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2021年下半期、台湾旅行業界の今【ゼロコロナ】

今年5月に発生した、台湾国内での感染拡大から半年以上が経過した今、台湾は再び「ゼロコロナ」に戻りました。
百貨店は中秋節から週年慶にかけて多くの消費者が駆け込み、
学校のオンライン授業も3カ月後には登校が可能となり、半年後には校内イベントが開催される等、生活は以前とほぼ同じような状態になり、平穏な日々が戻りました。
それもこれも台湾政府のスピーディーな意思決定と「今は耐える時」とルールを守り続けた台湾国民の皆様の努力の賜物です。外国人としては本当に感謝しかありません。一方で政府の警戒レベルは依然、第2級と関係当局は緊張感を保ち続けている様子がうかがえます。

そのような中、先日、台湾旅行会社約40社へ訪問致しましたので、その現状を日本の皆様に共有いたします。

1.まず旅行会社の状況ですが、
大手旅行社
・運営していた店舗の大規模閉鎖。
・台湾国内旅行へシフト
・経理職未満のスタッフの離職(特に若年層の離職)
*商品企画や線控のメンバーは一部在籍されていますが、営業社員や手配のスタッフはほぼ全員退職されている状態です。

中規模以下の旅行会社
・オフィスの移転(固定費の削減)
・経営者/経営幹部のみが残り、ほぼ休業状態。解散した会社もあり。
・物販を中心とした新規事業への参入。この場合スタッフの雇用はある程度、維持。
*国内旅行はホテルの確保が難しいことと、薄利の為消極的
(ただし、既存顧客から要望がある場合のみ対応する)

2.実際の雰囲気
「あと、もう少し」と可能性を信じて、前向きな空気を感じます。
実は2020年下半期にも同様に40社程度、訪問しており、昨年は暗かった印象です。
オフィスにはほとんど人がいなく、また電気もほぼ消えている状態で、話をお伺いすると全ての会社が先々に対する不安を口にされていました。

今年は勿論、厳しい状態には変わりありませんが、
・世界中で、また台湾国内でもワクチン接種が広まりつつあること、
・台湾はパラオとグアムなど一部地域とトラベルバブルを既に実施していること、
もあり、業界内ではいよいよ日本へのチャーター便の可能性の話が浮上し始めています!
旅行会社もスタッフの増員や解散した旅行会社の復活もが見受けられ、実際に業務(渡航制限に向けた各種準備)を徐々に再開し始めています。

3.台湾旅行会社が知りたいこと
ニュースやSNSを通じて日本の情報を取得はしていますが、
現在、台湾の旅行会社は以下の情報を求めています。
日本各地の最新のホテル/レストランの情報
・過去に利用していた施設が現在も営業を続けているのか?
・日本の施設も料金形態等、大きく変更があったのではないか?
・現在の担当者は誰なのか?
もし自治体の観光課や観光協会の方が旅行会社へ連絡される場合、是非とも上記情報を取りまとめておくと、とても喜ばれると思います。

4.日本向けチャーター便の可能性に関して
一番最初に浮上した話は「春節に合わせて北海道・東北エリアをターゲット」でしたが、恐らく現実的ではないでしょう。次のタイミングは「立山黒部アルペンルートの山開きのタイミング(4月中旬)」と言われています。航空会社はエバー航空の方が積極的であるため、実現する場合、小松空港(IN-OUT)になります。

富山県人としては嬉しい限りですし、勿論一刻も早くという思いはありますが、個人的には「正直、難しい」と思っています。
何故なら現在の台湾は「域内、ゼロコロナ」だからです。勿論、海外旅行が可能になった方が良いに決まっていますが、今の安定した生活を失うリスクを冒してまで台湾政府が許可する道理が見当たりません。
台湾国内は「域内、ゼロコロナ」にも関わらず、勿論、徐々に緩和はされていますが、第2級(2021年11月28日現在)を継続中です。正直、この状態での「マスク必須」は科学的根拠よりも「空気」が優先されている証拠です。それでも僕は5月の感染拡大時期の規制とそこからのリカバリーを思い返すと、台湾政府のやり方を支持します。

何より、チャーター便の話が浮上する一方で、意外と知られていないのですが現状、外国人は「居留証」を保有していないと入国ができません。(*一部例外は有り)
ですのでビジネス渡航も「居留証」を保有していないと不可能な状態であり、そもそも「居留証」の新規発行自体が中断しております。僕の知り合いも台湾で会社設立したにも関わらず、設立後、未だ訪台が叶っていない方が複数います。つまり現時点はほぼ鎖国状態なのです。


春節の終わりを告げる元宵節

このような厳しい条件に加えて最近ニュースでよく目にするのが「春節に台湾に返ってくる台湾人」です。既に防疫ホテルが満室で、政府が緩和策を打ち出すほどになっています。今年5月の感染拡大も結局は、域外からの持ち込みが切欠となっているので、春節の帰省から派生する感染拡大を乗り越えられるかどうかが、次の山場になることは間違いありません。

唐の時代、都城・長安では「夜間の外出が禁じられており、元宵節に限ってはこの禁令が解かれ、民衆が提灯を見るために外に賑わった」と言い伝えられています。
来年の元宵節:2021年2月26日を切欠に渡航制限が解かれることを願いながら台北より。


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