見出し画像

行動ファイナンスおよびファイナンシャル・プランニングの心理学を解き明かす【FPジャーナル4月号より】

こんにちは。やまりです☺

本日は、「FPジャーナルってどんなことが書いてあるの?」と気になっている方に向けての記事です。

こちらで先日つぶやいたように、日本FP協会に2月に入会し、会員の特典として『FPジャーナル』という会報誌を毎月いただけるようになりました。

2月号、3月号…と届き始めたものの、なかなか目を通せていないことにもどかしさを感じていた時に、ふと「FPジャーナルで学んだことをnoteにアウトプットするようにすれば、FPジャーナルもnoteも今よりもっと積極的に活用できるのではないか?」と思い、今月からこういった企画を始めてみました。

今回は、FPジャーナル4月号の中で、(大学生時代に行動経済学のゼミに所属していた私にとって)1番興味深かった『行動ファイナンスおよびファイナンシャル・プランニングの心理学を解き明かす』というページの内容を、皆さまに簡単にご紹介したいと思います。


心理学的視点がFPにとって必要に

近年は、顧客の資産だけでなく、顧客の価値観や人間関係、心の状態にも配慮すべきと考えるファイナンシャル・プランナーが増えています。

こうした動きに対し、CFPボード(米国内でCFP資格制度を管理する機関)は、新たな学習課目として「ファイナンシャル・プランニングの心理学」を加えることを決めました。

CFPボードによるファイナンシャル・プランニングの心理学は、以下の幅広い6分野で構成されます。

1.「顧客およびFPの態度、価値観、バイアス」
2.「行動ファイナンス」
3.「お金をめぐる対立の原因」
4.「カウセリングの原則」
5.「効果的なコミュニケーションの一般原則」
6.「深刻な結果をもたらす危機的事象」

このCFP認定プログラムの改変によって、「お金に関する顧客の心理を理解することが有能なFPになるための鍵」という認識が正式な形で提示されました。

このような心理学的アプローチは近い将来、ファイナンシャル・プランニングの業界全体においても規範となると考えられます。


行動ファイナンス

ファイナンシャル・プランニングの基本課目として心理学が取り入れられたのはごく最近のことですが、ファイナンシャル・プランニングへの心理学の応用、特に認知心理学の応用は以前から行われています。

認知心理学とは「主に行動から推測することで、認識、注意、思考、言語、記憶に関連した心理的過程を研究する」学問です。

この認知心理学を基にした行動ファイナンスは、認知バイアスに焦点を当てることで、主に人間の普遍的な傾向やバイアス、経験則を研究する学問で、お金をめぐり誤った意思決定を行う人間の普遍的な傾向を理解するうえで有用です。

投資行動に関わる認知バイアスの一例

私たちは長期的な利益に反すると思われる投資判断を下すことが少なくないですが、行動ファイナンスはそうした本能を正常化する際にも役立ちます。

しかし、行動ファイナンスは普遍的な認知バイアスを特定するのに役立つとはいえ、各人が有する特定の経験や家族の形態、人間関係、個人的な信条や行動に対しては十分な配慮がされていません。

従来、行動ファイナンス研究の多くは、実際の顧客と日常的に向き合うFPではなく、経済学者やファイナンスを専門とする大学教授が担ってきました。

このことが、現在見られる研究と実務のずれの原因となっています。

行動ファイナンスは、投資における落とし穴を知る助けになるという点は別にして、顧客一人ひとりのお金に関する心理を理解するためのツールという点では、FPにとってあまり有用とは言えません。

認知バイアスの知識を活用すれば、お金に関するより良い習慣を身に付けるよう顧客の背中を後押しすることはできますが、本当の意味で顧客を理解し、力になりたいと考えるなら、心理学から学べることも含めた総合的な理解が不可欠です。


ファイナンシャル・プランニングの心理学

認知心理学に基づく行動ファイナンスが人間の認識やバイアス、また、それらが金融行動に及ぼす影響を理解するうえで役立つのに対し、ファイナンシャル・プランニングの心理学はお金に関する個人の心理を理解するのに役立つと同時に、各人の経済的な健全性を高めるための手段を提供してくれます。

ファイナンシャル・プランニングの心理学には、多文化心理学、発達心理学、進化心理学、社会心理学、人格心理学、行動心理学、結婚・家族心理学、神経心理学といった心理学の様々な分野が取り入れられています。

また、紛争解決やコミュニケーション技法、カウンセリング技法、危機介入(危機的状況からの回復支援)などの分野も含まれます。

このように幅広い分野を基盤に、お金に関する顧客の心理全般について理解しようとするのがファイナンシャル・プランニングの心理学だと言えます。

例)顧客の幼少期におけるしつけ、過去の体験、学習スタイル、心理学的なリスクの全体像(プロファイル)、お金に関する考え方、金融行動、文化的アイデンティティ、価値観、動機、お金をめぐる人間関係や家族の在り方、お金をめぐる個人の心の葛藤や他人との対立の原因

そして何よりも重要なのは、ファイナンシャル・プランニングの心理学では、FPが顧客支援に必要な知識や手段を身に付けられるようにすることに軸足が置かれている点です。

顧客が経済的な可能性を広げられるように力添えし、顧客が八方塞がりで動けないでいるときには立ち上がれるよう元気づけ、顧客が経済的なストレスやお金絡みの対人問題に苦悩しているときにはうまく乗り越えられるよう手助けする...

つまり、顧客と向き合う際に最大限の力を発揮するために不可欠な知識や手段であり、行動ファイナンスは、その1つにすぎません。

「ファイナンシャル・プランニングの心理学」の概念

上の図に挙げた分野を余すところなく習得することで、FPは、顧客の経済的目標の達成だけでなく、人間関係の改善や経済・生活面の満足度向上にも助力できるようになるでしょう。


最後に

今回は、『行動ファイナンスおよびファイナンシャル・プランニングの心理学を解き明かす』というテーマでFPジャーナル4月号の内容をご紹介してきましたが、いかがでしたか?

大学生時代のゼミで学んでいた行動経済学と、社会人になってから今もなお学び続けているFPとが、こういった形で結びつくことで、サービスレベルの向上を図ろうとする動きが活発になっている現状を、個人的にとても嬉しく思っています☺


最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

「この記事を読んで良かったな」
「行動ファイナンスって面白そう」
と少しでも思っていただけたら
ぜひ「スキ♡」やコメントで教えていただけると嬉しいです☺

また、今後も毎月FPジャーナルで興味深かった内容を投稿していく予定ですので、フォローの上、更新をお待ちいただけると嬉しいです☺


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?