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誰かの経験を知ることの価値      ~「ステレオタイプ」を手放す~

昨年から約1年かけて取り組んだことの一つに、学生のキャリア支援に深く関わるプロジェクトがあった。そのプロジェクトが先日「ライフシフト学生フェス ”Spark”」というタイトルでオンラインフェスを無事に開催することができ、約1年の活動の幕を下ろした。

 キャリアコンサルタントとして大学生の就活支援は気づけばもう6年目に突入。おそらくこれまで1,300人くらいの学生の将来に多少なりとも関わった。とはいえ就活のための支援なので、ESを添削したり、面接の練習をしたりとその学生が自分と向き合う時間というよりはアウトプットするための実践的なサポートを担っている。

今回取り組んだのは人生100年時代を学生さんがどのように捉え、どのように未来を描いていくのか、そのためのワークや場づくり、機会を作ることだった。
まだ20歳前後の学生が、100年の人生を描くなんて気が遠くなって不安になるのもよくわかる・・と思い、少しでも自分の未来に期待感が持てる経験をして欲しいと思って、この活動に参加した。

私はプログラムの途中からの参画だったのだが、一緒に活動する学生さんと話していく中で、やっぱり人生ってこうなるものっていう「ステレオタイプの呪縛」に無意識に囚われてしまうんだな~と感じた。

誰が教えた訳でもないけれど、世間的に「いい会社」に入ることがなんとなく正解で、働きながら結婚して・・みたいな未来が無意識のうちに前提になっていた。そしてそこにちょっとした息苦しさも感じているようだった。

プログラムの前半は「自分と向き合う」ことが中心。私ってどんな人なんだろう? 私が持っている「変身資産」とは?など、自分との対話を大人がサポートする取り組みだった。

「変身資産」についてはこちらをご参照下さい。

そこで私は後半戦で「出会ってみたい大人に出会い、その人を紹介する」という企画を提案した。
未来を描くには、何かサンプルというか事例があった方がイメージしやすい。ロールモデルとまではいかずとも「こんな生き方もあるよ」という選択肢をたくさん知って欲しいと思った。

彼女たちに出会ってみたい大人のイメージを出してもらい、そのイメージに当てはまりそうな人を紹介して、インタビューしてもらう。そんな場を設定した。
学生達は、どんな質問をする? 何から聞くのが答えやすい? どっちが聞く?など、初めてのインタビューに向けて考えることがたくさん!
インタビューの場面では、創造していたのと違う「自由」な答えに驚きを隠せない瞬間や、肩の荷が下りた表情を見せる場面もあった。

インタビューを通してたくさんの響くキーワードを手に入れていた。
例えば、
「周りと比較することはもったいない」
「惹かれる方に行けばいい(自分の心が基準で良い)」
「自分のやりたいことを誰かと一緒にやってみるのが楽しいんだよ!
「わくわくと不安はセット」
「今目の前にあることを大切に動けばいい」
「人生は一つの線ではなく、点と点のつながり。」
「生き方は人によって違う。ステレオタイプなんて存在しない」

学生の中にはやりたいことがわからない、将来どうすればよいかが見えない・・と長く続く人生に漠然とした不安を感じたからこそ、このプログラムに参加を決めたという子もいた。

それが今まで出会ったことのない人たちに出会えたことで、自分が感じたこと、受け取ったメッセージを自分の言葉で同世代の仲間に堂々と伝えてくれたのだ。
参加した大人からも「感動すら覚えた」というコメントを頂くほどだった。

陰ながらお母さんのようにサポートしてきた私。
オンラインフェスの開始5分前までどうしよう、、用意したBGMがうまく流せない・・!?と慌てていた彼女たちが、本番が始まると、まるでいつもやっているかのように様々な発表、ワークショップをこなしていく姿を見て、成長している!! そしてかっこいい!!と興奮していた。

私が関わりたかったのはまさにこの瞬間だと思った。

人生の先輩たちの経験を垣間見ることで、学生が新たな気づきや発見を通してどんどん成長していく。人生の先輩としてやるべきことは、経験を共有することだけで良いのだと思った。

これからも出会ったことのない人に出会える機会を、誰かが作ったステレオタイプではなく、自分らしい生き方の選択肢を多くの学生が知るチャンスを作っていきたい。

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