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臨床1年目の教科書

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#骨盤

骨盤の評価⑩

前回まで腰椎骨盤リズムの屈曲時と伸展時の観察ポイントについて整理しました。運動開始時や終了時にどこを観察すればいいのか?が明確になりました。観察ポイントが明確になることで、苦手意識はかなり克服されます。 前回の内容はこちらから 臨床1年目の教科書 今回は腰椎骨盤リズムを観察した後に何を評価すればいいのか?について整理していきましょう。 1 どう可動しているのか? 体幹の屈曲・伸展時における正常な腰椎骨盤リズムを解明することは、腰椎の疾患と股関節の疾患を病理学的に識別するう

骨盤の評価⑨

前回は腰椎骨盤リズムの屈曲動作について整理しました。ポイントとしては終了時の姿勢、腰椎から運動が開始されているか?などが上げられ、そのポイントに視点を絞って動作を観察することでより分析が楽になります。 前回の内容はこちらから 臨床1年目の教科書 今回は伸展時の腰椎骨盤リズムについて整理してみましょう。 1 特徴 復習になりますが、腰椎骨盤リズムとは、腰部脊柱は股関節とともに、前屈、持ち上げ作業などの活動時、体幹の屈曲・伸展の回転点となる。矢状面での運動の際に腰椎と股関節の

骨盤の評価⑧

前回は姿勢分析をすることで、骨盤周囲の状態を推測することが可能となり、その後どの様な評価が必要か?がわかりやすくなることが理解できました。臨床では姿勢分析→介入ではなく、姿勢分析→詳細の評価→介入と繋げていくことで一貫性のあるアプローチが可能となります。 前回の内容はこちらから 臨床1年目の教科書 前回までに静止時の観察について整理しましたが、今回からは動作時の観察について整理していきましょう。 ポイントは”腰椎骨盤リズム”です。 1 特徴 腰椎骨盤リズムとは、腰部脊柱は

骨盤の評価⑦

前回は骨盤を評価する対象はどのような人か?を姿勢から整理してみました。姿勢観察→骨盤の状態確認→骨盤の詳細評価、とつなげるためにもまずは姿勢観察ができるようになりましょう。 前回の内容はこちらから 臨床1年目の教科書 前回は、姿勢を観察することで固有背筋や体幹屈筋群の筋力、骨盤・腰椎の湾曲状態を予測する事が可能になると整理しました。では具体的にはどのような状態が考えらるのでしょうか? 本日はより詳細に整理していきましょう。 1 特徴 復習になりますが、姿勢分析をする際には

骨盤の評価⑥

前回までに骨盤の前傾・後傾の際、どの関節が協調して動いているのか?どの筋が働いているのか?を整理しました。機能解剖を整理することで、評価項目が1つ1つ明確になり、目的を持って評価に臨めます。 前回の内容はこちらから 臨床1年目の教科書 では、その骨盤前傾・後傾を評価していく場合、どの様な人が対象となるのでしょうか?本日はスクリーニングの評価について整理していきましょう。 1 特徴 骨盤を評価する際に必要なスクリーニングは、マルアライメントを評価することです。マルアライメン

骨盤の評価⑤

前回より骨盤前傾するために必要な筋の評価について整理しています。ポイントとしては、骨盤を前傾させるためには、まず仙腸関節が安定していることが前提条件です。そのため、仙腸関節を安定させる、多裂筋、腹直筋、外腹斜筋、ハムストリングスの筋をそれぞれ評価しておきましょう。 前回の内容はこちらから 臨床1年目の教科書 今回は骨盤前傾するために働く筋について整理していきましょう。 1 特徴 復習になりますが、骨盤は仙腸関節、股関節、腰椎が協調して動き、前傾していきます。つまり、股関節

骨盤の評価④

前回までに骨盤を前傾するために協調して働く関節とその評価法について整理しました。仙腸関節、股関節、腰痛の可動性の確認がポイントでした。 前回の内容はこちらから 臨床1年目の教科書 今回は骨盤前傾するために働く筋について整理していきましょう。 1 特徴 上記にも記載した通り、骨盤は仙腸関節、股関節、腰椎が協調して動き、前傾していきます。つまり、骨盤前傾の不全を確認した場合、仙腸関節を動かす筋の不全によるものか?股関節・腰椎の不全によるものか?を分けてMMTなどで評価していく

骨盤の評価③

骨盤前傾・後傾には仙腸関節、股関節、脊柱が協調して可動することが重要です。前回は骨盤前傾に必要な股関節の動きの評価についてまとめました。やはり解剖学を理解していることがポイントとなりました。 前回の内容はこちらから 臨床1年目の教科書 今回は残りの脊柱の評価について整理していきましょう。 1 特徴 復習になりますが、骨盤は前傾することで安定性を得られます。 その機序としては、仙腸関節は前屈運動によって関節面の圧迫と剪断(摩擦)力が上昇し、それによって安定度も高まります。仙

骨盤の評価②

前回より骨盤の評価を整理しています。前回、骨盤輪が安定することの重要性が理解でき、その骨盤輪を構成する仙腸関節の評価方法について整理しました。 前回の内容はこちらから 臨床1年目の教科書 今回は骨盤を評価する際に一緒に確認しておきたい股関節について整理していきましょう。 1 特徴 上記でもあった通り、骨盤輪全体の安定性が、体幹の荷重を下肢に伝えるとされています。では、この骨盤輪はどうしたら安定するのでしょうか? 仙腸関節は前屈運動によって関節面の圧迫と剪断(摩擦)力が上

骨盤の評価①

前回までに胸腰椎の評価を整理しました。脊柱を評価する際には、カップリングモーションを意識して屈伸、側屈、回旋を評価することが重要です。しかし、ただ観察するのではなく、各椎間関節の特徴を加味した観察により、評価の正確性が向上します。 前回の内容はこちらから 臨床1年目の教科書 今回からは脊柱を評価する際には必ず一緒に評価しておきたい骨盤について整理していきましょう。 1 特徴 骨盤は、左右一対の寛骨(腸骨・恥骨・坐骨)、仙骨、尾骨で構成される骨格です。この寛骨と仙骨、仙腸関

腹直筋の触診

体幹の中で筋力を見ることの多い、腹直筋。 前回までに腹斜筋のポイントと臨床でなぜ触診しておきたいのか?を整理してきました。 今回は、臨床でよく評価を実施し、筋力訓練に取り入れられることの多い腹直筋の触診と、その臨床でのポイントを整理していきましょう。 1 触れることの臨床意義上記にも書いた通り、臨床で体幹の筋力評価として実施されることの多い腹直筋のMMT。なぜ必要なのでしょう?まずはその意義を整理していきましょう。 腹直筋は体幹の屈筋群として作用しています。しかし、それ以上

PSIS(上後腸骨棘)はどう触れる?

前回は、腸骨陵の触れ方を整理してみました。 どうでしょう? ご自身のイメージと実際を比較してみましたか? 意外とイメージのズレが生じていることが多くありますので、 ぜひ、練習で意識しながら触れていきましょう。 今回は、腸骨陵から上後腸骨棘までの触れ方を整理していきましょう。 1 上後腸骨棘下の写真でも確認できる通り、 腸骨陵の後端に位置しています。 第1腰椎棘突起に走行する腰部多裂筋の起始となっています。 2 なぜ触れたのか?臨床上では、 PSISに触れる機会が多くあり

腸骨陵はどう触れる?

前回は、触り分けをより明確化するための 触り方として、自分の手の使い方について整理してみました。 今回からはより具体的な触診方法を整理していきましょう。 今回のテーマは『腸骨陵の触診』です。 1 腸骨陵はどこのことか?まずは腸骨陵はどこを示しているのでしょうか? 確認していきましょう。 腸骨陵は上の写真の黄色い部分であり、骨盤の丸みを作る部分で、腰のくびれの下のウェストラインのあたりの骨の部分のことを示しています。 この広い腸骨陵でも特に触れておきたい場所が下の写真の