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臨床1年目の教科書

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リハカレスタッフによる、新人さん向けのマガジンです。
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記事一覧

足関節の評価②

前回から足関節の評価について整理しました。足関節の運動軸は水平面、前額面ともにずれがあるため、その軸に沿ったROM測定をすることで本当に生活で利用している可動域測定が可能となります。 前回の内容はこちら 臨床1年目の教科書 今回は距腿関節が可動する際に、距骨がどう動いているのか?を整理し、評価に繋げていきましょう。 1 特徴 前回の復習になりますが、距腿関節は蝶番関節で、運動自由度は1度であり、矢状面で足部と下腿間の運動を調整しています。 また、屈曲、伸展の運動が最大なっ

足関節の評価①

前回までに膝関節の評価について整理しました。膝関節が動くための条件を機能解剖を基に確認することで評価する項目、目的が明確になります。 前回の内容はこちら 臨床1年目の教科書 今回からはこちらも臨床で評価・介入する機会の多い足関節について整理しましょう。 1 特徴 一般的に足関節と言われると、距腿関節であり下肢の末端の関節のことを指します。この関節は蝶番関節で、運動自由度は1度であり、矢状面で足部と下腿間の運動を調整しています。 非常に堅固に連結した関節であり、一側下肢で体

膝関節の評価⑧

前回、前々回と脛骨大腿関節の後方を安定させる膝窩筋、半膜様筋について整理しました。機能解剖と筋の走行を一緒に確認することで、解剖学の知識と臨床がつながり、評価の目的が明確になります。 前回の内容はこちら 臨床1年目の教科書 今回は膝窩筋、半膜様筋と一緒に脛骨大腿関節の後方を安定させる腓腹筋について整理しましょう。 1 特徴 復習になりますが、脛骨大腿関節の後方関節包は、膝窩筋、腓腹筋、ハムストリングス、特に半膜様筋腱の延長線維によってさらに補強されています。 それぞれに走

膝関節の評価⑦

前回から脛骨大腿関節を安定させるためにどんな要素が必要か?を整理しています。前回は膝窩筋の機能について整理しました。膝窩筋は小さな筋ですが、屈曲時にも、伸展時にも働く重要な筋です。臨床では絶対評価をしたいですね。 臨床1年目の教科書 今回は脛骨大腿関節を安定させる3つの筋のうち半膜様筋について整理しましょう。 1 特徴 復習になりますが、膝関節の安定性は、しっかりした骨性適合ではなく、筋や靭帯、関節包、半月、体重による外力や物理的な閉じ込めによって得られます。特に後方関節

膝関節の評価⑥

前回は脛骨大腿関節の完全伸展に必要な終末強制回旋運動(SHM (screw-home-movement))について整理しました。膝関節は完全伸展で安定性が得られます。その完全伸展のためにもSHMを評価していきたいですね。 臨床1年目の教科書 今回は脛骨大腿関節を安定させる機構をどう評価するか?について整理していきましょう。 1 特徴 復習になりますが、膝関節の安定性は、しっかりした骨性適合ではなく、筋や靭帯、関節包、半月、体重による外力や物理的な閉じ込めによって得られるこ

膝関節の評価⑤

前回までに膝蓋大腿関節の評価について整理しました。臨床で膝蓋骨を評価することは多いですが、膝蓋骨が滑走するための条件とは?を整理することで、評価がより詳細になります。一つ一つ確認していきましょう。 臨床1年目の教科書 今回からは脛骨大腿関節の評価について整理しましょう。 1 特徴 復習になりますが、膝関節は、内外の脛骨大腿関節と膝蓋大腿関節からなる複合関節です。運動軸が2つあり、1つは矢状面における屈曲・伸展、もう一つが水平面に置ける内外旋となっています。 脛骨大腿関節は

膝関節の評価③

前回は膝蓋骨の動きを評価する重要性を整理しました。膝関節が可動する際に膝蓋骨がどう動くのか?を整理すると、なぜ評価しないといけないのか?が理解できます。 前回の内容はこちらから 臨床1年目の教科書 今回からは膝関節を円滑に動かすための滑液包について整理していきましょう。 1 特徴 膝関節周辺には滑液包が約24個存在しています。役割は摩擦の軽減を図ります。 膝関節の滑液包で代表的なのが膝蓋上包、膝蓋下脂肪体であり、臨床で膝関節を評価する際には必ずチェックしておきたいポイント

膝関節の評価②

前回から膝関節の評価について整理しています。膝関節は完全伸展することで安定性が得られます。そのため、臨床では伸展制限に対して評価・アプローチすることが多いのではないでしょうか?前回は伸展制限の要因を整理しました。 前回の内容はこちらから 臨床1年目の教科書 今回は前回は膝関節でも膝蓋大腿関節について整理しましょう。 1 特徴 膝関節は、内外の脛骨大腿関節と膝蓋大腿関節から構成されます。 膝蓋大腿関節は、膝蓋骨関節面と大腿骨顆間溝の間の関節であり、大腿四頭筋、膝蓋骨関節面、

膝関節の評価①

前回までに股関節の屈曲、伸展に制限があった場合、どのように評価を進めていけばいいのか?を整理しました。機能解剖とその評価の目的を明確にすることで、より臨床で活かせる評価となります。 前回の内容はこちらから 臨床1年目の教科書 今回からはこちらも臨床で介入する機会の多い、膝関節の評価について整理していきましょう。 1 どう可動しているのか? 膝関節は、内外の脛骨大腿関節と膝蓋大腿関節から構成されます。 臨床では脛骨大腿関節のみならず、膝蓋大腿関節も加味して評価を進めていくこ

股関節の評価⑥

前回までに股関節伸展の制限要因が筋なのか?靭帯なのか?関節包なのか?その場合、評価をどう進めていけばいいのか?について整理しました。解剖と一緒に考えることで、評価の精度が向上していきます。ぜひ、評価を解剖、そして動作と繋げて整理していきましょう。 前回の内容はこちらから 臨床1年目の教科書 今回は、股関節の屈曲の評価について整理していきましょう。 1 特徴 股関節屈曲の参考可動域は125°となっています。この深屈曲が意外に重要であり ・入浴時の股関節屈曲 ・立ち上がり時の

股関節の評価⑤

前回までに股関節伸展の制限要因が筋なのか?靭帯なのか?その場合、評価をどう進めていけばいいのか?について整理しました。一つ一つ走行を確認することで、どう評価すればいいのか?が整理できます。 前回の内容はこちらから 臨床1年目の教科書 今回は、伸展のROMを測定した結果を制限があった場合、関節包の評価方法について整理していきます。 1 特徴 復習になりますが股関節伸展の可動域制限が生じた場合、関節包による制限も考えられます。 関節包が制限因子の場合、end feelが急に

股関節の評価④

前回は股関節伸展の制限因子として筋が疑われる場合、次にどう評価を進めていくか?について整理しました。基礎を確認することで、少しの違いで多くのことがわかります。しっかりと機能解剖と評価をつなげていきましょう。 前回の内容はこちらから 臨床1年目の教科書 今回は、伸展のROMを測定した結果を可動域制限が靭帯・関節包であった場合、次の評価にどう繋げていけばいいのか?を整理しましょう。 1 特徴 前々回の復習になりますが靭帯・関節包性のend feelは急に硬くなります。 つまり

股関節の評価③

前回は股関節伸展のROM測定をした結果をどう考えるか?について整理しました。endfeelを感じ分けることで可動域制限の原因が、筋なのか?靭帯・関節包なのか?が整理されます。ROM測定を量的な評価ではなく質的評価としてしっかりと利用していきましょう。 前回の内容はこちらから 臨床1年目の教科書 今回は、伸展のROMを測定した結果を可動域制限が筋であった場合、次の評価にどう繋げていけばいいのか?を整理しましょう。 1 特徴 前回の復習になりますが筋性のend feelは徐々

股関節の評価②

前回から股関節の評価について整理しています。股関節は骨頭に対して臼蓋が小さいため不安定な関節に思われますが、ある条件を満たすことで著しく安定性に優れた関節となります。その必要な条件は伸展することでした。 前回の内容はこちらから 臨床1年目の教科書 今回は、その伸展のROMを測定した結果をどう評価に繋げていけばいいのか?を整理しましょう。 1 どう可動しているのか? 股関節の最大伸展位は、多くの靭帯をねじり、螺旋状にさせ、最も緊張させ安定性が得られます。さらに、最大伸展に少