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臨床1年目の教科書

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#安定性

体幹の評価③

前回は腰椎の安定性に寄与している腸腰筋のついて整理しました。腸腰筋でも特に大腰筋は椎骨に付着しているため、安定性への役割を担っていました。 前回の内容はこちらから 臨床1年目の教科書 今回は腰椎の後方の安定性に寄与している筋について整理していきましょう。 1 どう可動しているのか? 前回の復習になりますが、大腰筋の起始は胸椎から腰椎の横突起(T12~L5)に起始するため、脊柱の安定化に関わる非常に重要な筋肉となります。 走行を確認すると身体の前面を走行しています。 その

体幹の評価②

前回は体幹を安定させるためのコアユニットについて整理しました。腹腔内圧は体幹伸展筋力を補助し、体幹安定性を高めるといえます。その腹腔内圧を高めるのがコアユニットです。臨床でも注目しておきたい筋ですね。 前回の内容はこちらから 臨床1年目の教科書 今回はコアユニット以外の体幹を安定させるローカルマッスルを整理しましょう。 1 どう可動しているのか? 前回の復習になりますが、ローカルマッスルは、多裂筋や大腰筋は椎骨と付着する部分も大きく、抗重力下で脊柱を一定の形に保つことに貢

肘関節の評価④

前回は肘関節の前方を安定させる筋について整理しました。上腕筋の停止部に注目すると、なぜ上腕筋が肘関節を安定させるのか?が理解できます。その知識があるから臨床で上腕筋の筋力測定をする意義が明確になります。 前回の内容はこちらから 臨床1年目の教科書 本日は肘関節の後方を安定させる筋について整理していきましょう。 1 特徴 肘関節の後方の安定性を担当しているのが上腕三頭筋です。この上腕三頭筋、そして前回整理した上腕筋が不全を起こすと肘関節の安定性が低下します。そして、肘関節の

長母指屈筋の触診

前回は長指屈筋について整理してみました。長指屈筋は第2~5指を屈曲、足関節を底屈、足部を回外する作用の他に、長母趾屈筋と共に働き、第1~5趾を引くと同時に距骨と踵骨を安定させ内側縦アーチの形成に関わっています。足部の安定性について考える時には評価しておきたいポイントでしたね。 前回までの内容はこちら 臨床1年目の教科書 本日は長指屈筋と一緒に内側縦アーチを形成する長母指屈筋について整理していきましょう。 1 触れることの意義 作用としては母指を屈曲、足関節を底屈、足部を回

長指屈筋の触診

前回、前々回より足趾の主導作筋について整理しています。前回までは足趾を伸展するための筋を整理しました。歩行時の躓き防止に重要ですが、その他に足部の安定性にも寄与していました。 前回までの内容はこちら 臨床1年目の教科書 本日からは足趾の屈筋群について整理していきましょう。本日のテーマは”長指屈筋”です。 1 特徴 今回は触診する意義を理解するためには、筋の走行のイメージが重要となります。そのため、先に走行について確認していきましょう。 【起始】脛骨後面 【停止】第2~5

腓腹筋の触診

前回から足部の筋の触診について整理しています。前回は前脛骨筋であり、臨床でよくこの筋の触診、訓練を実施しますが、その目的について整理してみました。 前回の内容はこちらから 臨床1年目の教科書 今回も臨床でよく筋力訓練をするところを見る下腿三頭筋の”腓腹筋”について整理してきましょう。 1 触れることの意義臨床で下腿三頭筋を筋力訓練することが多くあるかと思います。 特のこの筋が重要となっているのが、立位や歩行時の膝関節の安定性を担当していることです。 膝関節の安定性は、しっか

膝窩筋の触診

前回まで股関節に関する筋を整理していきました。それぞれ機能解剖を確認することで、臨床でなぜその筋を触診するべきか?どのような場面で評価するべきか?が明確になります。ご紹介している内容はその筋の機能の一部です。一度ご自身で整理することをおすすめいたします。 前回の内容はこちらから 臨床1年目の教科書 今回からは膝関節周囲の筋について整理していきましょう。今回のテーマは”膝窩筋”です。 1 触れることの意義膝関節は屈曲する際に、脛骨を内旋させます。この内旋が生じることで、膝関節

半膜様筋の触診

前回よりハムストリングスについて整理をしています。前回の内容は半腱様筋でしたが、機能を知っていくと立位保持などを評価する際には必ずチェクしておきたい筋であることが理解できました。 臨床1年目の教科書 今回はハムストリングスの中でも特に重要な半膜様筋について整理していきましょう。 1 触れることの意義前回も整理しましたが、ハムストリングスは立ち上がりや立位保持、歩行などで股関節を伸展する場面で利用されます。例えば立位保持の際、体幹前傾の支持はハムストリングスが優位に働き、姿勢

長内転筋の触診

前回までは外旋6筋を整理していました。股関節の後方の安定性に関連しており、立位の安定性、動作時の安定性が低下している場合は必ずチェックしておきたいポイントです。 前回までの内容はこちら 臨床1年目の教科書 今回からは股関節の内転筋群の長内転筋に注目していきましょう。 あまり臨床で注目されませんが、重要な筋です。 1 触れることの意義股関節の内転筋に注目するしてもらいたいのが、脳卒中後の回復段階です。 ブルンストロームをより細かく評価している上田式12段階式片麻痺機能テストの

上双子筋の触診

前回、前々回とテーマにしている外旋6筋。これらの筋は肩関節の腱板と同じように股関節の安定性に寄与しています。臨床で立位などの安定性に注目する時には必ずチェックしておきたい筋ですね。 臨床1年目の教科書 今回のテーマはやはり外旋6筋に数えられる”上双子筋”です。 1 触れることの意義復習になりましが、外旋6筋は肩関節でいう腱板と同じように、腸骨大腿靭帯などと協働して骨頭を支持し、骨頭の安定性に関与します。 上図の様に肩関節の棘下筋や小円筋に似て、短外旋筋も関節の後方安定性に

梨状筋の触診

本日のテーマは梨状筋です。臨床では坐骨神経痛の訴えが聞かれた際に梨状筋症候群などで注目する筋ですね。 では、その梨状筋の触診ができるとどの様なメリットがあるのでしょうか? 本日も機能解剖と一緒に確認していきましょう。 前回までの内容はこちらから 臨床1年目の教科書 1 特徴今回の梨状筋の機能を確認するためには筋の走行をしっかりとイメージできる様になる必要があります。 そのため、まずは起始・停止を確認していきましょう 【起始】腸骨、第2~4仙骨前面 【停止】大腿骨大転子

大腿筋膜張筋の触診

本日のテーマは大腿筋膜張筋です。変形性膝関節症の内反膝を担当すると、多くの方がこの大腿筋膜張筋から腸脛靭帯の緊張が高くなっています。さらに、痛みの訴えが聞かれることもあります。では、その痛みに対してどうすればいいのでしょうか? 本日は大腿筋膜張筋の機能解剖も一緒に確認していきましょう。 前回までの内容はこちらから 臨床1年目の教科書 1 触れることの臨床意義上記でも触れましたが、特に内反膝の変形性膝関節症の場合に過剰に働きます。 内反変形により、股関節から外側に流れるような

棘下筋の触診

肩関節の評価・アプローチで意識することの多い回旋筋腱板。肩甲上腕関節は上腕骨頭の大きさと比較し関節窩が約3:1と小さく、関節包も緩いため可動性を主体とした構造になっています。この力学的な弱点を補強しているのが、関節唇、靭帯、筋や腱であり、回旋筋腱板は上腕骨の大・小結節の周囲に付着し、上腕骨の安定性に寄与しています。 前回は棘上筋について整理してみました。 前回の内容はこちらからご覧いただけます。 臨床1年目の教科書 今回は棘下筋の触診について整理していきましょう。 1 触れ

棘上筋の触診

肩関節の評価・アプローチで意識することの多い回旋筋腱板。それぞれがしっかりと働くことで、上腕骨頭を安定させる作用があります。 そのため、安定性がない場合、回旋筋腱板である、棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋のどこの不全が生じているのか?を判別するために触診が重要となります。 今回から回旋筋腱板の触診について整理していきましょう。 まずは棘上筋です。 前回までの内容はこちらからご覧いただけます。 臨床1年目の教科書 1 触れることの臨床意義 肩甲上腕関節は上腕骨頭の大きさと比