない限りシェアされることもなくなってきました。
(※Xの外部リンクを踏ませないアルゴリズムの影響も一部あります)

ユーザーの「とにかく飲み込みやすくて質の高い情報が欲しい」という欲求は止まるところを知りません。

Xであれば140字以内の投稿、Instagramであれば8秒~13秒程度のReel動画、そして本当に気になった時にはGoogleで検索し、記事の先頭部分を読んで理解して離脱します。

こういった顧客行動の変化に対して、私たちができることは「目にとめてもらう瞬間に懸ける」ということです。

「目にとめてもらう瞬間に懸ける」というのは、凄まじいスクロールの指を止めてもらい、できるだけコンテンツへの滞在時間を増やしてもらう努力をすることを指しています。

そのために実践してみるとよいことを下記にまとめてみました。

Flashy:文字やデザインを大きく、派手に

とてもシンプルで、すでに多くの企業が実践している部分化とは思いますが文字のデザインが大きく、派手であればあるほど広告が目に留まりやすいです。

下記にトヨタイムズさんのクリエイティブの例をお見せしています。

https://toyotatimes.jp/から引用

トヨタイムズさんは見てのとおり、大きくかつ真っ赤に染まった文字がクリエイティブのほとんどを占めています。

これは「トヨタイムズ」という文字で目を止めてもらい、そこから「未来をどこまで楽しくできるか。」という部分の伝えたい文章を読んでもらうように設計されています。

こういったクリエイティブが、普段流れるタイムラインに出現したとしたらどうでしょう。

どうしても目を惹いてしまいます。このように「文字のデザインを大きく、派手に」するだけでもユーザーの注意を引くことができます。

Condenced:情報がしっかりと圧縮されたコンテンツを作る

次に紹介するのはCondencedという概念で、情報がしっかりと圧縮されたコンテンツを作ることを示しています。

さまざまなチャネルで、多種多様な情報が点在している現代において、「情報がまとまっている」というだけでも大きな価値を発揮し、ユーザーに喜ばれることが多いです。

特に、インスタのまとめアカウントやおすすめ○選系の記事がそれにあたります。

情報がしっかりと圧縮されているコンテンツの最たる例は「カオスマップ」です。

https://onecapital.jp/perspectives/horizontal-landscape-2022から引用

BtoBサービスや買回り品は購入前に情報収集されるという商材特性があります。しかしながら、機能や役務提供内容が複雑なケースがほとんどです。

購入判断ができるまで理解するためには、営業担当との打ち合わせや店舗に行って販売員に話を聞く必要があったりなど、情報収集に労力を要することが多いです。

そんな時上記のようなカオスマップがあれば、ダウンロードするだけで各商品の得意分野やカバーしている役務提供の範囲などを簡単に確認することができます。

「情報が圧縮している」というのは一種のコンテンツの価値になるのです。

Discomfort:意外性のある「型破り」なコンテンツである

意外性のあるコンテンツはユーザーの目を惹きつけます。

あえて逆張りで表現してみたり、通常はしない表現を使ってみたりと様々な「型破り」な工夫でユーザーのスクロールを止めることができるのです。

下記に東京タワー水族館の例をお見せしています。

こちらから引用

このポスターのキャッチコピーは「上空に潜ろう」という意外性をつくものです。

空と海という全く反対の関係にある2つの概念を一つのキャッチコピーに統合しています。こういったコピーを見た人は、その意外性から思わず「おっ?」と手をとめてしまうのです。

このように対立関係にある言葉や、文脈とは真反対の意外な言葉などを組み合わせると、顧客の目を惹くことができるコンテンツを作ることができるかもしれません。

Climax First:オチは最初に持ってくる

スクロールを止めてもらうために大事なのはファーストビューで引き込むことです。

そこで、「オチ」は最初に持ってきましょう。

下記にシャウエッセンの例をお出しします。

このクリエイティブは「シャウエッセンはレンジ調理でもおいしく食べられるようになった」という旨を伝えようとしています。

しかし、見ての通り小さな文字が羅列された文字を読み進めていき、やっと内容が理解できるような広告になっています。

そこで「シャウエッセンは手のひら返します」という最終的にオチとして伝えたい部分を頭に持ってくることで、人の目を惹くクリエイティブとなっています。

最後に

ここまで情報が飽和した時代に、指を止めてもらい、じっくりとコンテンツを閲覧してもらうことは困難です。

そして企業が発信する情報への信頼度よりも、企業が関与できないメディアへの情報の信頼度が高くなっています。

こういった背景から、コンテンツはただわかりやすかったり、面白いだけではなく「いかに指を止められるか」「いかに行動を起こしてもらうか」がポイントになります。

ぜひとも活用してみてください!



▽ニュースレターやってます!▽
https://hirashimarintaro.substack.com/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?